エキナカ
神稲 沙都琉
第1話
精一杯、走ったが間に合わなかった。
無情にもあと数メートルというところでトビラはしまった。音もなく静かに走り出した電車を黙って見送るしかなかった。
「1時間後かよ、クソっ」
この死ぬほど寒いホームで待てというのかよ。全力疾走したせいで少し汗ばんだ身体に情け容赦なく風があたり凍りつきそうだ。
「さむさむさむ……」
カタカタと震えながら待合室らしきものに入る。
「な!」
向こうから見たときには気付かなかったがガラスが割れ吹きさらしになっていた。
「ついてない……」
泣きたくなってきた。
おまけに雪まで降ってきた。
「あれ〜?」
ホームの先の方に何か灯りが見える。
着いてみれば『うどん』の看板。地獄に仏とはこのこと。
「素うどんのみですよ。揚げカスとネギ、トロロは好きなだけどうぞ」
俺の大好きバターンである。
うどんに揚げカス。サイッコー!
この組み合わせ考えた人は天才だと思う。
「電車が来るまでごゆっくり」
ありがとう。いただきます。
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