ネク・ビエンテ 黒霧の館6


結論から言うと目の前の玄関の扉は開かなかった。ネクは頭を抱え奇声を上げている。


それを横目にノアはフォールスに扉の模様と3つの窪みがあることを説明する。


「……成程、ルーン文字で結界を張ってるのか。……相当結界に精通してる人物が相手のようだ」


「なんとかなる?」


「魔術による結界は出口を必ず用意する必要がある。だから、玄関前のこの空間に解除の方法がある筈だ。探すぞ」


入り口の両サイドに2軒づつ家みたいなのが並び、その後ろにも地下へ続く道がある。


虱潰しにやるしか無いが、そこはフォールスの出番である。


ネクは気持ち間の切り替えをしてかなり面倒くさそうに全てフォールスに任せることなした。


こう見えてフォールスは裏方仕事のプロだから索敵もなんかよくわからん方法でやるんだろーな。……それを部外者に見せてもいいのかどうかはもうこの際置いとこう。そんな状況じゃなさそうだし。


「魔術構築をする。ちょっと待っててくれ」


フォールスは腰のカバンから石を取り出して地面に並べる。ネクは興味深そうに覗き込むが相変わらず何やってるのかわからず、この場所を見渡した。


「私も万が一に備えるか…」


ネクは杖を強く握る。すると淡い白の光が当たりを包み、辺りには百合の花がふわふわと3人にそれぞれ寄り添うように包まれた。


「……綺麗」


ノアは思わずそう漏らし、頬には一筋の涙が伝う。

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