【お題企画】ハーフ&ハーフ

皆木 亮

Q1:あたしと仕事、どっちが大事?[ハーフ&ハーフ]

 ボクは人生の分かれ道に立っていた。

 右に曲がれば会社への道、左に曲がれば彼女の自宅。



「ねぇ、関川君、ここでハッキリさせて。あたしと仕事、どっちが大事なのよ?」



 また無茶な二択を……答えはどっちも大事に決まってる。

 ちなみに真ん中にあるのは塀、行き止まりだ。



 時として女性は残酷な二択を突き付けてくる。



「もちろんキミに決まってるさ、でもね……」



「でも、はナシ。よく考えて答えてよね、返答次第じゃあたしにも考えがあるから」



 ボクが働くのはキミのためでもあるんだよ、という答えは門前払いらしい。



 彼女は腕組みして僕の答えを待っている。

 二の腕を指先でトントンしながら待っている。



「さぁ、関川君。仕事とあたし、どっちを選ぶの?」





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「だったら仕方ない。ボクは仕事を選ぶよ…。

 そう言えば、キミの気が済むのだろう…?」

 そう言いながら、ボクは彼女に微笑み掛け。



「今のキミを選ぶのではなく…未来のキミを選ぶ為にね…。」

 彼女のツルツルになった頭部を…そっと撫でた。



「私が…。今の私が…。

 ガンになった私が…。

 アナタの重荷になってるのは解ってる…!


 でも…もう…これ以上…無茶なヘビーワークをしないで!


 治療費は莫大だから…。


 それに…こんな身体だから…子供だって…。


 アナタが言う…未来だって…!


 だから…。もう…。

 私も…。私の為の仕事も…。

 もう選ばないで……ッ‼」


 涙をたたえるキミに…。

 その真摯しんしで純粋な想いに…。



「ボクは幸せさ…。

 キミが居てくれるだけで…。


 だから…今度は…。

 一緒に見よう…。ボクたちの未来を…。」

 そしてボクは…彼女を強く抱きしめた…。

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