第2話 白日 倫太郎という人間

僕、白日 倫太郎は高校1年生で、親とはあまり仲良くなく、成績はそこそこ、友達も人並みぐらいの人数、言わば超がつくほどの一般人だ。

親と仲良くないというのは僕が思春期で反抗しているからなんだが…。まぁそれはさておき。

今日も今日とて、高校に登校。いつも一緒にいる伊丹 賢介と共にね。

「なぁ倫太郎。お前今日も顔が酷いな。」

「朝から悪口か。さすがに凹むわ。」

「いやいや違ぇって。語弊があったな。顔に疲れが出てるぞってな意味だ。」

「あぁ…そう言えば最近よく夢を見るから寝ても寝ても頭が疲れたままなんだ。どうにかならんかねぇ。」

「寝なきゃいいんじゃね?」

「本末転倒」

「それもそっか」

朝から賢介はニカッと笑って幸せそうな顔を見せてくれた。友達になってよかったと思える瞬間だと思う。朝は苦手で憂鬱だが、賢介と話せば気分は高揚した。いい友達を持ったもんだぜ。

「んじゃ、今日も頑張ろうな」

「賢介もね。じゃ。」

軽い挨拶をして別々のクラスに行った。高校ではクラスが離れてしまったため少々寂しいが仕方ないものは仕方ない。むしろ中学3年間同じクラスだった方がおかしいのだ。


自分の教室1年1組の自席に座る。クラスには楽しそうに会話する女子グループが3、4つほど。朝練終わりのスポーツマンたちが次々に帰ってきてほとんどの席が埋まった。

そして毎日空いてるあの席は…幼馴染の柴崎 拓斗のものだ。いつから来なくなったんだっけか。

もう3週間は来てないな。

家も近所だし少しぐらいは顔を出した方がいいのだろうか。いや、引きこもる理由ってのは人と関わりたくないからなのかもしれない。何が理由で引きこもっているのかも知らない自分が介入する隙などないだろう。こういった悩みという名の病は時間しか薬がないから困ったものだ。まぁ逆に言えば時間が解決してくれる場合が多いから普通の病気よりもマシなのかもしれない。

まぁ、誰しもが心の病を治せる訳ではもちろん無いのだが。


そして、今日も何気ない毎日で、程よく笑って程よく気を使って。まさにThe 人間って感じの学校生活だった。

教室前で待っていてくれた賢介と共に下校。

まだ父と母も帰っていないみたいだ。というか、ここ1、2週間は2人とも忙しくて帰ってきていない。僕が小さな頃から共働きだったからあまり親を必要と思う機会が少なかった。

それなのに今になって大学がなんだのかんだのうるさくし始めたから親への反抗も強くなってしまっているのかもしれない。

「くさ…」

鼻をつまんだ。

2週間分の生ゴミが溜まっていてそれをゴミの日に出すのを面倒だと思いずっと置いていたのだった。

明日行くか。さすがにな。

そう思い、学校で出された課題をして、晩飯を食べ、風呂に入り寝た。今日もいつも通りのいい日だった。

変な夢を見なければ完璧だなぁ…。

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