才能なし判定された少年が世界を制す

@asahiraito2563

第1章 学園入学編

第1話 才能なし




 「ヴァン・ルードルフ、才能ーーなし!!」


教会のだだっ広い講堂に、司教の声が響く。


周りがざわつき出す中、俺ヴァンことヴァン・ルードルフは絶望の最中にいた。


「な、なにかの間違いではありませんか?この世界で才能なしなんて今までの歴史上聞いたことなど…」


「残念ですがヴァン様。神の御言葉は絶対です。ささ、これ以上の冒涜は神が許しませぬ故、なにとぞ。」


そう言って司教が舞台から降りるように促してくる。


才能なしのヴァン。この名がここルードルフ領で広まるのは一晩あれば十分だった。




 アストラダム。ここは剣と魔法が一般的に使われている世界。技術力も抜群で、魔道具を使ったあらゆる生活品が世に出ている。


 その中で最も重視されているもの、それが才能。

 生まれ持った時点で誰もが一つは持っている。10歳の時点で神によるお告げを受け開花するもので、開花した時点からその力がはっきりと現れる。


 それまでは多少の誤差があるらしく、才能持ちかも?と思われた子供も実はその才能はありませんでした。ということはザラだ。しかし、特に秀でている者はそのままその才能を持っていることが多い。


そしてそのお告げは主に教会などで、その年の決まった日に毎年行われることになっている。


才能にはあらゆるものがあり、有名なものだと、賢神、剣神、創神、商神。など、その種類ごとの最上位と言われている神の名がつく才能から連なっている。


この才能があるとないとでは天と地との差があり、剣の才能がないものは剣の最下位の才能である「見習い剣士」にすら勝つ見込みはないと言われているほどだ。


 この才能は成長をする。貴重な鑑定士の才能を持ってる人にしか確認ができないが、才能にはレベルがあるらしい。


 たとえ初めが「見習い剣士」でも修練を重ねていけば剣神に至ることができる。ただし、剣の才能なしがいくら剣を振っても剣の才能が開花することは無い。


そして、この才能は一人平均2〜3つの才能を持つと言われており、歴史上の最高は5つ。4つで天才ともてはやされ、主に王族、その他上級貴族に数人いる程度だ。

これがこの世界で才能が全てとも言われている理由である。



そしてその世界で唯一才能のない才能なし。

それが俺、ヴァン・ルードルフだ。


「はあ〜、憂鬱だ。。」


長々と書いてある才能についてのページを閉じ、その分厚い本を雑にベットに投げる。


「世の中、不公平だよな〜。才能才能って。その才能のせいで1週間部屋で監禁。できることは部屋にある本を読み漁ることと子供の頃からやっている剣の素振りと魔力コントロールだけ。いつになったら出れるのやら。。」


 俺は教会で才能なしと判断されてから1週間、ここルードルフ領の領主。クソ親父ことアーノルド・ルードルフに部屋監禁の命を受けていた。


「はあ。やってらんねー。日課済ませてさっさと寝るか。」


そんなこんなで今日も部屋での退屈な日々を過ごしていた。

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