第15話 11歳の執事と恋をする

私は朝の光を感じて起き上がった。私の小さい時の子供部屋。小さなベッド。そして私は11歳の美少女に戻っていた。11歳にしては発育も少し良い胸。


誕生日会に着るドレスが飾ってある。王子の瞳色だった。マジか。この頃からあいつのこと好きだったのか。最悪。

私はそのドレスでなく、やはり着古したドレスをタンスから出してメイドに着せさせた。


当時のメイドは訳がわからないと言った顔をしていたけど。

確かヨニーがこの家に来るの昼過ぎだわ。

続々とお友達の馬車が到着してガーデンパーティーが始まった。大人達は挨拶して談笑して子供達は集まりお話しをする。


私はプレゼントをたくさん貰った。


「アンネット様!11歳のお誕生日おめでとうございます!」

とプレゼントを貰った。

そしてお菓子を摘みながら午後を待った。友達の話は頭に入らない。


午後になりようやく父がヨニーを連れて私を呼んだ!!来た!私は吹っ飛んで行って小さな11歳のヨニーと対面した。

可愛らしい!生きてる!!ヨニーだ!!

ヨニーは私の顔を見て明らかに赤くなっているみたい。これは…もしや!いけるかも!!

と思い、お父様に断りを入れて向こうで遊ぼうと声をかける。


「お嬢様…僕は従者なので…一緒に遊ぶなんてご無礼でしょうし、あちらのご令嬢はいいのですか?」

と友達を見るヨニー。


「一緒に話すだけでいいわ。行きましょう!」

とヨニーの手をしっかりと握る!


お庭から私の部屋へとやってきた。鍵を一応閉めておく。


「?お嬢様?」

ヨニーは不思議がっている。

私は一応ヨニーの腕を見たりした。何もない!良かった!!


「??僕の腕に何か?」


「……ううん、何でもないの…。それよりヨニー…、聞きたいのだけど…」


「?何でしょうか。お嬢様」

と少し赤くなり私を見ている。


ソファーの隣に私はヨニーを座らせて隣に私も座ったのでヨニーは緊張しているようで下を向いていた。


ソソっと手を握ってみるとビクっとしてこちらを見る。


「お嬢様??あの…手が…手が……」

とどぎまぎしながらヨニーが言う。


「ヨニーは私みたいな女の子はどう思うの?」


「へっ!?どどど、どうって…」

動揺していた。やっぱり私のこと少しは意識している?


「貴方が真っ直ぐ素直に成長してくれると私は嬉しいわ」

と笑うと赤くなりつつも不思議がった。


「ねぇ、貴方…魔術に興味あるの?使えるの?」

と言うとヨニーは迷い、


「えと…まぁ、普通程度なら…」

と目を逸らしたのでこれは嘘だと悟る。本当はもう高位魔法が使えるのかも。でも子供の頃から高位魔法が使えたらいろいろな所に弟子として働きに出されるらしい。


「………ヨニー…私が危なくなったら助けてくれる?」

と言うと


「え、も、もちろんです。お嬢様…」

と言うのでガバッと抱きつき


「ほんとっ!?嬉しい!約束だからね!…でも危ない魔法は覚えないでね」

と釘を刺しておく。


「ええ??あのっ!?お嬢様?…どどど、どうして抱きつき…??お嬢様…確か婚約者がいると聞きました!ここここんな所を誰かに見られたらーーー…」

と慌てて私を引き剥がそうとするヨニーに私は迫りちゅっとキスしてみせた。


ピクっとしてヨニーが固まった。何が起こったか理解できないようだ。


「ヨニー?大丈夫?」

心配になって言うとヨニーは真っ赤になり


「な、なななんでっ!??お嬢様は誰にでもキスなさるのですか?あ、遊びですか?」

と言われる。失礼な。


「そんなことないわよ。ヨニーと出逢えて嬉しいのよ。私…ヨニーといるとドキドキするの」


「ええ?会ったばかりなのに?」


「うん…王子との婚約はいずれ破棄したいと思ってるの」

と言うとヨニーは


「まさか…王族との婚姻が破棄なんて余程のことがないと無理なのでは?」


「うん…そうね。でも王子のことそんなに好きってわけでもないのよ…。私ヨニーの方が好きっ!」

と言うとヨニーは照れて全身真っ赤になる。


「ぼ、僕なんか…王子様と比べたら蟻んこのようなものなのに!!お嬢様…変な人です…あっ、ごめんなさい!変とか言って…お嬢様…とても綺麗で素敵な方なので僕なんてとても似合いませんよ!」

と自分を否定するヨニーに私は言う。


「そんなことないわよ!ヨニー。貴方とても優しいわ」


「会ったばかりなのに何故わかるのです?」


「判るわよ目を見れば」

と頰を撫でてみるとヨニーがまた固まりかける。


「ねぇ、ヨニー…私と約束して?悪い魔法は覚えない…周りの人も少しは信用して?貴方の心が暗くなったら相談して?私が聞いてあげるから」


「え?」


「ヨニー…ご家族が亡くなってさぞ辛い頃でしょう?ご家族の代わりに私が側にいてあげるから心配しないでね!」

と言うとヨニーは震えた。火事のことを思い出したのか?

抱きしめて背中を刺すってやると落ち着いてきた。ヨニーはおずおずと私に手を伸ばして抱き合っている。そうすると


「お嬢様ーー!?どこですー?お友達がお待ちですよーー!?」

とメイドの探す声でヨニーが弾けたように立ち上がりあわあわして


「ししし失礼を!ご無礼を!!」

と頭を下げてメイドさんに


「ここです!!ごめんなさい」

と謝っていた。


友達が帰った後、お父様とお母様と弟のパトリスとヨニーとで豪華な食事をする。いいかんじ。ヨニーも従者だけど家族として受け入れて欲しいと私はお父様に言う。


お父様は


「アンネットがそう言うならそうしよう。ヨニー遠慮なく食べなさい。まだ辛いだろうけどね」

と言い私達は楽しく食事をし、夜私はヨニーがお休みなさいと頭を下げて部屋を出ようとするのを引き留め、頰にちゅっとキスをした。

ヨニーは真っ赤になり


「おおお、お嬢様??」


「ふふふ、お休みなさいヨニー!」

と今度こそ私は眠りについた。

これで何か変わってくれることを祈って…明日の朝ヨニーが居ますようにと願った。

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