断章2 混沌のお茶会 前編

混沌のお茶会 前編




都の管理地域でぐーたらしている ダメ人間


婉姫の弟子のうずら姫にお茶会への出席要請が来る!


うずら姫は戦闘用の武官や武神でもない 文官としての能力も最下位


「いやじゃー 行きたくないのじゃ!」


「どうせ性格の悪い悪女どもにいいように馬鹿にされて」


「かませ犬にされるだけじゃ!」


「あんな場所になど行きとうない!」


駄々をこねる中 優秀な部下の綾女に何度もいさめられる


あるじは少しでも立派になってもらいたい!

この負け癖はよくない!


できることなら横暴な支配者になってもらいたいぐらいだが・・・

この性格では無理だ・・いくら綱吉 最強の【怨霊ネズミ】を従えても

根っこのところは全く変わらない!


基本スぺックが【歴代最弱】自信がなく負け癖がついている!

この歴史実績は伊達ではない!



駄々をこねる中、


其処へ婉姫が訪れる!


「相変わらず かしましい!耳が痛くなる」


いやじゃー いやじゃー駄々をこねる声が響いている!


曲がりなりにも弟子なのでその内容を聞き!


「むう!私などお茶会に呼ばれたことがない!」


うらやましい・・・・


とても高級なお茶菓子やお酒が飲める場所と聞く

俳句などやらねばならんらしいが・・・


面白そうだ!


文官や知将が集まる席 最も野蛮で脳足らずと判断される婉姫には

招待状など来たことがない!


うずら姫をひっつかみ、全く取り合わず!


「よし!行くぞ!つれていけ!」


紹介状がないと参加は・・・


「ならおぬしが書け!」


面白そうなので綾女がそれっぽい文章を即席で仕上げて

渋々うずら姫が署名する


「弟子が行くなら師匠が行っていけない道理はない!」

勝手な理屈を展開!


だが、【お茶会】開始までの時間が今から急いでもぎりぎりだ


倭国の領土の先端 平杏京の外敵の領地に近接するギザギザの境界線の先端

とても風流で絶景の場所らしい!


この場所から直線距離では進むことができない場所▽

                       △

その先端まで進むにはこのような細い領土すら通らなければならない!


「時間がないのか・・・」


白虎の足だと、うずら姫は速度や衝撃に耐えれんか!


考えをめぐらしたのち!


【車をもてーい!】

和風の異世界に車などあるのか?時代錯誤だと思っていたら


そこに【牛車】本来なら貴人が乗り込みゆっくりと優雅に進むものだが

かなり違う!


これは・・チャリオットを彷彿させる

凶暴でまがまがしい牛車が現れる!


牛どころか、ミノタウロスに引かせるのかと思うとかなり違う


「こいつなら空を翔れるのでな!」

元 嘩瀧月霞の配下


領地に配置されていたMVP ボス級モンスター

三幻の一人「刖」(げつ)


わかりやすく言うなら

最強種の牛鬼【ラージャン】


「こいつは凶暴でな、私の言うこと以外聞かないし」

「単純な命令以外受け付けない!」


刖はうめく「なぜ我がこのようなことを・・・」

「早く月霞様のもとに帰りたい・・・」


力の差は歴然で婉姫になど勝てるわけがない!

【用済みになっちたら焼肉にされ牛肉パーティ】とか

ろくな未来が見えない・・・


だが、婉姫は気分屋で気まぐれだから運が良ければ

解放されるかもしれない!その思いを淡く抱きつつ任務に耐える


「良いか!ここら辺にある啓楼閣(けいろうかく)と言われる場所に連れていけ」


最短距離で進み邪魔するものは容赦するな!進行上にあるものは

すべて薙ぎ払い!邪魔するものは仕留めよ!


本来は婉姫とうずら姫だけで行く予定だったが・・・

面白そうなので綾女も頼み込んで同席する


ちゃんと茶器や筆など必要なものを

綾女が進言して直ぐにそれがそろう


婉姫が刖の頭をひっぱたき「時間がない!急げよ!」


刖は頭にきたがどうせ責任は婉姫がとる!

好きに暴れてやろう!ということでそこからの進撃が始まる!


戦闘機が格納庫を吹き飛ばしての出撃のように


口から極太のサンダーブレスを町中に放ち

町を半壊させて臨時の滑走路をつくり

まさしく轟音を上げる戦闘機のようにイカズチの轟音を響かせながら

飛翔していく!



都では何事かと集まった憲兵や近衛 警備のもの官女の武官まで

静止したり迎撃しようとするが進行上のものはすべて薙ぎ払われ

重症者多数


都が大騒ぎになる!


都を納める 皇后の鈴鹿御前は

「あのバカは・・・」

問題ばかり起こしやがって・・・


仕事がかたずいたら、気分転換のために

つかさを伴って【お茶会】に主席しようと

思っていたのだが・・・


つかさの転移術を見極めたいのと、

あやつが喜びそうな催し

あやつの楽しそうな顔でも拝んでやるかという心づもりだったのだが

予定が婉姫に台無しにされる!




進路上にあった建物や中空でも山などの山頂を吹き飛ばしながら、

進行上にあるすべての物を壊し突き進む


綾女は都の被害のことで頭で計算をめぐらせている!

人的被害は惜しいが・・・


元々古い建物 老朽化が進んでいる物もある

これはこれでいい機会だ!破壊は新たな再生を生む

復興特需 お金をばらまき技術者を豊かにして

街も区画整理 国からも金が出るかもしれん!


そもそも税というものは国民のお金 国民に還元する行為を

なんでもバラマキと言うのはばかげている!

被害は被害で、かなり前向きな考えをしている


新たな仕事の一つに過ぎない!

ため込んだお金の還元方法で考えていたりする


牛車の中から窓越しに見るのだがものすごい速度と

時折走る 雷鳴や雷撃


婉姫やうずら姫は単純に楽しんでいるが・・・


これは華僑の領土を横切るな!

隠密やステルスではなくワザワザ居場所を知らせながら

大音響で自分の力を誇示するかのような進撃


世界中の船が通過出来た場所の岩礁を勝手に埋め立てて

勝手に自分の領地と言い張る地域とは違い


明らかに相手の領土 辺境守備隊が居るのならば迎撃に上がってくるだろう!


全く婉姫はそこら辺の事は考えていないんだろうなあとか思っている




可愛そうなのが今まで可もなく不可もなく

辺境を任されていた漢女(敵方の官女)

無難に辺境を納めていた領主


位は45位とまずまず無難で、直ぐに栄転(昇格)で都勤めが決まっていた!


明凛(メイリン)無能ではなく近隣の辺境とも協力できるよう

縦割り行政すら改革しほかの辺境地域とともに

多少のことならお互いの兵を融通しあい有利な状況をもって事に当たり協力し

全てを無難に解決してきた実績がある!


だが、今回ばかりは相手が悪すぎた!


牛鬼の最上位種【ラージャン】近隣と協力すれば倒せないこともない

これを仕留めれば近隣とともに武官としての箔が着く!


この実績をもとに華々しい栄転 都勤めが決まれば更なる出世も夢ではない!


ここまでは良かった・・・


偵察の報告が車を引いている・・・

牛車の代わりに使われている・・・

信じられない報告が次々来る!


牛車には倭国の文字で【婉】のエンブレムがある!


その報告が上がったとたん!今まで友人親友だと思ってた

仲間全てからの連絡が途絶え交信不能


知らんぷり他人の振りが開催される


敵軍の進攻となると事が大事過ぎる!

勝手に戦端開いてよいものか?


何と言うか明凛はまだ若かった・・・

婉姫の恐ろしさを全く理解していない!


更に上司の30位漢女 20位漢女 10位漢女まで瞬く間に其の情報が流れる!


上司にすら責任丸投げ通信さえ切られる始末


華僑の都では大騒ぎ!緊急招集で武漢 武神に当たるものが集められ

【都だけの防備が固められる!】


辺境の漢女は一秒でも時間を稼いで死ね!と言う様な理不尽な命令が返ってくる!


それもそのはず、前の天界大戦ではかの高き方々

【上級神】達でさえ蹂躙、虐殺され恐怖や戦慄を植え込まれている

倭国のあるじの創造維持神でさえ命令を聞いてもらえず困りはてたほどだ!


酷いことに位が上になればなるほど、婉姫の蛮勇や悪名がリアルに響き渡り

酷いものは実体験している!


婉姫と好き好んで戦いたいと言うのは

【四天王】と言われる 華僑最強の武神ぐらいだ!

だが一対一では到底かなわないとされている!


かの伝説の武神【哪吒】(ナタク)でも華僑に降臨しない限り

単体での撃破は不可能とまで言われた倭国の凶神


問題なのが強さよりも頭の悪さ!気分屋

敵味方の意見や命令など聞きやしない!


【実はサルで理解する脳すら持っていないんじゃないか】と言われるほどだ!


戦場で相対したら交渉や話し合いすら通じない!

戦って死ぬか逃げて死ぬか・・・


昔の戦ではこいつの出現した地域からは敵がすべて退いた

とか笑えない逸話がある!


相手は見た瞬間、戦意を消失して降伏してもおかしくはない!

だが降伏すら受け入れない相手!




『一人でも生き延びるためにすべて別方向に逃げろとか!』

命令の記述がある!【戦うという選択肢すら消去された相手】


こいつの居ない地域にカウンターで攻撃を仕掛けるという戦術

が今でも基本戦術として生きている



大事なことなのでまた言おう!


【明凛は若かった!】


無謀にも子飼いの親衛隊 特に優れた物だけを率いて

通過ポイントの先で迎撃任務に当たる!


最凶の武神だか何か知らんが倒して名を上げようと

幸いバカだアホだという都合のよい情報をうのみにして


どうせ直進するだけだ!伏兵として兵を見えないところに伏せて

私が食い止めているうちに左右から奇襲をかける!


完璧だ!まあ同等の戦力があればの話だが・・・


結果 立ちはだかった明凛は・・・


【刖の放った!極太のサンダーブレスに直撃!】

身体が黒こげている中


「おっコイツ動くぞ!」残念ながらガンダムにはなれず!


【刖に跳ね飛ばされて重傷を負い退場】している!

肝心の伏兵はあまりの速度にタイミングが合わず見逃す始末


45位 漢女 明凛は善戦したと言える!


一秒の半分コンマ5秒時間を稼いでいる!


しかも嘩瀧月華の腹心 ただの【ラージャンの訳がない!】

言い換えるなら頂に君臨する王 最強の牛鬼そのものである


幻獣ヶ原のMVP 華僑漢女で言うなら一桁ナンバーの末席に該当する!

実力がある!それと相対して死ななかったこれは見所があるだろう!



牛車に乗っていた婉姫もむ!何か撥ねたか?

それぐらいの思いは与えることに成功している


幸いにも婉姫一行は華僑の領地を離れ 明凛の面目は保たれることになる

本国では【全ての責任を明凛に押し付け首をはねる準備】をしていたのだが・・・


婉姫を退けたことで実力以上の評価と華々しい栄転が決まっている!


【あの時は腹の調子さえよければ!婉姫は倒せていた!】


明凛はそういう恐れしらずの暴言を吐いていたりする!





色々なものを薙ぎ払い 地形を傷つけ荒らし倭国の領土の最北端にある

庭園や庵のある 啓楼閣(けいろうかく)に到着する!


その際みやびな風景 過去形にになったところにたどり着く

婉姫たちのせいで 山肌は削られ 庭園の一区画は牛車 刖の突進で半壊している


何事かと中にいたものは飛び出てくるが


婉姫を見て絶句する!(誰だ!婉姫を呼んだのは!)


気分転換や憩いの癒しの場にまさしく魔王が降臨するような事態


気の弱いものだと、婉姫の声や ひと睨みだけで失神や命すら奪われかねない!


婉姫と一緒にいると【バカになる】【知力数値がまじめに落ちる】

【ガサツになり】【女子力が無くなる】などまことしやかに語られている


文官や智将が馬鹿になるなど、存在価値が無くなるに等しい・・・

文官や頭の良い智将はあえてみずら進んで婉姫に近寄ることはない!

まさしく異世界の異次元人 理解が及ばない存在


われらが文明国家とすると、まさに蛮族

【常識が通用しない!】


このまま五体満足で生きて帰れるかも不安になる!


不用意に近づいて誤まって跳ね飛ばされようものなら

体力が低い私らだと、即刻 重軽傷を負いかねん


うずら姫をモノでも扱うように抱えて出てきた婉姫

あとはお付きの人間一人


婉姫は牛鬼の刖に「この場を守護してやれ!」


「まさかいないと思うが、逃げ出す奴がいたら」

「その場で喰らっても構わん!」


恐ろしい命令が聞こえるように出されている!




今回の集まりの会の中でヒソヒソと話し合いが起きる!

都の中枢が蛮族に乗り込まれたに等しい事態

『逃亡という選択肢すらいきなり封じられている!』

『戦って勝てる相手ではない!』


>敵ですらは見た瞬間、戦意を消失して降伏してもおかしくはない!

だが降伏すら受け入れない相手!


味方でさえ同様の反応や評価


安全なところにいるはずの文官が最前線に立つような緊急事態

この場に集まった、者たちは

仲の悪い敵対的な派閥 ライバルとか言っている暇はない!


ここは限定的な臨時の休戦 お互いの知恵をもって生き残りにかける!


【お茶会の史上目的】が虎の尾を踏むことなく

【生存して生きて帰る】に変更される!


今まで敵やライバルだったものでさえここは協力する必要がある!


まさしく知者たちによる軍議


防壁 障壁を貼れるものは?癒し手は?

武官出身のものは?陣を敷く配置でもめにもめたが、


この会をまともに開くには今まで通りの布陣


上座に上位者を置き 下座にうずら姫と婉姫を配置

この世界も縦社会 身分の低いものが婉姫の近場に配置される


まさに生きた心地がしない!


まじめに本国と連絡を取り救出部隊の派遣すら要請したいぐらいだ!


長距離通信能力のある官女は意地でも守り抜け

何よりも情報 判断材料が大事だ!


情報なくして戦には勝てん!


癒し手や通信兵のような能力のある官女がVIP待遇で守られる!


武官崩れの智者 本来ならこの場では智将としては特に地位が高くないのだが・・・


幾重にも障壁がかけられ癒し手がフル支援する構え!

【前衛のタンカー】が崩れたら一瞬でうちらは瓦解する!

それほどまでにやばい相手!


軍師や学者、賢者に類するものに戦闘能力を期待するほうが間違っている!

もう少し体を鍛えておくんだった、と悔やんでも遅い!


「頼んだ!」「任せた!」「お主の双肩にかかっている!」

「生きて帰れたら酒でも酌み交わそう」


敵対派閥のものからも声援が送られる!


これは相手方が秘匿していた新型の術式による障壁

【物理障壁 玄武型18式】

こんな機密まで解放されあれがわれ信用!当てにされているのか!?


まず前衛 壁役は紳士的な外交官のようにふるまうべき

他のPTと接触したときもMMOなどでは喧嘩など起きたら目が当てられない!


婉姫に対して友好的に振る舞い、武官的に固い握手!儀礼的な行動を!


「名立たる武神の婉姫さまに御逢いできて光栄です!」


めいいっぱいの力で握るべきであろう!

相手の手を破壊尽くすぐらいの力を入れるべきだ!

多分婉姫にはダメージにすらならないであろう!


此方の意気や友好の構えが伝わるかもしれない!

淡い期待を抱く!


あらん限りの力で握りしめ握手を交わす!


「おおう、主は気合が入っているな!」

これは返さねばならぬか、

婉姫は善意で【力を込めて強い力で返す】


幾重にも張られた物理障壁 腕の部分が軽く吹き飛び破壊されるに留まらず!

右手自体完全に破壊しつくされる!


婉姫は其れを見てー

「あーすまん!」

その一言でこのやり取りが終わる!


挨拶の段階で皆の戦意が砕かれる、


「バカな!新型の術式」【四聖獣の玄武の亀甲の術】のアレンジがいとも簡単に・・」

術者たちはこの結果に気落ちしている


「被害は!」

「右手がひどいありさまだが!まだ修復は図れる!」

この段階で癒し手まで動員される

気力SP配分で計算して計画的に使うように考える必要がある!

再考を余儀なくされる!


脂汗を出しながら戦場に復帰する!


私の階位は24位 知勇兼備の文官 緋葉(ひよう)

この催しには 11位と16位の大臣級の智者もいる!

それだけは守り通さねばならない!


階位が23位に昇格できれば私も大臣級上級官女の仲間入りができる!

本来なら中々昇格が許されない階位だが・・・


この事態さえ乗り切れば味方のみならず敵の派閥からも推挙の声が出るかもしれない!


前向きに考えるんだ!【これはチャンスなんだ!】自分に言い聞かす!


自分の命だけではない皆の運命をわたしが握っていると言っても過言ではない!



この場で婉姫以外では最上位の冠位11位 天淵(てんえん)は

考えをめぐらす!


この首謀者は、あの人間の付き人に違いない!

綾女といったか、かなりの智者で倭国に根を張り巡らせていると聞く

婉姫をつかい、うちらを此処で亡き者にするつもりなのか

いままであやつのあるじ『うずら姫』をからかってバカにしていた

意趣返しなのかもしれん!


推測が間違いだと厄介なので仲間に説明してやる必要はないが、

取りあえずこの会を早く始めて早く閉会にする!

逃げ切るしかあるまい!


緋葉がどれだけ耐えれるかわからない!

綾女も水面下に潜られると厄介だ交渉ができるように

この席に出席させるべきであろう!



広大な屋敷の広間 畳の席に並んで間隔を取り皆配置に付き座らされ


皆、家宝や自慢の茶器を出してお互い誉めあい!

雑談を言始めている


婉姫は「何故我が下座に座らねばならん!」

ムッとして怒りだし!

配置換えを所望したが、そこにやんわりと制止の声がかかる


「ここはゆっくり落ち着いて楽しむ場所です!」

「些細なことで取り乱すものではないですよ!」


いつの間にか【梵天さま】が現れている!


かなり偉いかたなので周りは一斉に平伏する!


【これ以上はない援軍】

この場を納めて狂気沙汰になるのを納めてくれるかもしれない!

全滅しかけたところへの本体の援軍に等しい!


だが公平な方でどちらにもつかない可能性もある

この会のスポンサー資金援助先の筆頭


俳句の会では競い合い 優勝したものにはかなりの賞金が提示されている

奇跡の材料【50万カルマ】

自分の領地の地域経済が立て直せる額

趣味と実益を兼ねた催しでもある!


婉姫の配置換えなど許したら全ての生き残るための計画がふいになるところであった・・・

今回は助けられたと思うべきであろう!


この賞金の割り振りでは裏でズルがあるのだが・・・



「婉姫さんあなたが上座でこの会を仕切るのはめんどくさいと思いますよ!」


「それもそうか、客人として此処にいるべきか」


この世界の茶器 【一等茶器】【二等茶器】はものすごい価値が高く中々手に入るものではない!


ある意味ではここでは最大の武装 文官や風流をたしなむものにとっては


とても大切な【官女の証】に【次ぐ大事なもの】で、

これを手に入れるにはお金ではどうにもならない


自分に匹敵する自分を構成するのに必要なカルマ、其れも相当な額

天秤で釣り合うぐらいの物 ある意味者によっては命より大切にされている


婉姫は【冠位3位】に当たる上級神であり、最上級官女 帝から贈呈されたり


ほかから献上される場合もある!


本人は特にいらないのだが家では転がっている


うずら姫も綾女の活躍で恩を受けたものから

献上されそれなりに良いものを持っている!


下に見てバカにしていたものは『生意気な!猫に小判』にもほどがある

羨ましいが誉めるどころかうずら姫に対するヘイト敵意が上がる!


うずら姫はあの性格なので反撃してこないことは解っている!


婉姫に至っては無造作に【一等茶器】などこの場に持参している

蜜に誘われるようにふらふらと婉姫の茶器を一人の官女は見に行き

何とか触らせてもらおうと懇願する!


「好きにせい!」


「そうだなお主のを見てやる!」

自分の大事な茶器が取り上げられ

婉姫の茶器が見終わるころには案の定・・・


「すまん!凹凸をだな、少しひっかいたら割れた!」

「これは返す!」


婉姫からすれば特に価値がない茶器など無用の産物

価値の高さなど分かってはいない!


その者にとっては大事な家宝なのだが・・・


普段、警戒心の強い者たちなのだが『好奇心は猫をも殺す』

まさしくそのような目にあい声も出せず泣き崩れている


この恨みは生涯忘れない!婉姫に消えることのない敵意が今生まれる!



注訳

『過剰な好奇心は身を滅ぼす』と他人を戒めるために使われることもある。

「好奇心は猫も殺す」または「好奇心は猫をも殺す」


此処にいる梵天さまからすれば、物体ぐらいなら簡単に修復できるのだが

これはこれで面白いのでとりあえずは放置している これも試練!


周りからは哀れな・・・婉姫になどに近づくから・・

其の身が無事だっただけでも良しとするべきだな!

我なら茶器を守り真っ二つにされても本望


同情や哀れみがかけられる!


だが、信じられないことに、頭が悪くても 義理人情に厚い婉姫

流石に悪かったと思ったのだろう!



文官とは壁があるのでそういうことを皆は知らない

情や義理人情で法やルールをぶち壊す存在!

自分の考えや仲間の為ならルールや常識などいとも簡単にぶち壊す!


泣き崩れていた官女 名は【銀蘭(ぎんらん)】冠位は29位


大事な家宝を壊されその価値は自分の命に匹敵するもの!

生きる希望さえ失いこの会の後に死のう!自害も辞さないつもりであったが・・・



「其処のお前!」

「散々これを誉めておったな!詫びだ!くれてやる」


恐れ多くも【一等茶器】を投げてよこす!あまりの出来事に

価値の分かるものたちは驚き息をのむ!


放物線を描いて落下したが畳のお蔭で割れていない!

周りは自分のことのように胸をなでおろす!


銀蘭は言っている意味が理解できず呆然としていたら


「そうか、要らないなら返せ!」

貸した鉛筆を返してもらうような感じで声をかける!


「ははあ」と都のあるじの煌霊様を拝むような感じで下賜(かし)されたものを大事に受け取る


此処で初めて文官の中に忠誠度が天井知らずの婉姫の配下が生まれる!

弟子や配下ににしたつもりはないのだが、一方的に忠義を尽くされることになる!


天下無双の呂布に軍師の陳宮が仕えるような運命のターニングポイントが起きる!


婉姫に付き従うことで近い未来出世して都の要職に上り詰めることになる!



解らない方もいると思うので注訳


【一等茶器の価値】現在なら数億

江戸時代では値段がつかない!街ごと買えるぐらいの代物

自分の身分の高さを表したり文化人としての格や評価にも使われた!


下手をすると自分の命より高い代物


「信貴山城の戦い」

信長が松永久秀の所有していた名器・平蜘蛛茶釜を差し出せば助命すると命じる。

それに対して久秀は「平蜘蛛の釜と我らの首と2つは、

信長公にお目にかけようとは思わぬ。粉々に打ち壊すことにする」

織田軍の総攻撃が始まると平蜘蛛を天守で叩き割り、茶釜に爆薬を仕込んでの自爆、


信長に茶器を渡すのを潔しとせず日本初の爆死という

茶器と運命を共にした【松永久秀】というものもがいる!


黄金とかプラチナダイヤなどより価値が高いものだった!



この瞬間から銀欄は【生涯 婉姫に仕えることを心の中で誓う!】

今いる派閥を離反して婉姫側に付くことになる!


自分の命なら10回は人生をやり直せるぐらいの価値の代物

気まぐれとはいえ!


私などの【三等茶器】と釣り合いのとれるものではない!

婉姫の懐の深さに感服する!


拝まれていい気になった婉姫は手に入れた由来や

家にあるほかの茶器の話をついでにしてやる!


行方不明の茶器が多数婉姫のもとにあると聞いて

周りの者はとてつもない情報に耳を澄ます!


ひどいものは生意気な茶坊主が気に食わなくて!

ぶち殺して奪っただの!


帝から戦の褒美で下賜されただの!


北の都を救ったときに領主から送られただの世の中の裏側の話が聞かされる!


驚くことに!婉姫は予備の茶器を取ってくるが、

それも【一等茶器】世の中は不公平だ!


茶器を大事にしないものにうちらが生涯求めても手に入らないものが集まっている!

この事実にこの会のものは愕然とする!



お茶をたてて配られ、待ちに待った菓子職人による芸術作品といわれる

【茶菓子】回ってくる!


婉姫はひとのみにしてしまい!追加はないのか!

弟子のうずら姫に「よこせ!」と催促するが、

「いやなのじゃー」叫びながら丸呑みしている


此処で忠誠度が天井知らずの忠臣になった銀欄が


「婉姫様!これをどうぞ!」茶菓子を献上してくる!


「主は随分と気が利くやつだな!」


このセリフを聞いた瞬間!


周りのものも我先にとばかり婉姫の前に茶菓子を積み上げる!


これで機嫌が取れて命が助かるなら安いものだ!


だが、この菓子がのちに最悪の武器に変貌することになる!


落ち着いてから皆で俳句を詠むイベントに移行したのだが

ルールは前の庭園の流れる川に小舟を浮かべ一周する前に俳句を完成させねばならない!

できないものは罰ゲームとして【お酒を飲まなければならない!】


婉姫からすれば【真面目に書くわけがない】お酒が飲めるのなら

そちらがいいに決まっている!普段飲むことも難しい最上級のお酒


この時点ではつつがなく平和に物事が進む!


裏では平和なせいか【妬みや嫉妬】がすごいことになっている!


うずら姫の二等茶器でさえ各上のかなりいいもの

自分より下に見ていたものが持っているのが気に入らない!


一等茶器を頂いた銀蘭などは妬まれて『裏切者』とささやく者もいる


婉姫はまったく気にしない!そもそも放任主義よほどのことが起きない限り

弟子のうずら姫すら、かばう気はない!


敵意ヘイトを集めてしまったうずら姫にここにきて嫌がらせが始まる


出来ないなりに、つたない俳句を完成させるのだが・・・

周りは出来の悪さを貶しはじめる、事細かくどこが悪いとか品がない!

田舎者ですからこれでも知恵を絞ったほうではなくて・・・

出身や性格まで貶される!


今は綾女と一緒にいる怨霊ネズミが怒り出すが、

綾女がそれを止める、主が暴れると姫が不利な立場に置かれかねないぞ

管理責任が問われかねん!仇はとってやる!

そこで眺めておれ、【奴らに地獄を見せてやる!】


綾女は一週目の俳句の流れで大体のことを把握する!

敵としてつぶす優先度、敵ではない中立公平なもの


この会の筆頭の、皆が素晴らしいと褒めたたえる句は

盗用というか有名な俳句のアレンジではないか!


綾女は【観測者】でありながら【無限に近い知識を詰め込める能力】がある

この国の図書館で歴史書を読みふけったついでに

歴代の俳句も読んでいる!


休憩を挟む流れになったのでうずら姫に秘策を伝授する!

この後は、この俳句を順番どおりに読めばよい!

貶されなくなるどころか面白いことになる!


婉姫は酒を一升瓶ごと奪い取り味わってお行儀よくお酒を飲んでいる

お酌をするのは梵天さま 楽しい世間話をしている!


婉姫の脅威がなくなったせいでこのような争いが

水面下で起きているとは知らずに

俳句を詠み、それを品評する道に外れた行為ではない!

それにかこつけた嫌がらせではあるが・・・


休憩の後に再開されるのだが、綾女の秘策が炸裂する前に

悪戯好きの梵天さまがたわいない悪戯を仕掛ける!


私が皆の句を詠みましょう

恐れ多くもスポンサーに当たる梵天さまが申し出る

誰も意義や逆らうものが出るわけがない!


普段は温厚で温かく癒しの結晶の様なかた、

中立公正でも知られている!


どうしようもないズタボロの子供でも書かないような俳句が読まれて

俳句の規則ルールをなしていない物


今までの流れでうずら姫の句と思いズタボロに貶して笑うのだが・・・

婉姫が苦労してやっと作り上げた【会心の作】


読み人をちゃんと言わない梵天さまも酷いがフライングして貶したほうも悪い

婉姫は怒り地面を踏み鳴らし衝撃で浮いた【茶菓子の刺し串】を

あざ笑ったものたちに無造作に投擲する!


この場の守護を命じられていた【緋葉】が咄嗟に動き半分は迎撃して

大臣級の上級官女VIPは護り切るが、6名足らずは重傷を負う

皆の頭に突き刺さり下手をすると

脳までクシが達して脳漿すら出ているものが要るやもしれん!

そして重傷者が運ばれて退場していく


俳句とはこんなに恐ろしいものだったのか・・・

言葉遣いの一つで殺されかねない!


「すまんな!手が滑った!」

「言葉遣いには気を付けるのだな!」

「夜道を一人で歩けなくなるぞ!」

「これは善意での警告だ!」


婉姫がすわった目で睨みながら全てに脅しをかける!


忠臣になった銀蘭はこの壊滅的な俳句でさえ褒め称えている!

「これは前例のない味のある句」

「季語もなければ575すら守っていない!」

「流石婉姫さま!新たな時代を切り開く方」


新登場の銀蘭さん 冠位29位 官女




この時点で心酔してしまい色々と見方が間違っているように見えなくもない・・・

何をしても褒め称えるのであろうと疑いたくなる!


この場を仕切る最上位の天淵は今の戦局をいち早く読み取る

【癒し手一人の喪失】は痛すぎる痛手


そして残りの串の残弾が・・・

12本12人はいつでも仕留めれるということか!

緋葉が居なかったら私ですら危なかった!全く動きに反応できなかった

流石は戦闘狂の武神というところか・・・


無造作に投げず本気で殺しに来たら緋葉ですら対処できなかったかもしれん!


此処でよい知らせが訪れる!都と通信をつないでいる官女が

皇后さまが気分転換に仕事の後【視察に来る】ようです!


第一官女 冠位1位 【鈴鹿御前】(すずかごぜん)知勇兼備の皇后さま

婉姫とさえ互角に戦え、この国を治めている方

法と規律を司る断罪の執政官


この会での勝利条件が追加される

【皇后さまが現れるまで全力で戦線を維持する】

【もしくはこの会を無事に閉会まで持っていく】


戦線維持すれば最強の援軍が訪れて事を納めてくれる!

【援軍の見込めない死を待つだけの籠城戦】とは違う光明が見いだされる!




なかがき


ショートの話が肉付けしたら長くなりすぎた、

これ前編として区切ることにします、

これは必ず書ききると思うね、


書くペースはあてにならないけどね


>カクヨムあとがき


比較的新しいもの40話ぐらいの代物


今後読んでいくとキャラクターや関係性

組織が見えてくる


次1話予定

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