腐れ縁の幼馴染が手強すぎる!【本編完結済み】

幽天こあい

腐れ縁の幼馴染

第1話 新生活?

「つーかーれーた」


 俺の家に入るなり、ぐでんと俺のベットに寄りかかってそう言ってきたのは俺、天道優斗てんどうゆうとの幼稚園からの幼馴染である後藤美空ごとうみそらだ。

 俺は中学生になるまで親が転勤族で頻繁に引っ越しをしていたが、美空の親も転勤族だったこともあってか、小学生の内の三年間が傍にいなかった唯一の時期である。

 同じ転勤族の家族だと言っても、転勤先まで一緒というのは運命というより呪いのように感じる。

 美空が以前は人見知りだったこともあり、俺にべったりだったが、大学生になった今でも俺にかまってくるのはどうゆう趣味なんだ。せっかく外面は良いのにもったいない。

 かといって実際に関わらなくなったら寂しく感じてしまう事が容易に想像できるのが実に腹立たしい。


「どうしたんだよ。今日は新歓行くだけじゃなかったか」

「聞いてよ優斗ぉ。サークルの紹介だって聞いたのに後半からずっとサークル勧誘という名のナンパばっかりだったの。お酒も入ってるから対処しづらかったぁ」

「そうなるだろうと思って俺は行かなかったんだよ。もうサークル決めてたし」

「そう思ってたなら言ってよ。可愛い幼馴染が心配じゃないの?」


 しまった……美空が俺で遊ぶきかっけを与えてしまったみたいだ。

 疲れたと言っていたのに途端に口角が上がっている。このままだといつものように遊ばれて終わってしまう。

 ………ここは敢えて俺から攻めてみたら面白いかもしれない。


「あぁ、心配だったよ。もう少し連絡も何もなかったら迎えに行くところだった。」

「へあっ………全くもう優斗はそんなに私のことが大事なの?」

「あぁ大事だ。美空と離れることなんか想像できない」

「そっそう……」


 勝ったな。俺で遊ぼうとした罰は受けてもらうぞ。


「(じゃあ、私ももっと甘えて良いかな)」

「ん?どうした?」

「あのね優斗。私、もっと優斗と一緒に居たいから優斗のサークル教えて。それに家の合鍵も交換しよう。」


 そう言って美空は俺に抱き着いてきて、自分の部屋の鍵を俺の手の中に入れてきた。


「いやいや、待ってくれ。同じマンションで隣の部屋だと言っても、俺に好き勝手に部屋に入られたら嫌だろ」

「ううん。優斗だったら嫌じゃない。優斗は私が部屋に入ってくるの嫌?」


 抱き着いたままこちらを見上げてくる美空のハチミツのように甘い表情を見てしまった俺の頭は真っ白になった。


「い、嫌じゃない。嬉しいよ」

「ほんと!一緒だね優斗。好き」





 ………負けた。


 その後、夜中まで美空と一緒に動画を見て、そのまま眠りについた。

 


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