6.オレサマは竜だぞ!
* *
みしみしと音を立てて
揺らさないように、落とさないように――。なにしろ少し力を加えただけで簡単に表面が剥がれて欠けてしまう。これほど脆い石は初めて見たし、だからこそ期待がかかる。
イェルクが息を詰めて待っていると、岩の瞼は地響きと共にゆっくり下ろされた。深々とついたため息がごうっと吹いてくる。
「地の石だの」
「――ウソだ! 今までで一番黒くて、一番キラキラしてるんだぞ! これが流れ星じゃないんだったら……」
「わしは、嘘は言わぬ」
おまえも竜ならわかるだろう。言外にほのめかされイェルクは低く唸る。大地に属する彼が自信を持って言うのなら確かなのかもしれない。だけど納得がいくかどうかはまた別問題なのだ。
イェルクの足が一歩前に出た。
「山の卵は、見たことあるのか!」
「ん?」
「流れ星だ! おまえ、本物の流れ星を見たことあるのか!」
「ふむ……。さほど多くはないがの」
「そんなのでわかるのか? これだって本当は流れ星かもしれない!」
つまんだかけらをもう一度高く掲げた。
大地が小刻みに震えた。笑われている。イェルクがむっとした顔で揺れに身を委ねていると巨大竜はおもむろに半眼を開いた。
「何度聞かれようと同じこと。それは地の石としか言えんのう」
「なんでだ!」
「同胞の匂いがするでの。馴染みがよすぎてもはや身体の一部のようじゃ」
「うーん……」
「わかったらとっとと帰れ、
「オレサマは小童じゃない!」
ダンっダンっと足を踏み鳴らす。当然ながらイェルクが地団駄を踏んだところで地面はびくともしない。笑っただけで地震が起こせるなんて、山の卵はずるい。
あくびを漏らす巨大竜をぐぬぬと睨んでいたイェルクは、次の瞬間空に舞い上がった。くるりと宙返りをすると巨大竜を見下ろした。
「見てろ! 次は絶対流れ星を持ってくる! 黒くて、キラキラしてる流れ星だぞ!」
「そうか。くれぐれも、わしが山になる前にの」
「オレサマは竜だぞ! 山の卵がびっくりするくらい、ものすごく大きいやつを見つけてやる。マリーに持っていくんだからな!」
あたりに笑い声が
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