雑談③ 銃のきっかけはジョン・ウィック
〈莉緒〉
トリビア回も三度目、今回は何を紹介するの?
〈五月雨〉
今回は『機巧探偵』で使われている銃火器や装備の紹介です。
〈莉緒〉
ガンマニアにはたまらないネタを持って来たわね。
〈五月雨〉
基本的にクロガネが使用する銃も防弾スーツも、キアヌ・リーヴス主演のアクション映画『ジョン・ウィック』(※9)に登場したものを使っています。
※9『ジョン・ウィック』
かつて伝説の殺し屋として恐れられた主人公は平和で穏やかな生活を送っていたが、ある日を境に殺し屋として復活するアクション映画。
〈五月雨〉
後でキャラクター紹介コーナーでも解説しますが、クロガネのイメージ元の一つがジョン・ウィックだったりします。
不屈の精神、元殺し屋設定、防弾スーツに戦闘スタイルなどなど共通点が随所に見られますね。
〈莉緒〉
それじゃあ、クロガネが使っている銃も?
〈五月雨〉
はい。クロガネの愛銃であるキンバー1911は『ジョン・ウィック2』のクライマックスで登場します。
他にも対オートマタ戦で使用したベネリM4セミオートショットガンも『ジョン・ウィック3』の影響で採用してますね。
〈莉緒〉
ナディアのライフルも『ジョン・ウィック』リスペクト?
〈五月雨〉
いえ、世界的に有名かつ信頼性の高いメジャーなモデルを選んでいます。
基本的に『ジョン・ウィック』リスペクトはクロガネ限定です。
主人公の銃は安定性の高いモデルにしようかなーと考えていた矢先、たまたま『ジョン・ウィック2』を観て、その戦闘スタイルとキンバー1911がクロガネのイメージと合致したのがきっかけでした。
『ジョン・ウィック3』の防弾装備を易々と貫くベネリM4と徹甲弾の組み合わせも、対オートマタ戦で使えるとしてそのまま採用してます。
〈莉緒〉
それじゃあ、他のキャラクターが使っている銃は?
〈五月雨〉
戦闘シーンを書く際に「こんな銃を使いたい」「ここで大口径のライフルを出したい」と思ったら、まずネットや資料を調べていくつか挙げた候補の中からそのキャラクターに見合ったものを採用しています。大抵は実用性がある有名どころを採用していますね。
以下、主に使用した銃器の一覧を載せておきます。
簡単な紹介と作中での活躍シーンも付けておきますね。
***
・キンバー1911(クロガネが使用)
45口径自動拳銃。装弾数7発。
百年以上も前に製造された名銃コルト・ガバメントのクローンモデル。
ガバメントは砂を被ろうが泥を被ろうが動作不良が起きにくい高い信頼性と安定性があるため、未だに現役で採用している軍や特殊部隊は数知れず。拡張パーツやバリエーションも豊富で部品交換もメンテナンスも容易に行える。
キンバーは高精度・高品質でありながらオリジナルのガバメントよりもコスパが良いのが特徴。ガバメント特有の高い安定性に安価ということで、実用性重視かつ貧乏性な主人公にはピッタリな拳銃である。
45口径拳銃弾は貫通力よりも衝撃力に優れているため、『機巧探偵』の世界観では「オートマタ内部の電子回路に衝撃を与えて故障させる」といった戦術目的で採用している。
勿論、より威力と貫通力のあるライフルやショットガンを使えば良い話だが、長物がない状況下における緊急にして最終手段として警察や軍の対オートマタ専門部署で広く認知されている。
・グロック17(銀子、優利など多くのキャラクターが使用)
9ミリ自動拳銃。装弾数17発。
現実では「世界で最も売れている自動拳銃」として有名。
軽量なプラスチック製のフレームを使用し、安全装置を引き金に組み込むことで操作性が高く扱いやすいのが特徴。
そのため『機巧探偵』の世界観ではガバメントと並んで人気モデルであり、クロガネ探偵事務所をライバル視する白野探偵社もグロックを採用している。
拡張パーツやバリエーションも豊富であり、『3』においてクロガネが使用したのは近接戦闘用に改造されたもの。
・S&W M49 ボディーガード(クロガネが使用)
38口径小型リボルバー。装弾数5発。
探偵を始めたクロガネが鋼和市の帯銃制度に則り、正規の手続きを踏んで手に入れた護身用拳銃。
俗に「チーフスペシャル」と呼ばれる小型リボルバー、M36の派生モデル。
M36は小型軽量かつ操作性もメンテナンスも簡単なため、古くから護身用として人気がある。
ハードボイルド作家のレイモンド・チャンドラーが生み出した架空の探偵フィリップ・マーロウ(仮面ライダーWで菅田将暉が演じたフィリップの元ネタ)がM36を使っていたことは有名で、小説の影響でこの銃の売り上げが伸びたとも言われている。
バリエーションモデルのM49は撃鉄部分がポケットや衣服に引っ掛からないようフレーム内に隠れてあるのが特徴。
日本では2007年に長崎市長射殺事件において犯人が使用した凶器としても知られ、「ボディガードで暗殺」という銃の存在そのものを皮肉った事件でもあった。
クロガネはその銃に対する皮肉と、かつて暗殺者だった自身の戒めとして、あえてM49を探偵の初期装備に選んだという。
「ボディーガードは護身用」とは彼の弁であり、のちに美優の護身用として使われるようになる。
・ベネリM4(主にクロガネが使用)
口径12ゲージ。装弾数5発。
セミオートショットガンの傑作。
撃った時の反動も軽いため命中精度が高く、秒間5発という連射性能が最大の特徴である。
作中では徹甲弾と組み合わせて多数のオートマタを撃破していた。
他には散弾で飛来するグレネードを撃ち落としたりと、主人公が使用する銃の中では最も活躍している。『4』では出嶋も使用したことがあった。
・GM6リンクス(ナディアが使用)
50口径ブルパップ方式対物ライフル。装弾数10発。
またの名をゲパード、ハンガリー語で「チーター」を意味する作中最強の銃。
引き金の後方に機関部を配置するブルパップ方式を採用し、対物ライフルとしては小型軽量(それでも11キロはあるが)であり、立射姿勢で連射も可能。
銃身を後退させ全長を短くした状態で携行できるため、抱えた状態で車の助手席を乗り降り出来るなど即応性も高い。
ブルパップ方式で発射時に銃身が伸縮する機構のため、反動も従来の対物ライフルと比べてマイルド……とはいえ、流石にナディアの体格では立射は困難なため、バイポッドで銃を固定して伏射姿勢で使用することが多い。
作中では『3』で走行中の車から戦車型オートマタの武装をピンポイントで破壊し、『4』で邪神と称される怪物の頭と土手っ腹に風穴を開ける活躍を見せる。
・M24 SWS(ナディアが使用)
口径7.62ミリ。装弾数5発(固定式弾倉)。
世界中の軍や警察で採用されている信頼と安心のレミントン社製軍用狙撃銃。
極めて高性能かつ高精度なボルトアクション方式のスナイパーライフルで有効射程は八百メートル。対人用の狙撃銃としては必要充分な威力と射程と命中精度がある。
ナディアが愛用しているスナイパーライフルであり、作中では出番が少なかったが実は彼女が最も使用している銃でもある。
・SCAR-H(ナディア、美優が使用)
口径7.62ミリ。装弾数20発。
M24と同じ弾薬を使用するアサルトライフル。
一般的に知られているアサルトライフルが口径5.56ミリなので、7.62ミリ弾を使用するアサルトライフルはバトルライフルとも呼ばれているが、あまり定着していない。
『4』でナディアがクルーズ船から脱出するクロガネ達を支援する際に使用。人外の怪物である半魚人を次々と射殺して見せた。
・M4 CQB-R(ナディアが使用)
口径5.56ミリ。装弾数30発。
アサルトライフルの代表格であるM4A1の銃身を切り詰めて短くし、屋内での近接戦闘用に改造した銃。M4は拡張性が高くバリエーションが豊富であるため、米軍の特殊部隊によっては細かい違いが見られる。「細か過ぎて把握し切れない!」とは作者の弁。これは部隊や作戦ごとに現場の判断などでマイナーチェンジが繰り返されているからである。それだけM4の基本設計が優秀であることが窺えよう。
ナディアがM24の次によく使う銃で、実は『3』作中で【黄昏】構成員相手に使用したアサルトライフルがこれ。
余談だが、クロガネも暗殺者時代はCQB-Rよりも銃身を短く切り詰めたショートバレルライフル(SBR)を使用していたことがある。
ハンドガンメインでライフルには無縁かと思いきや、『2』のVRゲーム内でM4A1に酷似した銃を奪取して使用しており、「その構造も扱い方も熟知している」という記述がある。
・AK47(美優が使用)
口径7.62ミリ。装弾数30発。
M4A1と並んで世界的に有名なアサルトライフル。
「世界で最も多く製造され使われている軍用銃」としても有名で、ゲリラやテロリストが使用することが多く見られる。
部品点数が少なく製造もメンテナンスも容易な上に、砂や埃を被ろうが問題なく作動するタフな構造のため、開発から今日に至るまで長く使われている。
『機巧探偵』作中では『4』に登場した半魚人が主に使用しており、彼らから奪取した美優も使用している。
・P90(主にクロガネ、怪盗が使用)
口径5.7ミリ。装弾数50発。
人間工学に基づいて設計されたSFチックな外観が特徴的なPDWの代表格。
PDWとは、パーソナル・ディフェンス・ウェポン(個人防衛火器)の略であり、元々は後方部隊や戦闘機パイロットの自衛用として開発された経緯がある(諸説あり)。
つまり、
「ライフルよりも携帯性に優れ、サブマシンガンのように片手での咄嗟の取り扱いが可能で、短距離でなくともボディアーマーに対して効力のある銃が欲しいから作って♡」
とのこと。無茶言うな。
ともあれ、そんな欲張りセットを形にした銃がP90である。
引き金の後方に機関部を配置するブルパップ方式を採用し、全長をコンパクトにしつつ、銃身の長さを維持することに成功したことで高い命中精度を実現。
専用の5.7×28ミリ弾は高初速で防弾繊維などの剛体を貫通し、人体などの軟体に当たれば弾頭が乱回転して留まるという特性からストッピングパワーも高い。
そして50発という大火力とその特徴的な外観が人気を呼び、フィクションの世界ではP90を目にすることが何気に多い。
『4』の作中でクロガネと怪盗が狭い船内で半魚人相手に使用。美優もクロガネからP90を譲渡されて使用している。
・ファイブ・セブン(クロガネが使用)
口径5.7ミリ。装弾数20発。
P90専用のバックアップとして開発された同じ弾薬を使用する自動拳銃。『4』で主にクロガネと銀子が使用している。
・M249ミニミ(出嶋が使用)
口径7.62ミリ。装弾数200発。
分隊支援火器と呼ばれ、大量の弾幕を張って味方を支援かつ敵を掃討するマシンガン。重量は本体だけで7キロを超え、予備の弾薬も合わされば装備の総重量は10キロを軽く超える。
発射速度毎分1100発。まともに喰らえば、一瞬でミンチになる。
『4』作中ではアンドロイド端末である出嶋がこの大物を軽々と操り、群がる半魚人を薙ぎ払ってネギトロにしていた。
ん? ネギはどこから来たって? 考えるな、感じろ。
・ダネルMGL(新倉が使用)
口径40ミリ。装弾数6発。
リボルビンググレネードランチャー。
本来は剣士である新倉が使用。
『3』では戦車型オートマタに、『4』では怪物と化した出目治に対して使用していたが、強力な対戦車榴弾が直撃したにも拘わらず、いずれも撃破には至っていない。嘘だろ……。
・シングル・アクション・アーミー(クロガネが使用)
45口径リボルバー。装弾数6発。
西部劇でお馴染み、通称ピースメーカー。
『4』作中において、某蛇の人に「戦術的優位性が無い」と注意を受けそうな彫刻が施されている。その見た目通り鑑賞用として美術館に展示されていたが、元々はイギリスの宝石商リチャード・アルバの私物であり、対怪物用の銀弾を装填していた。
のちにクロガネに貸与され、『ダゴン』と融合した出目治を倒す切り札となったが、持ち主の元に戻ることは叶わず破壊されてしまう。
***
〈五月雨〉
ざっとこんなところですかね?
〈莉緒〉
多いなぁ。
〈五月雨〉
特殊部隊は任務や作戦に応じて銃を使い分けることが基本ですので、ゼロナンバーが使用する銃器は今回紹介した以上に種類が豊富です。
〈莉緒〉
でもそれは獅子堂という強力なバックアップがあるからこそよね。
基本的に資金が潤沢でなければ、その時の作戦に適した装備なんて選べないもの。
〈五月雨〉
その通りです。
作中でクロガネ達が様々な装備を使用しているのは、獅子堂が強大な権力と財力を有しているからこそです。
〈莉緒〉
既に独立して獅子堂とはあまり関わりたくなかったクロガネも、美優を守るためならばその力を借りるのに迷いはない感じかな?
〈五月雨〉
それが一番合理的で効率的ですからね。獅子堂から厄介な依頼を請け負うリスクはあるものの、美優を守れる力を借りない理由はありませんし。お互いの利害は一致しているWIN-WINの関係です。
〈莉緒〉
今後も戦闘シーンでは色々な銃が出てくるのかな?
〈五月雨〉
その時の状況次第では出てきますね。
それと今更ですが、今回紹介した銃のデータや紹介については私なりに調べた上で記載していますが、万一誤りがあった場合はその都度ご指摘して頂けると助かります。
〈莉緒〉
本当に今更だな、おい。
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