第14話 巻き戻ることを決意
目が覚めるとメアリーが気付いて
「お嬢様!!お目覚めに!今お医者を呼びます!」
と駆け出そうとして
「メアリー…今日…って…」
そしてメアリーは言った。
「お嬢様…今日はあの卒業パーティーから3日経っております。ヨニーは行方不明だし…一体何処へ行ったのかしら?」
と言い時間が動いてしまったことを私は知った!!
同時に全てを思い出す!
「ああ…あ…あああ…いや…ああああああ!!!」
「お嬢様!!大変誰か!医者を早く!旦那様達もお呼びに!!」
とメアリーが叫んだ。
それから私は医者に診察され、お父様達にも心配された。
「目覚めて大変に辛いだろうが…アロルド王子との婚約が破棄されることになった…」
とお父様が言うので
「そう…私国外追放されるのですか?それとも娼館送りに?」
と言うと
「何を言っている?そんなことはされない。ああ…アンネット…王子はブロムダール伯爵令嬢と婚約するらしい。ショックだろうが耐えて欲しい」
と言い私はガバッと起きて
「お父様!今すぐにブロムダール伯爵令嬢とアロルド王子にお会いしたく存じます!」
「その顔色で何を言っておる!真っ青だぞ!まだ安静にしていなさい!!」
「でも!!」
と騒いでいると
「何を騒いでいる?アンネット…元気なようだな!ふん!」
とアロルド王子が入ってきてカルロッタ様も後ろから顔を出す。
「アロルド王子!!?」
「まだ寝ているのかと起こしにきたのだ。モーテンソン侯爵…少し外してくれぬか?アンネットとカルロッタと3人で話したいことがあるのだ」
と威圧を込め王子が言うとお父様は苦虫を噛み潰し部屋から出て行った。
「王子!カルロッタ様!!」
と私はあの後どうなったか聞いた。
「あの後…どうなったかはこちらが聞きたい所だ。お前の執事は消えてなくなっているしお前はぶっ倒れるし一体何があったのか不気味な血溜まりの中にこの壊れたアクセサリーが落ちていた。これは何の魔道具だ?」
とあの天球儀のアクセサリーを取り出した。一部が曲がり壊れている!!
「そんな!!ああ!!ヨニー!!うううう!!あああっ!!」
「アロルド王子…少しお部屋を出てください。こう言う時は女同士でお話しますわ!」
とカルロッタ様が空気を読まない王子を睨みすごすごと王子も部屋から出て行き、カルロッタ様に背中をさすられながら私はポツリと話した。
全て話終わるとカルロッタ様は…
「大変でしたわね。目の前で好きな方が…でも…ヨニーさんがまさか犯人だったなんて…」
「ヨニーは罪を被って死んだわ。もうどこにもいない…」
と落胆する。もうダメだわ。私も死のう。そう思っているとカルロッタ様は
「これ…これを直せたらいいのでは?ヨニーさんが死ぬ前に巻き戻ることができるのでは?」
「!!?」
私は曲がった天球儀をみて…アルファ様ならもしや直せるかもと思い立ち上がるがカルロッタ様に止められた。
今の私は酷く体力的にも弱ったようだし顔色も悪いから回復が先だと言われたのだ。
大人しく休んでからアルファ様の所へ行こうと決めた。
*
…私は夢を見ている。
王子に婚約破棄され、私は国外追放の庶民落ち。それにヨニーが付いてきて…一緒に小さな家で暮らすの…。
どこもボロボロだけど…一緒に野菜を育てたり花を植えたり笑顔で毎日楽しい日々。
ヨニーは私のことをもうお嬢様とは呼ばないでアンネットと呼んでくれるの…。
幸せな日々…。
貴方といるとこんなに幸せ…。
でも…夢の中のヨニーは黒い獣に噛み殺され私はそれを動けないで見ている。
「やだっ!!」
*
うなされて目覚めてしまう。
ベッドの脇の机に壊れた天球儀が置いてある。
私は着替えて馬に乗り魔女の家に向かった。月夜が綺麗に照らしている。何とか魔物にも合わず魔女の家に到着して扉を叩くと
「今何時だと思ってんべ!!」
と眠そうなアデリナさんが出てきたが私を見て
「うわっ!?お嬢さん…どうしたべ?涙で顔がグチャグチャだで!美人台無しだ!」
ととりあえず中へ通され、アルファ様も眠そうに降りてきた。
「………あんた…一体何があったんだい?」
泣きじゃくる私にアデリナさんが落ち着くお茶を入れてくれた。
私は今までの経緯と壊れた天球儀を見せた。
アルファ様は
「そりゃ…辛かったね…。まさか犯人があの執事とはねぇ。いっぱいくわされたよ」
「へへへ、人間ってのは裏の顔なんていくつも持ってるもんだべ」
とアデリナさんはにかにか笑うとごちりと頭を叩かれて黙った。
「これを直すことは簡単さ。代金も払ってもらってないしね。でも…また巻き戻る気かい?ようやく呪いは解けたんだよ?」
「ヨニーがどんなに酷い顔を持っていても…もう会えないなんて嫌なの…。会えないくらいなら死んだほうがましなんです」
と言うとアデリナさんは
「おおーーっ!純愛?ロマンス?恋?愛とは奥深い!実に!」
と笑う。また叩かれてアデリナさんは黙る。
アルファ様はとりあえず天球儀を直してみせた。魔法で直したのか曲がったところは綺麗に直っていた。
「あんたの戻りたい地点はどこだい?」
「え?」
そんなの…ヨニーが生きている時に決まってる。
「その執事が禁忌魔法に手を出す前に戻らないと同じことが起きるよ」
とアルファ様が言い、その通りだと思った。
一体…ヨニーはいつから私のことを愛してくれてたんだろ。私みたいな酷い女を。
「いいかい?この天球儀のもう一つの使い方を教えてやろう。このメモリを10ミリ動かすと10日戻る。1カ月なら30ミリ。一年戻るならこのメモリを一周回す。3年なら3周きっちり回す事だね。もちろんその後星の光を集めるんだよ」
「凄い…そんな使い方が…。でも…ヨニーがいつ私のことを好きになったかなんて判らないし…」
「そんならあんたと会った時に戻って様子を見てみるとかね」
「!」
そうか、最初から巻き戻れば…!
「でも戻れるのは1日だけなんだよ。1日立てばあんたは元の今いる世界へと戻ってくるのさ。あんたは戻った先の過去の世界で愛しい男が変な方向に走らないよう導いてやるしかないね!」
とアルファさんが言うとアデリナさんが言う。
「んん!でもいきなり過去で未来のことをベラベラ喋ると変な女扱いされるから媚薬でも持ってけば?」
「お前はまたそういうことを!…しかし確かにアデリナの言う通りベラベラ未来のことを喋ってもろくなことにはならないね」
私は考える。昔の私は王子のことを好きだったはず。あんなのでも恋してた時期はあった。婚約を解消しなければだわ。
そうすればカルロッタ様をいじめる事もなくなる。
戻った先でする事。
1.ヨニーを見つける。
2.ヨニーに刻印があるかどうか調べる。
3.ヨニーが私のことを好きかどうか調べる。
4.もし好きだったら両思いとなる。
5.王子と婚約を破棄できるよう何とか頑張る。
そもそもヨニーは禁忌魔法に手を出すほど実は魔術の天才と言うことになるし、二面性も隠している。
ヨニーと初めて会ったのは確か…11歳の私の誕生日だわ。パーティーが開かれお友達も呼んで…そしたら…私に今日から働く私付きの同い年のヨニーが父から紹介されていた。
ヨニーは緊張していたわ。もしかして一目惚れとかあるんだろうか?
私はあの時特に何も思わずに
「あら…私の執事になるのね?よろしく」
とか普通の挨拶をして直ぐに友達と談笑してしまったことをぼんやり思い出した。
あの時からヨニーに優しくして好意を示さないとだわ!
「私…戻ります!6年前に!」
私はメモリを6周回して星の光りを集めてから今日はまたアルファ様の家を借りてアデリナさんの部屋で眠った。明日起きたら…生きている11歳のヨニーに出会える!
待っててヨニー!
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