黒霧の少女10


「じゃ、とりあえず帰るわ」


区切りが着いたっぽいし、さっさと撤収準備。いつまでもいる意味もないしな。まさか自分以外の起源の魔法が見れるとは思わなかったし、色々と得した気分だ。


「あんた、帰るって京都に?」


くうが、胡乱気な目でそう問うてくる。顔に何言ってんだコイツと書いてあるのが見て取れる。いつもなら舌打ちくらいしそうなもんだが、今は少し気分がいい。


「ああ、今すぐにね」


鼻で笑ってやる。


ピシリと青筋が浮かぶくうが、これでもかと言うくらいに睨んでくる。


「ふーん。まっ、どうでもいいけど明日はどーすんの?」


言葉は素っ気なさを気取ってるが興味が怒りよりすこしまさったようだ。まあ、そうだろう。今からやる魔法はそう滅多に見れるもんじゃない。それこそ色の魔法並に珍しいからな。


それはそうと明日か、んー、


「まあ、休みでいいんじゃないか?明後日朝10時にまた公園で集合でいいだろ」


「勝手な。言っとくけど時間はそんなにないからね」


そっちの事情は知らんし焦るのもまあ、分からんでもないが録な準備ナシは考えられない。今出来ることはできる限りしなくてはいけない。


「ふん。心得てるよ。だから準備期間に1日貰うよ。じゃあな」


言いたいことを言ったし、予定がたったならもう本当に用はない。


くうは、まだ何か言い足りなそうにしてたが魔法を構築し始めればそっちに気を取られてしまった様子。


地面に古代文字を使ってスペルを書いていく。内側の円にはこの場所をマーキングする為の術式。場所の記憶と移動地点として記録する。ここで自分の魔力を注いでおく。そうする事で自分専用の転移先として記録された。


次に外側の円には金閣寺のマーキング時点と繋ぐ。これで転移式が完成する。あとは完成した円に入り、魔力を注ぐだけ。


するとさっきまで空がいた場所には何も無くなる。




「ねぇ、空ってさ何者?」


ぽつりと残されたくうは、呆然とつぶやく。


転移魔法なんて見たことも無い。それは他のふたりも同じだったみたい。


「消えた、な」


「……見事」


1人だけ見当違いだな。


1日日を開けるって言われても私はなんにもやることは無いしどうしたもんか。


「あっ、そうだ。早速明日魔法の授業してよ。1日空いたし、別にいいよね?」

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