若いだけで妊娠出産できるなら、ウチは大家族だわ!

叶森実珠

第1話 簡単な生い立ちから入籍まで

生まれ育った家庭環境が悪かったのもあり、早く温かい家庭を築きたかった。


母子家庭、一人っ子、借金まみれ(貧困)、虐待、最近ではニュースでよく聞くようになった単語ばかり。私が幼い頃はそうではなかったのを察して欲しい。


祖母の介護を中学生から21歳になるまでしてきたものだから、学生時代に青春なんてあったものじゃなかったし。色恋の1つを学ぶ事なく共学の公立高校を卒業してしまったが、なんやかんやご縁に恵まれて1年半の交際期間を経て22歳の時に、27歳の主人と入籍。


結婚を機に母との縁を完全に断ち、これからは幸せな自分の家庭を築いていくのだ!と、お花畑をルンルンでスキップしているようなとてもハッピーな気分だった。


実家暮らしの時は、バイト代は全て没収されお小遣い制。作った料理はやれ玉ねぎが大きいだ、口に合わないだと残されお菓子を貪り出し、健康診断の結果が悪ければ日頃の食事を用意していた私の所為にされ。機嫌が悪ければひたすら存在を否定されていた。


それが結婚生活がはじまると自分で稼いだお金を好きなように使えるようになり、作った料理は美味しいと食べてくれて、家事をしただけで「ありがとう」という言葉がある。

これまでの自分の生い立ちを考えれば、幸せな家庭への第一歩を踏み出したと言っても過言ではない。


だが、この時すでに『早く子どもを産みたい私vs俺たちに子どもはまだ早い主人』のゴングが鳴り響いていたことを私が知るのはもう少しあとになる。

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