エクスカリバー
門前払 勝無
第1話
小さな女の子は剣を握っている。
麦畑を走りながら狐と追いかけっこをしている。小鳥達が笑っている。
森の入り口まで行くと熊が「ここからは危ないから帰りなさい」と注意される。
女の子は小鳥の案内で家に帰る。玄関の前で振り返ると動物達が手を振ってバイバイしていた。
女の子はまだ遊び足りない気持ちを我慢してコンクリートでてきた家に入る。ピラミッドの迷宮のような家は暗くて、手に持つ剣をかざして辺りを光で照しながら奥へと進む…。
泥人形の家族と泥のスープを食べてボロ切れのような布団で眠る。
鉄兜を被り学校へ通う。
降り注ぐ石の雨から頭を守る。カラクリ人形の同級生がはしゃぐのを見ながら、麦畑の先の森を思い出す。赤や黄色、たくさんの動物達が住む森になんで熊は入れてくれないんだろう…。
転校生が来た。
アーサーという男の子であった。アーサーという男の子は汚れた服を着て心の扉を閉ざしていて、目も皆と違う所を見ていて笑っていても涙が頬を伝っていた。アーサーは外に出るときに皆と同じの鉄兜を被っていなかった。石の雨を我慢しながら耐えている。身体中にアザが出来ていた。
女の子はアーサーを麦畑の先の森に連れていった。
森の入り口にはたくさんの動物達が待っていてアーサーを見ている。
女の子は持っている剣をアーサーに渡すと、動物達が微笑んでアーサーを森に招き入れた。
アーサーは動物達と森に入っていった。
女の子はアーサーが見えなくなるまで見送っていた。後ろから引っ張られる感じがして、自分の体がカラクリ人形になっていく、女の子はもがいた。糸が身体中に絡み付いてがんじがらめになった。泥人形達に囲まれて怖くて目を瞑っていると、森からアーサーが現れて泥人形達を光る剣でやっつけて、女の子の糸を剣で切り放ち、右手で剣を持ち、左手で女の子の右手を掴んだ。
アーサーは女の子と木漏れ日に包まれた森へ入っていった。
おわり
エクスカリバー 門前払 勝無 @kaburemono
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