定番の異世界転生で俺tueeeしたかったけど、めんどくさそうだから止めた

にゃ者丸

プロローグ


 俺、死す。


 完。









 あ、真面目にやれって?あ、はい。了解っす。




 あー………………はい、俺、死にました。何歳なのかは分かんないけど、たぶん学生の時かな。死因は分からん。なんかされて死んだのは覚えてる。

 けど、そんなに苦しくなかったんだよなぁ。眠るみたいに死んだのだけは覚えてる。

 あーでも、前世?っていうのかね。名前も思い出もなーんも思い出せんのよ。


 ただ、思春期男子の意識と知恵だけが残って、誰かのお腹の中に入り込んだ感じ?


 説明が難しい。例えれば、なんだろう。某アニメの憑依なんちゃら的な。


 なんってアニメだっけ………バトルものなのは分かるんよ。主人公がヘッドホンしてるのは分かる。んで、双子のお兄ちゃんがコ○ンくんの声っていうのも覚えてる。

 でもタイトルは思い出せない。内容も思い出せない。


 内容が思い出せ~。


 ………。


 ………。


 ………。


 あ、失礼しました。忘れてください。つか忘れろください。



 あ~~~~、うん。もういいや。手っ取り早い説明というか、これ言えばだいたい理解できるだろ。


 今さっき思い出した単語だ。


 『転生』


 そう、転生。生きていた頃の身体が死んで、また別の身体に生まれ変わるっていうやつ。つまり今の俺はベイビーだ。ばぶう。


 なんで自分が赤ちゃんのか分かるのか。んなもん、自分の身体だからとしか言い様が無いわ。

 首の据わっていない不自由な体。頭だけでかくて手足はちっちゃく、少し大きなぬいぐるみと同程度のサイズの肉体。

 生まれたてだから歯も生えてねえ。髪はちょびっとだけ生えてるっぽい。


 目もあんまし開けられぬ。ちょびっとだけなら開けられるけど、眩しいからなるべく開けたくない。目があ、目がぁぁぁってなりたくないし。


 碌に動けぬ身体。ちょっと動いただけで体力は底をつく。


 んなもん、赤ちゃん以外に考えられねえっぺよ。おらベイビーだっぺ。


 語彙力は「あー」「だー」「あぶ」「ぶぅ」くらいしかない。


 気分はカエル。ゲコ。


 舌は伸びないけどな。


 目も開けられないくらいか弱いベイビーなので、どうか大切に育ててくれ。

 御礼に健やかに育つからよ。頼むぜママン。


 パパンは知らん。おっさんと青年の中間っぽい声なら聞いたけどな。


 ママンは覚えてる。美声だ。大女優でも歌手でも狙えるんじゃないかってくらいいい声だ。個人的には声優もやって欲しい。


 おう、腹減ったぜママン。はよ飯くれや。


 めし飲まんとおらぁ生きていけねえだよ。


 ほれ、乳を出せ。さっさと出せ。わりとマジで死にそう………。


 ぬごおおおおおおおお!うめええ!!うめええ!!極上のミルクですよ、こいつぁ!誰か!コーンフレークちょうだい!歯が無いからふやっふやにしてから食べさせてね!

 あるのか知らんけど。



 あ~~~美味かった。毎日おんなじものを飲んでるとは思えないぐらいうめえ。

 赤ちゃん補正でもかかってるのかねえ。

 ………いや補正ってなんだよ。



 あ、お腹いっぱいになったら眠くなってきた………ねむい………。


 ほれ、ママンよ。はようわいをベッドに連れて行くんじゃ。寝かせろ。


 はわぁ、至福。至福じゃて。


 さながら天使の羽毛布団に包まれてるみたいじゃ。もふもふでも良くってよ。


 はわ………ねむ………おやすみ………。



 寝る直前、何か話しかけられているのは聞こえた。だけど、聞いたことも無い言語で意味不明だったので、俺は思わずこんな事を考えてしまった。




(日本語でおk………)




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る