第3話3
天気もいい。
朝の情報番組のお目覚め占いも1位だった。
この際、妹と言っても過言で無い花菜に
、「占いなんて、まだ信じてるんだ」と上から目線でニヤニヤされても、そんな事はどうでもいい位、恒輝は珍しく朝から機嫌良く登校した。
いつも通り外窓際、前から1列目の席で悪友二人とゲームの話しをしていたら、少し後ろの女子二人が転校生の話しを始めた。
「今日からなんだよね!」
「やだ!めちゃいい男らしいから、化粧直ししよ!」
なんか、何日か前からそんな話しをみんなしてて、特に女子がキャーキャー言っていたが、恒輝は興味無かったから今日からなんて忘れてた。
しかも、こんな底辺高校へ入ってくるんだから、(まぁどうせ顔がいいだけのヤリチンでも入ってくんだろ…)位にしかおもって無い。
始業のチャイムが鳴っても、席に着いているのは殆どいない。
でも、もうそろそろ男のクラ担が来る頃だと、何気に恒輝が廊下側の窓を見た。
すると案の定、クラ担がこちらへ来ているのが見えたが、その後ろにこの高校の制服を着た背の高い男子も付いて来ていた。
(アイツかぁ…)
呑気にそれ位にしか思わなくて、一度だるそうに自席へ戻ろうとする友人に視線を移したが…
(ちょっ…と待て…アイツ…どこかで…
)
(まさか…)
もう、完全に忘れていたが数日前、恒輝を逆ナンしてきたオメガに似ていた。
(待て、落ち着け!あんないい男はそういないが、たまたまここら辺には似たようなのが沢山いるだけだ!)
それ以上顔を見て確認する気になれず、
フイっと窓の外の景色をずっと見る事にした。
転校生が入って来た途端、キャーっと言う女子達と、おお〜っと言う男子達の大声が遠慮も無く教室内に響いた。
(流石、バカばっかのクラス…)
恒輝が呆れながら尚空の雲を見ていると
、男子の一人が囃し立てた。
「流石!オメガだぜ!」
(んっ!?)
あの男との共通点が増え、恒輝は心の中で首を振った。
(いや…たまたま…たまたま同じオメガだけど、アイツとは別人だって…)
そして、見なくても、女子だけで無く男子もソワソワしているのが分かる。
女子は勿論、アルファの男だけで無く同類のオメガもベータの男をも、全てのタイプの男をオメガの男は魅了するからだ
。
転校生は、このクラスで唯一人、自分の事を見ようとしない恒輝をチラリと見たが、担任に促され自己紹介を始めた。
「彩峰明人です。よろしく」
外を見ながらも、声が恒輝からしても甘く甘く感じる。
だが、(これが、オメガのたちが悪い所なのだ…)と嫌悪感からすぐ気を入れ直す。
そして、すぐ転校生は席につけられるものと思い込んでいたら、いつの間にか質問タイムになっていて、挙手した生徒を担任が当てていく。
最初は好きな食物は?から始まり、定番のありきたりの質問が続いたが、大した事を言ってる訳でも無いのに、転校生が答える度に「おおーっ」とクラスメイト達がどよめく。
「背は、何センチ?」
「188センチ」
「おおー!(歓声)」
「好きなタイプの人の特徴は?」
「子犬みたいにかわいい人かな…」
「おおー!(歓声)」
「じゃあー、このクラスの中で、一番最初に友達になるとしたらー、誰がいい?
」
このクラスで一番の巨乳女子の長野が立ち上がり、やたらかわいい声を発した。
「西島君…」
あまりのその即答に、クラス中がシーンと静まり返った。
そして、
「西島恒輝君…俺と友達になってくれるよね!」
その瞬間、青ざめ前を向いた恒輝はニッコリ微笑む転校生と目が合い、どんなに否定してもこの男とあの逆ナン男が同一人物だとあの約束を思い出しながら…流石に認めざるを得なかった。
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