4-16
ただの、おひとよしなのか、懐が深いのか。
正夫さんは、あっさり。だったらお茶の間つかえばいいと言ってくれた。
これで、明日からも問題なく勉強が教えらえそうだ。
なんて軽く考えていた、昨日の自分をひっぱたいてやりたい気分だった。
買い物代行の依頼が来ちまい、配達先まで急ぎ足で向かっていた。
基本的に依頼主の家までいって要件をうかがい。
渡されたお金で、依頼品を購入してくるという流れである。
太郎達には、問題全部解けたら漢字の書き取りやってるように言ってはあるが……
きちんとやってくれているかどうか不安しかなかった。
なにせ良くも悪くも仲良し3人組である。
一人が、だらけはじめたら、そのまま連鎖。
帰ったら、だれも居なかった。
そんな落ちすら見えそうなくらい、やる気のない少年だったからだ。
そうとう嫌な思いをしてきたのであろう、実も武も目が死んだ魚のようになってたからな~。
無事に配達を終え、店に戻ると――
三人は、俺の予想に反し。しっかりと漢字の書き取りをやっていてくれた。
「悪いな、いきなり出る事になっちまって、っと、じゃぁ、やった分だけ見せてくれ」
太郎は、昨日のおさらいからで、簡単な足し算と引き算だったが全問正解。
「お~。なんだ、きちんと出来てるじゃねぇか!」
「ほんとに! おれ、ぜんぶできてる?」
「あぁ。これなら掛け算もすぐ出来るようになるかもな」
「やったー!」
「社様! おれたちのもみてください!」
実と武は、残念ながら、一桁の足し算、引き算すらミスが目立った。
まぁ、昨日の太郎と同じだろうと思い。
とりあえず、指折り数えさせながら、間違ってるところを見てやった。
「すげー、太郎のいったとおりだ。社様のいうとおりにするとできるぞ!」
実が、感激して目を輝かせると、武も続く。
「あぁ、おれひきざんって、よくわからなかったけど、できる!」
言いたい!
声を大にして言いたい!
お前達が出来ないんじゃない! 教え方が悪かったんだって!
「だったら、まずは二人とも一桁の足し算と引き算全問正解できるまで繰り返しな!」
「「はい!」」
「太郎は、二桁の足し算と引き算な!」
「はい! 社様!」
適当に書いてやった問題を、時間かけながらでも自力で解こうとする姿は、見ていて気持ちよかった。
きっかけだけ与えてやれば、どんどん吸収し、さらに応用までしていくエルとは違うが、コレが普通だ。
そんな、普通な事をなぜドリームワールドの住人は出来ないんだ?
正直ムカついた。
ムカついたが、コレがゲームクリアするための過程だと思えば悪くない展開である。
「パパ。分数の計算ってこれで合ってますか?」
「あぁ、合ってるな……」
もう、俺いらねんじゃね?
「分からないところがあったら聞くんだぞ」
「分かりました」
こいつ来年学校に行くことになったら、何を教わるんだ?
正直、エルの担任になったヤツの顔を見てみたい。
きっと、さぞ驚くことであろう。
「おい、チビすけぶんすうだってよ……」
武が小声でささやくと太郎がこたえる。
「だいじょうぶ、だって。おれたちだって社様におそわれば、できるようになるって」
「チビすけだけには、まけたくねぇもんな」
実も、やる気じゅうぶんな様子。
どうやら、エルの天才っぷりが、いい意味で刺激になっているようだ。
それで素直に漢字の書き取りをやっていてくれたのかもしれないが、良い傾向だ。
とにかく出来るところから始めて、確実に力を伸ばしていく。
地道な積み重ねだが、サボって遊び回っていた頃に比べれば、ましになってくれるはずだ!
客が来たら対応し、空いた時間で勉強を見る。
お昼を食べて、一休みしたら、また勉強の開始。
3人とも問題が解ける喜びを知ってくれたみたいで、ありがたい。
まぁ、算数なんてパズルゲームみたいなものだしな。
そういう意味でも結果がすぐに見れて分かりやすくていい。
問題があるとすれば、暗記物……
こればっかりは、反復するしかないだろうし本人達の努力しだいってところだろう。
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