【四】コンテストなんぞわからない


 歌にある通り、コンテストとか公募は本来、無名の作家が素性もこれまでの作品も知られず、己の実力一本で賞を勝ち取る――いわば登竜門でした。ただ、カクヨムコンテストの場合は違います。その数があまりに膨大であるためにすべてを選考委員が見ることはできません。ではどうするかの運営による答が、読者選考だったわけです。


 読者選考は、コンテストの一次選考と同じです。しかしそれは単純に実力勝負と言うわけではありません。それはカクヨムという予測不可能な一WEB小説の波にもみくちゃにされて、様々な根回しとか忖度とか信頼とか、あたかも政界を渡り歩くような血の汗滲む努力をしてやっと乗り越えられる壁なのです。その理由は自主企画の際にも言いましたが、読み合いなどの運動が管理されていないためです。

 確かに、読者選考は無数の作品群から効率よく「オモロイ」作品を選び抜くことはできますが、第一結局それは「人気のある作品が賞を取る」ことと同じようなものです。決して★0とか4の大穴が大賞をとることは許されません。本当は書籍化されてもいいほどの文章が「目に留まらなかった」だけで零れ落ちる場合もあるでしょう。


 一つ微力ながら改善されるような策を上げるとすれば、それは「読者選考で見向きもされなかった小説」を、いくらか運営が目を通すことでしょうか。さすがにすべてを読むわけにはいきませんからその選出基準を定める必要はありますが、少なくとも弱小作品に、少しでもも日の目を見る可能性を与えてあげられることは確かです。カクヨムの特集で★一桁台のものが取り上げられるように。


(ちなみにハヤカワSFコンテスト優秀賞を取った某小説がカクヨムに掲載されていたのですが、それがあまり評価されていなかったのを見ているので、やっぱりカクヨムはわからないものです。風土に合わなかったのでしょうか)









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