第27話 勝利の果てに
ドッシューン!バリバリバリバリ!! ぐおおおおおぉぉぉ。
ー電光石火!
オロチ隊の竜神リュウが放った雷光をまとった槍〈トライデント〉はジャイアントの土手っ腹に風穴を開けた。
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チュン!! パン!パン!ビービービービー!ヒューン……
イッコ隊のオウリュウが構えたライフルから放たれた銃弾は見事にコンピューター制御板を撃ち抜き攻撃ユニットをダウンさせた。そうして、隊は難なくピンチを切り抜けたのだった。
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ゴゴゴゴゴゴ!!ゴロゴロゴロゴロ!
ドン! ギャワーン!!
森の中で敵の大将である領事を待ち伏せていたビャッコ隊の天はゴロナザウルスに襲われていた。逃げてきた宿敵の領事も先にこの獣の牙によって命を落としていた。
命からがらの天は持ち前の機転でこの難局を切り抜ける。森の大木に支えられていた岩山を切り崩しなんとかゴロナザウルスを岩で押し潰す事に成功したのであった。
こうして、それぞれの隊は見事に任務を終えた。ー
「うおー! やったー! やったぞ!」
「よしっ!」「おおおおーー!」
「イーヤッホーー!!」
それぞれの歓声が飛び交い、安堵と歓喜の渦がしばらく続いた。
領事館はそのまま、オロチたちレジスタンスの新たな拠点となったのである。
バッダ将軍の消息不明により天界軍は内部で大混乱が起こっており天界局はその対応に追われていた。
それに加え今度はカンザノートの領事館乗っ取り騒動である。
天界局も情報を上手くつかめず身動き出来ずにいた。
アスラは数百年ぶりに取り乱していた。
天界軍の最高司令官もさすがに冷静ではいられなかったのである。
「何が起こっているのだ!」
「はい!カンザノートでテロです!」
「第一中隊が全滅し、指揮官のバッダ将軍もまだ帰還しておりません!」
この報告によりアスラは全てを理解した。
翌朝、
このテロはメディアにより全世界に報道された。
カンザノートの悪政は天界全土に明るみなったのである。
その記事には領事はテン王子ではなく別の人物が行政を行っていた事も含まれており、その事は人々を大いに困惑させ、謎の部分が更に話題を膨らませた。
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「この騒ぎの真相が失踪中のテン王子の名前を利用したラセツ王子の陰謀だと全世界の民が、知ったらどうなるだろうなぁ。フフ……。」
この状況を喜び、ほ糞笑んでいる人物がいる。
先の大戦で政界を追われていたアグーである。
「さすがです。全てアグー様の思惑どうりに事が進んでおりますね。」
「お前にも感謝しておるぞ。ズメイ。」
「もったいないお言葉です。私は任務を遂行しただけでございます。」
「テン王子、いや五条 天君だったかな。会うのが楽しみだな。」
「こちらの味方につけるにはまだ懐柔が必要かと思います。」
「そうか。それは任せる。期待しておるぞ。」
「はい。お任せ下さい。」
その頃、天界城ではインダラー王すなわち天界王は静かに状況を整理すべく部下に報告を求めていた。
「此度の件、どういう事なのだ。アスラ……。」
天界王は無表情であったが言葉には怒りがにじんでいる事は確かであった。
「はい。私の監督不行き届きが原因でございます。」
「そうか……。アスラはもうよい。」
「いいえ!責任は私がとります。」
アスラの強い訴えは天界王の耳には入らなかった。その視線には既にアスラの姿はなく、隣にいたラセツ王子に向けられた。
「カンザノートを取り仕切っていたのはラセツ。お前だったな。」
天界王は強い口調で問いただした。
「はい!」
ラセツは第一王子という身分であるが
天界王と自分の間に父と息子の関係は皆無に等しい事を知っている。
単なる主君と従者でしかないのである。
「細かいことは聞かない。どんな形でもよい。責任はラセツ。お前がとるのだ。」
「はい!必ずや!」
ラセツの怒りは頂点に達さんといていた。
ーこの屈辱!絶対はらしてやる!
再び政権の奪還を企むアグー。
地獄からの修行を終え、元の人間界に戻らんとする天。
人間界をはじめ他の世界をも手中に治めんと野望を燃やす天界王。
オロチ達のテロの成功はこの天界の均衡にどれほどの影響を与えたのかは、まだ定かではない。
しかし、確実に又この天界に新たな展開を呼んだのである。
第二部完
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