【実録】神絵師じゃないから原稿料踏み倒されたけど裁判で全額回収する備忘録。「不満なら訴えればいい」と言われて本当に訴えたら、相手から届いたメールにはとんでもないことが書かれていた。

こうき

2・提訴活動-1[ネットリテラシー]

虫の知らせか、メールでの無償を強要されたメールの後Twitterを覗きに行った。

相手の…藤沼氏からはブロックされていた。


しかし鍵はかかっていない。

ログアウトするとツイートが表示される。

するとアニメやゲームの感想の合間に名指しではないが、今回の件について 書かれていた。


『同人小説は絵が重要で文字はおまけなので売れないのは絵の責任だ。』

『需要が少ない流行じゃないジャンルで出したのは失敗だった。』

『売れもしないのに金にうるさい相手に頼んでしまったのも失敗だった。』


もっともらしいことを並べているが「自分には責任はない」と延々と言い訳をしていた。絵もジャンルも藤沼氏自身が決めたことなのにだ。


他にも

『圧倒的才能がないのだから、駄々をこねずに相手に従うべきだ』

『そんなに金がほしければ、コンビニバイトでもしてろ』

『好きで売れないものを作ったわけじゃないのに。こっちの予算の事もなど考えてないんだな。』

『俺繊細だから、売れもしないのに「金!金!」って言われると萎えてしまう。』


圧倒的才能?藤沼氏は自身が圧倒的才能があるというのだろうか。

確かに僕は神絵師ではないが、コンビニバイトよりもありがたいことに絵の仕事のほうが儲けがでる。だが藤沼氏の小説は趣味のようだ。小説で生計を立てるだけの収入がある様子はない。

今回依頼された同じキャラで同人誌を出したことはあるが、その時の僕の売上数は今回聞いたの本の4倍ある。内容やカップリングといった企画が違うだけで、売上は変わってくるのだ。


予算に関しては、当初すぐに支払う予定だったのなら、確保してあるはずだ。

印刷所に払う金額と同様、イラストに払うお金は予め組んで用意しておくのが予算ではないだろうか。

僕が藤沼氏を勝手に信じて支払いを待っただけだから、考える必要はないということだろうか。


売れていないというのは何のことだろう。僕のことだったのなら、依頼されたイラストが受理された時点で少なくても藤沼氏に僕の絵が売れたわけだが。今まで僕の作品を買ってくれた人と取引のあった人たちとファンサイトのみんなに謝ってほしい。

それとも売れないものを作ったことを自覚しているということだろうか。僕は同人誌の売上がほしいわけではなく、藤沼氏に納品した絵の代金がほしいのだが。自分の絵の同人誌の売上がほしければ自分で作っている。

メールで僕がなぜ減額・無償を断ったか、なぜ売上が関係ないかを説明したものを送った。お金を払うと言ってものを受け取ったら払わないといけない、という現代日本では常識的なことを丁寧に説明したのだが伝わらなかった。

代金を払う気が無いなら、僕の絵を消して売るか販売を停止してくれと頼んでも無視された。


手数料にこだわってしまった事は僕の反省すべき点だが、それは相手も了承した上でのことだ。

ちゃんと話し合って相手と了承した上で決めるのが契約だ。一方的に決めていいものではない。


他にはゲームやアニメの感想にしても、キャラに文句をつけたり批評をするツイートが多い。

こういう状況だから僕には嫌な感じに見えてしまっているだけかもしれないのだが。


誰かが取引相手のツイートは先に見ておくべきと言っていた。

たしかにその通りだった。同じ作品のファンだという言葉で信じないでおくべきだったと、改めて後悔した。


自分と相手への怒りでイライラは収まらず、どんどんロールバーを下げていく。更に遡ると画像があるようだ。

だがこれはログインしないと見えない。


普段使っている仕事とは別の、ここ数年放置していたプライベート用のアカウントを引っ張り出して久々にログインした。


画像…メディア欄には、猫や新調した機材のほかに数字が書かれた画像があった。


プロフィール欄には「会社員兼トレーダー兼物書き」との記述がある。

どうやら株取引で利益がでたというトレード記録(自慢)らしい。


「儲けてるなら、渋らず払えよ」

思わず本音が口をつく。


更に遡ると、チラシのようなものがあった。


「…嘘だろ?」目を疑った。


引越し先の物件のチラシだった。住所も隠していない。


これはなにかの罠だろうか…

いくらフォロワーが400人程度と言ってもこれは駄目だろう……

いい部屋が見つかって浮かれているといっても、部屋の間取りくらいはいいとして、住所は隠さないと!


とりあえずキャプチャーした。


翌日チラシのツイートが消されていたことで、先の住所の真実味が増した。

どうやら過去ログを消していっているらしい。

おかげで遡るのも面倒な下の方にあった過去ログも楽に読ませてもらえた。


藤沼氏は

『厄介な人に絡まれたので、ツイートは定期的に消してきますね』

なんて言っていたが、絡まれるようなことをしなければいいし、そもそも知られて困ることをつぶやかなければいいと思うのだが。


本名がPayPalのやり取りでわかっていたので、フェイスブックも探してみた。

見事にヒット。出身地と所在地の都道府県がツイッターと同じで、珍しい名前でもあるので、他に該当者もいない。

ほぼ間違いないだろう。出身校から会社名まで書かれていた。


ずっと相手の情報つかみに張り付いているわけにはいかないのだが、ウジウジ落ち込み仕事も手につかないこともあった。ストレスで眠れない日もあった。

そんなときは怒りを紛らわすように、情報を集めていた。


すると大体の人物像が見えてきた。


現在3●歳の●月生まれ

実家は会社を経営していて、一人息子。


2●歳の時に小説の賞を取る。

といっても佳作の下の優秀賞を一度だけ。

小説家としての仕事歴はない。

3●歳頃親に結婚を急かされ就職活動。

就職セミナーを経て実家と同種の都内の会社に就職のため上京。しかし彼女もできず、そもそも結婚自体乗り気ではない。

昔から二次創作の同人小説を書いており、もともと一般向けだったが、近年は「売れるから」の理由で二次創作のエロ小説がメインである。

投稿作は評価が高くならないと途中でも止めてしまうそうだ。


ここからは、ツイートからみる推測である。


虚栄心が強い傾向が見える。

未だに10年以上の前の小さな受賞歴をプロフィールに載せているのはそのせいだろう。


読者を下に見ていて「今どきの読者はこういうのが好きなんだろ?」という分析を上から目線で語り「長時間大量の文章書くのって疲れるんですよねー。俺だからできちゃうんですけどね。あー疲れたわぁ」と言う感じの執筆頑張っているアピールをしているツイートも多い。

偉ぶっているわけではないのだが、自身が認める人へ対して下手に出ることを謙虚さと勘違いしている。


なまじ若い頃に小さいながらも賞をとってしまったがために「自分には才能がある」と思うのは良いのだが(実際彼の文章は、内容はさておき読みやすくはあった)、努力を怠った。もしくは努力の方向を誤ったのだろう。

どうしたら売れるかの法則を考えるうちに、彼にとっての小説の執筆は創造欲よりも数字を稼ぐ手段としての楽しさを求めた。

承認欲求も強いが、自分を受け入れられていない、感想にマイナス要素があると思うだけで、相手を拒絶する。他者に関して冷静な分析をしているつもりで、もっともらしいことを言いつつ自分への反省点やブーメラン発言には気がついていない。


更に幸か不幸か実家がある程度裕福な為に、ダラダラと十数年ほどスネをかじってしまった。いざとなったら実家に就職という甘えもあるのだろう。もしかしたら遺産を食いつぶせば自分の一生分は大丈夫だと思っているかもしれない。そしてお優しいご両親なのであろう。


親の小言を疎ましくは思いつつも、かなり長期間ヌルヌルと過ごしてしまった藤沼氏。かといって実家を継ぐのも嫌だしで、セミナーの力でようやく就職。会社員をしながら、同人小説&トレーダーで小金を稼ぐ日々。


といったところだろうか。


「…ネットって怖いなぁ…」

素人でもちょっと調べただけで、こんなにわかるものかと。いや藤沼氏が特殊なだけかもしれないが。

しかし不法行為をしなければ、知られても問題のない情報ではあった。

改めてネットリテラシーの重要さを実感した。

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