黒霧の少女15


やたらと開けた場所にでる。大理石の様ななにか別の物で敷き詰められた床。その床からはとてつもない程に魔力を感じる。肌がビリビリと痛いほどだ。


先が見えず、永遠に続いている様にも感じる。実際にこの部屋は望めば望むほどに広がる不思議な部屋だ。


空中には正四角形の淡く光る物体が、大小様々に浮かんでいる。それ等は一つ一つが意志を持っているようにも感じ取れる。


くうは呆気にとられ、固まった。魔法を見慣れたものでもここまで出鱈目な空間というのも珍しい為だ。


「なに、これ……」


呆然と立ち尽くしそれだけ口にしたくう。その様子を隣で見ていた空は経験があるのか苦笑いして肩をすくめる。


「おい、おい!気ぃ抜くなよ、試験があるんだから」


「ふ、へ?し、試験?」


「おおおっと!そこから先は俺の仕事!」


いきなり後ろから大声を出されてビックリしながら反射的に振り返る2人。そこに居たのは、赤髪の青年だった。やや細めで、少し長目の前髪で、目元が隠れてしまっている。やたらと長身な男が、入口のすぐ後ろから現れたように見える。


「チッ、ビビるからやめろよ」


混乱中に驚かされて逆に冷静になったくうが舌打ちをして、睨みつける。男は意に返さず、説明を始める。


「杖は生きている!それぞれに意志を持ち持ち手を選ぶ。君達……君は持ってるのか、でも、後で追試だね」


くうをみて空を見る。彼はそれだけで、空が杖を持っていてその経緯を読み取った。


「試験がある。てか、まず杖に選ばれるところからだね」


「なら私はどうすればいい?」


「おっと、今からそれを言うんじゃないか。まったく、せっかちはいけないね。この部屋を見てもらえばわかる通り、いつくもの四角が浮いてるよね。いま、そこの子は審査されてるんだよ。誰が相応しいか、また、杖を持つに足りるか」


「相応しくなかったら?」


至極当然の疑問を投げかける。空はくうを横目に見るだけで何も言わない。


「何も起こらない。そのままお帰りください」


「空、アンタはどんな試練だったの?」


「え?」


急に話を振られて言葉につまる。


くうは、不安を煽られ、自信の喪失の中これ以上無価値になるのではと、焦りを感じさせる。緊張からか、先程から声が大きい。


「俺は、その当時の俺の知る中での最強と戦わされた」


「えっ、それって……」


「ああ、燈火だ。まあ、負けたけどな。多分さっきこの人が言った再試はこの事なんだろうよ」


「その通り!察しがいいね、でも、受けれるかは別問題だけどねー」




ふわっと目が焼けるのでは無いかと言う程の光が3人の遥か先から放たれた。


それは、試練の始まりを意味する光だった。


光を受けた空、くうは、いつの間にか忽然と姿を消し、後に残るは赤毛のオランダ人だけだった。


「おお、ビックリしたぁ。かつてないほどの光だけど、大丈夫か?というより共鳴したのか……びっくりだなぁ」

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