第44話4/4 セティス・メラ・ディナーナ。
——、
そして引き戻されるように再来する
「何か起こす前に——溶けて消えろ‼」
「——そんな羽が舞ったからなんだというの……だ⁉ ぐああああああ‼」
「……夢を見てた。もう私には——料理を食べさせたい人は、居ないんだって」
フワリと軽い
セティス・メラ・ディナーナは悪夢から覚めたように服の
薄青かった髪は白く染まり、その上を赤が濡らす。
「
その瞬間——、地に落ちていた
「ば、馬鹿な‼ 私の体の神経核を的確に撃ち抜いて——⁉」
アーティー・ブランドに痛みは無かったことだろう。しかし流動するスライムの身体を光線のように凄まじい速度の羽で貫かれた場所は、水風船かと思う程に
「私の魔力感知には、アナタの全てが見えている。その分裂してる極小微細の魔力核と魔力核同士の神経のような
「有り得ない——有り得るわけがな——ぐがああああ‼」
ポタリポタリとセティスの顔から床に
「私の視覚を奪った
だがセティスは
「ならば——空間を
その追撃を防ぐべく、飛び回る
けれど、その
故に——、
「……今の私には、目がある。どう空間が
対策や、心構えは万全に近く。セティスは眼前の空間が歪まされようと気にも留めず今度は狙撃銃を構えて
「——⁉ くそがぁぁぁぁ‼」
無数の羽と共に貫かれ、
——しかし、トドメかと思われたその瞬間——
「ふっ。とでも言って欲しかったか?」
「うっ——⁉」
背後から槍のような水流に襲われるセティス。撃ち抜いたつもりが逆に撃ち抜かれた格好で、床に倒れ伏した少女の体。
「もう私は油断しない。貴様らを過小評価もしない」
「歪みに対応するばかりで地中からの警戒を
そして不意打ちを仕掛けたアーティー・ブランドは床の
「そして——、結界内もっ、地中からならば攻撃できる‼」
更にアーティーは
「——はは……は?」
彼は、げでしかない得意げだったのだ。確かに、その瞬間までは。
「……ふふ、ふふふ。いつから、その結界が防御結界だと、そう思ってた?」
「いつから——
腹部を片手で抑えながら起き上がったセティスに、呆然としたままに振り返るアーティー。
その実、得意だったのは彼女であったのだ。
「き、貴様ぁ……‼ 穴を掘らせて王子を弾丸で運ばせているのか‼」
瞬間、事の全てを理解して半透明の顔を負の感情に歪ませるアーティーを尻目に、背後になった霧の結界は
「忘れてない? この場所を見つけたイミトのスライムの事」
「……」
めくるめくと
「追い掛けないの? 穴は一本道。今なら、急げば間に合うかもしれないのに」
「くっ——‼」
更に嘲笑と共に、セティスが新たに取り出した武器の形状——掘られている穴を見事に埋め尽くす程の魔力のエネルギー弾を放てそうな大砲をまざまざと見せつけられ、
——恐らく、アーティーが本来の目的であるクジャリアースたちを追い掛ければ、背後から魔力の大砲が放たれ、彼は
「……イミトなら、なんて言うかな?」
「ああ——女の子の穴以外は、お嫌い? アーティー・ブランドーさん」
その目論見が
だらりと首を曲げてから、本来の彼女の色では無い赤い瞳で——
「じゃあ、私とは——遊んでくれるんだよね?」
「このっ、クソガキがァぁぁぁ‼」
セティス・メラ・ディナーナが
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