閑話 ネク・ビエンテ
ネク・ビエンテは目に見えてイライラした様子で、のっそりしたデカブツのフォールスを睨みつける。しかし、元々の童顔に加えまだ12才という姿では威圧感すらでず、微笑ましくすらあった。
「やっぱ君に任せるんじゃなかったよ。はぁ、何やってくれたんだ」
溜息をつき項垂れるようにそうこぼす。そもそも接触できると思わなかったから、具体的に何を伝えておくべきかなんかを伝えなかった自分の落ち度でもあるのだが、それにしても全部話すとは思いもよらなかった
「......でも、接触することは出来たし...ルーン文字を使った魔法を教えると約束してきた」
そう言ってポッケからスマホを取り出して弄り出す。不慣れな様で操作する指があっちにこっちに泳いでいる。それを見ておじいちゃんか、と思う。
数分格闘してようやく連絡先を表示してネクにスマホを見せる。いつも無表情な癖に今だけドヤ顔してるのがわかるのが余計に腹立たしい。
「ほら、連絡先」
それでも、目的の半分くらいは達成してるから本来なら褒めるべきなんだろうけど...
「でも君なあ!目的はペラペラ喋っちゃダメだろう。まだね、まだ、空とくうだけしかいないのなら、百歩譲って許せるよ、でも、トーマスが居たんでしょ?位持ちの。なら、ダメだよぅ」
「……はっ」
「いや、はっ。じゃねーよ気付けよ!馬鹿者!」
フォールスに諜報なんて土台無理な話だったのかもしれない。けれど空を引き込むには空の興味を満たす話で釣るしかなく、それが出来そうなのがフォールスだっただけの話。
「はぁ、まぁ、いいか。これからの動きをどうするかだけど、先ずは空が受けている依頼の手助けが先決になるね。どうもきな臭いしね」
「……空と………くう。この2人を害する者は全て消す。それで問題ない」
普段ののんびりした声色なのに目の色が殺意でこもる。その目を受けて一瞬怯むが、ネクは苦笑いする。
(この底知れない魔力と殺意があるから任せれるんだけどね)
だけど、それとこれは別。ネクはフォールスを小突いて叱る。
「今その殺意を出すな!」
「むう、癖で……つい」
「それ、空の前では出すなよ?」
「…………………………善処する」
「いや、間が長い!本当に大丈夫でしょうね」
全く持って不安が拭いきれないが、それと同じ安心感と、信頼は持っていた。勿論、本人には言わないが。
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