第2話、白川病院

「他にはどんな症状が?」


しまった!問診が始まってたみたい。


でもこれはいつもお母さんが答えてくれるから、私の出る幕ではないんだよね・・・


「・・では血液検査を行うので腕を出してください」


言われるままに腕まくりをし白川先生の前へ出した。


だが私は白川先生が取り出した注射器に目を奪われてしまった。


え、ちょっと待って。


そのぶっとい注射刺す気じゃないよね。


それ・・絶対痛いよね・・


何なの。その注射の後にホースで繋がってる袋。


まさかそれいっぱいまで血取る訳じゃないよね。


ちょっとちょちょちょ


私は迫りくる極太の注射を見ていられなくてぎゅっと目を閉じる。


チク


・・あれ?あんまり痛くなかった。


どうして?

お医者さんは採取した血の入った袋をを奥のバックヤードに持っていった。


袋の中の私の血はほんのちょびっとだ。


「ふふ、どうしてそんなに目を瞑ってたの?さっき筋肉注射じゃ無いからそこまで痛くないって仰ってたじゃない。」


嘘!そんなこと言ってたの?


やっぱり先生の話は聞いておくべきだね・・・


まあよく考えたらあの袋いっぱいまで採血したら私死ぬわ。


いつでも冷静を保て私!


こういうときはパンッと頬を叩く!


パンッ  


・・普通に痛い・・頬も・・手も・・


「ねえ麻也・・何してるの・・」


そんないたい子を見るような目しないで・・・


「い、いや~何でもないよ~」


・・こんなに発音が曖昧で何でもない、か・・


我ながら嘘つくのが下手だな・・


まあ、嘘つこうとも思ってないけど。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「少しお話があります。お母さんちょっと来ていただけませんか。」


気のせいかな・・先生の声のトーンがさっきよりも少し低い気がする。


「?分かりました」


やっぱり母さんも謎だよね。


「麻也さんは廊下で待ってもらっていて構いません」


廊下の椅子にでも座っとくか・・

私はドアを開け廊下の待機場所に座った。

・・・寒い・・・


風がふゅーと音を立てながら吹くたびに鳥肌がたって全身がぞわぞわする。

そういえばどうせ病院にいくだけだからと薄着なんだった。


ていうかどうしてこんなに通気性がいいのこの病院!

無理言って診察室で待たせてもらおうかな・・


いや、他の患者さんも来るだろうし・・


五分後・・・


・・ちょっと待って・・患者さんが一向にこないじゃん。


患者さんがいないんだったら中で待たせても良かったのでは?

いやでも、中には医療器具とかもあったし危ないのか・・・?

とりあえず素直に待つしかない・・

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