第59話 純然たる悪意。2/3
——。
しかしながら
そんな彼の傍ら、嵐の過ぎ去った青天の下で椅子に座り黒い円柱の
「取り敢えず、テメェもポップコーン食べるか? お前がタイミング悪く現れた
「切った口の中に塩が染み込むかも知れねぇが、自業自得だろ」
そして草原の湿った土の上、大の字で両手両足を五角形に黒い鉄棒で
「……要る訳ねぇだろ、そんなもん。さっさと殺せよクソッタレ」
すると右側に座る悪意の魔人の嫌みったらしいその言動を横目に
「そりゃ
一方で、拘束を受けず自由を
先程まで繰り広げられていた暴力の
すると、そんな風たちに傷を
「——……レヴィはどうした」
ほんの気まぐれと言った風体を
「左側を見て見りゃ、大体わかる」
彼が見せる初めての会話形式を待ちかねていたイミトではあったが、その質問内容ゆえか淡白な視線をバンデットに向けた後、自身が言葉で放ちバンデットの視線を誘導する方向に先んじて目を向ける。
「「……」」
そこにあるのは草原の雑草に混じる人の腕。
手首から下、腕を
「俺は……俺はまた守れなかったのか……何も……」
物を語らぬ人の腕に、震えるはバンデット・ラック。
レヴィは死んだのだ——彼女を追い掛けたのは、魔人の仲間の三人。
その誰もが、只ならぬ気配を持っていた。連想するは
だが——、
「勘違いすんな。たく、テメェのような察しの悪いガキは嫌いだよ」
彼女は死んでいないのだ。歯を噛み締めて涙を堪えようとするバンデットに呆れの溜息を漏らし軽蔑しながらも教鞭を振るうが如く彼に真実をイミトは語る。
「あのレヴィって女は、自分の片腕を
「ウチの仲間は、そういう事に関しちゃ嘘はつかないし、小娘だからって見逃す程にシュガーでも無い。信頼できる情報だぞ」
「生きているのか……⁉」
「そりゃ今後の運次第だろ。いつだってそうだ」
それは、一度は絶望に心までを
「つまり自分の目的やら命を優先してのトカゲの尻尾切りって訳だ。それを踏まえて今の気分はどうだよバンデット・ラックくん」
気晴らしにポップコーンを
「——……そうやって俺の様子を愉しみたいのかクソ野郎。どう転んだって異世界転生者にロクな奴は居ねぇな。もう良いから殺しやがれ」
すると鼻を啜って涙を押し込め、心を持ち直したバンデットはエンディングの余韻に
「そういう無駄な所で勘ぐって人の細やかな慈愛に満ちた言動を勘違いに受け取る所も嫌いだね。ロクな奴は居ないってのには同調したい所だが」
しかしながら、気の利いた
ただ——ただ、言葉と気配でテレビのリモコンを奪い合っているかのような、そんな風体。
「俺は只、お喋りをしたいだけだって言っただろ。どうせ死ぬんだ——地獄への
「……話す事など無い。殺せ」
「ったく、心折れて諦めちまったみたいだな。目的の為に
けれど、言わずもがな
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