第4話

さくらは案内されるがままにとことこと執事さんの後ろをついて歩いていた。


「あ、あの〜すみません? ひとつ聞きたいんですが?」 


さくらは遠慮がちに口を開いた。

私ってどうゆう位置づけなんだろう? 捕まりました→奴隷にされかけました→とりあえずそれはなしになったけど王宮に滞在?

私って今どんな扱い??


「わたしってずっとここで暮らすんでしょうか?」


「私には分かりかねます。それは全て王がお決めになられるので」


「そ……そっか。ありがとう」


執事は少し目を開きすぐにすっと目を細め娘を見た。

決して丁寧という扱いと言えるものではない状態で無理やり連れてこられた少女。普通なら怯え口も聞けないはずである。ましてや感謝を述べるなんてありえない。ものすごい胆力なのだろう。

見た目は保護欲を掻き立てる美少女だ。これは王宮に色々風が吹き荒れそうだ……執事は小さく息をはいた。



「こちらです」



「わ……ぁ!素敵……」


重厚な樫の木の扉をあけると、きれいに整えられた広いリビングにかわいいリビングセットがおいてあり、窓の外には広いバルコニーがついた部屋に案内された。

隣の部屋にはおっきい天蓋つきベット。その続きには猫脚のお風呂が…

どこぞのホテルのスイートルームか! っていうくらいな豪奢な部屋にぽかんっと立ちすくんでしまった。


「では、後ほどお茶をおもちしますね」


と頭を下げ執事は部屋をでていった。

ホッとして可愛いソファーに腰を掛けた。

するとすぐにコンコンと扉を叩かれビクリと背筋が伸びた。


「ひゃい!」


驚いたせいで噛んでしまった。


「……私だ。入っていいだろうか」  




「え……と? どちら様で?」


「カインだ。いいだろうか? 部屋の中には入らないから」


「いや、いいよ入ってください」


そう言ってさくらはとびらに手をかけた。


ガチャッと重い扉がひらかれると、そこにカインが悲痛な表情で佇んでいた。


「ど……どうぞ?」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る