THE TENWORLD 美術部の陰キャ高校生だけど、天界の王子に転生したら父親に命狙われてて人生ハードモード!!
とまと
プロローグ
「追っ手は後、何人だ?」
軍用ホバーバイクで逃走中のテンは
相棒のリュウと同乗している。
「バギーが2台。 バイクが8台 。ヘリが1台だ!」
後部座席に乗るリュウは猛スピードで走るバイクの突風を顔に浴びて苦しそうだ。
森の中を疾走中の二人。
人を拒むように複雑に生い茂る草木の中でカーチェイスを繰り広げている。
「次は左だ!テン!」
「 OK!」
テンは素早くハンドルをきった。
ドドーッ!!ゴババーン!
追っ手のホバーバイクは操作が間に合わず木に衝突した。
「テン!気を付けろ!右後ろからくるぞ!」
リュウの言葉どうりの方向から、すぐさま銃撃がくる。
うまくかわしたが、とうとう追っ手の敵兵に並ばれた。
振り切ろうとするが相手も食らいついてくる。
さらには棍棒のような武器で攻撃を仕掛けてくるのであった。
ガシャキーーン!
テンは腕に装備した円形の刀「チャクラム」でそれを凌いだ。
その隙にリュウの強烈な突きが炸裂する。
手にしているのは伝説の槍「トライデント」だ。
ゴゴゴーン!!
追っ手はホバーバイクごとぶっ飛び、爆音と共に森の中へ消えた。
一台、また一台と敵兵達はテン達に翻弄され
脱落していった。
この辺りの土地勘はテン達の方が詳しく有利だったようだ。
「どうだ! 全てまいたか?」
「いや、まだヘリが追ってきている!」
追っ手の攻撃型ヘリコプターは機体の先端にある機関砲で容赦なく砲撃を浴びせてくる。
森の木々で視界はふさがれているが、最新鋭のセンサーを備えており、テン達の進路は難なく把握できた。
テンはさらにアクセルを吹かし、森の中腹にあるゲルタール山へハンドルを向けた。
ゲルタール山はこの地方最大の活火山である。
さらには、マグマのエネルギーを栄養源とした大型で狂暴な竜や獣が多く生息する超がつくほどの危険地帯であった。
テン達は慣れているのか、それらをかわしながら、あっという間にふもとにさしかかった。
「そろそろだな。」
テンは猛スピードのバイクの上で確信をもって、呟いた。
ゴゴコゴゴ!
地響きが鳴り響く。
次の瞬間、
ゲルタール山の山頂から物凄い勢いで火柱と共に溶岩が飛び出した。
ドドドッバーン!!!
ゲルタール山の火山活動はある程度決まった時間に起こるのである。
追っ手のヘリコプターは無数の飛び交う溶岩を避けながらなんとか体制を維持していた。
「これ以上の追跡は不可能と判断。これより帰還します!」
危険を感じた敵兵の乗組員は無線で上官へそう伝え、ヘリを反転させた。
兵達は自分達の目に飛び込んできた光景を疑った。
なんと
全長100メートルはあろうかという巨大な火竜が大口を開けて待っていたのである。
「うわっー!」
そのままヘリはその大口の中に飛び込むような形になった。
ベリベリバリ!!
バババーン!
火竜は自らの口の中で炎上するヘリをものともせずそのまま噛み砕いた。
どうやらヘリの流れ弾が火竜の巣を破損させたようだった。
テン達は既に数キロ先までホバーバイクを進めており、溶岩の射程距離の外まで来ていた。
「もうすぐ、森を抜けるぞ!」
猛スピードの中、安堵するテン。
「イーッ ヤッホーッ!」
リュウもガッツポーズで雄叫んだ。
逃亡者テン、この破天荒な若者はこの世界〈天界〉の王子である。
絶対的な支配者である父親に命をねらわれ絶望的な境遇であるはずだがまるで楽しんでいるようだ。
しかし、彼はこれから自分の身に起こる数奇な運命をまだ知るよしもないのであった。
戦慄の緑の中、爽やかな風を感じていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます