妄想備忘録
水切六六
なんか目が見える
いきなりソレは現れた。
初めて気付いたのは、通勤中だった。
車通りの多い、至って普通の交差点。
そこに立つ電信柱と目があった。
揶揄では無い。
「目」があったから「目」が合った。
次に気付いたのは会社到着間際。
我社のビルの屋上付近で目と目が合った。
只々こちらを見ている。
目のせいで今日は気分が優れない。
足取り重く帰路に立つ。
あの交差点には近づきたくないので、電車で帰ることにした。
しかし、やはりそこにもソレがいた。
ホームからこちらを見ている。
いや、違う。ホームがこちらを見ていた。
なんとか電車に乗り込み、自宅の最寄り駅へと向かったが、やはりホームと目が合ってしまった。
電車を降り、トボトボと歩きだす。
一体何だと言うんだ…。
怒りと恐怖で顔をしかめ、ため息をつき、下を向く。
今度は地面と「目」が合った。
驚いて反射的に目を空へとやるが、直ぐに後悔した。
今度は青空と「目」が合った。
そして気付いた私はこう言った。
「ニッポンオワタ…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます