ネク・ビエンテ 黒霧の館4
「目的を聞こうか」
ネクは杖をノアに突きつけ問い詰める。
正常じゃないこの場所で、普通にしてられる人間がまともな訳が無い。ネクは魔法の構築しつつ、不審な動きを見逃さないよう睨みつける。
ノアはあっけらかんとしている。顎に手を当てて視線を宙にさまよわせる。まるで、ネクの事など怖くないよ、と言うように。
「……ここの事をどれくらい知っている」
フォールスは剣を突きつけいつでも首を跳ねれるように構えた。
ノアは幻視した。自分の首が離れ離れになる様な感覚を覚える。勿論それは現実のものでは無いのにも関わらず背中にびっしょり冷や汗をかいた。
思わず生唾を飲み込んで、2人からの殺意にさすがに慌てたのか体の前で手をブンブン交差させるように振って言い訳をする。
「まって、まってって、最初、そこの女の子の質問はこう答えるよ。私という存在の意味を知る為にここに居る。この家さ、不思議な結界か、何かが作動してるらしくね出られないってじょーきょー。2つ目、そこのノッポさんの質問には答えられないかなー」
「どうしてだ」
「ちょっと、ちょっと!怖いよおにーさん。どの扉も開かないの。うんともすんとも言わないの」
埒が明かないなとネクが杖を下げる。
「ま、ならここから出ることを最終目的としてこの場所のことを知れたら御の字って感じで行こう」
「ネク…それでいいのか」
「つべこべ言わない、さ、行くよ」
フォールスはノアを人睨みするとネクの後ろを黙って着いて行った。
先に前に行った2人に聞こえなようにノアが呟いた。
「感じわるーい」
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