余命3ヶ月
@tatsuki0717
余命宣告
「持って後3ヶ月といったところですかね…」
「そう、ですか…」
俺は河野守、高校二年生だ。
そんな俺はたった今余命宣告を受けた。
病名は、進行ガンの一種である、パーキットリンパ腫というらしい。治すことは不可能らしい。
今、ここにいるのは医者の先生と俺の二人だけだ。
親は今ここにはいない。別に死んでるわけでもなんでもない。今だけ部屋の外に出ていってもらっているだけだ。
正直余命宣告自体は、あまり驚いていない。3ヶ月という短さには少しビックリしていたが何となくだがあまり長くはないだろうなと感じてはいた。
何故かって言う質問に答えるのはそう難しくはない。もとから俺はガンを持っているということは知っていた。これは俺の親も知っている。しかし、俺は少し前から胸が痛くなって血をよく吐くようになったりと、症状が悪化してきていたため余命宣告されるかもしれないということは覚悟していたからだ。ちなみに血を吐いたりしていることも親には言っていない。覚悟していたからってそんなに驚かないものかといったら、驚かないものだった。実際に俺もあまり驚かないことにビックリしてたりする。
「あの、先生、実はお願いがあるのですが。」
「なんだい…?」
「余命のこと、誰にも言わないでもらえませんか?」
先生は、あまり驚いた顔を見せなかった。
きっとこういう人は少なくないのだろう。
「誰にもということは、家族にもということかい?」
「はい、お願いできますか?」
先生は悩んだ顔をした。
「本当だったら、誰にも言わないということはできても最低限家族にだけは言わなければいけないんだ。しかし、守君とは長い付き合いだ。とりあえず理由を教えてもらっても言いかな?」
そう。俺と先生は付き合いが長い。俺がガン宣告されたのは三年前なのだが、そのときからよく先生には会いに来ていたからだ。それも週に3回から5回と、いわゆる常連という奴だ。
そして、家族にも言わない理由だが、それは単純だ。
「別に普通ですよ。どうせ死ぬんだったら最後までいつも通りの暮らしをしたいと思っただけですよ。」
そう。もしも、この事を家族などにいったら俺のことを心配していつも通りの暮しはできないだろう。
「そうか。わかった。本当はダメだが、君がいつも通りの暮らしをできるように全力で協力しよう。もちろん誰にも言わないということも約束しよう。」
「ありがとうございます」
「それじゃあ、一度お母さんをよんできてもらっていいかな?」
「わかりました」
ガチャ
「お母さん、先生がお母さん呼んできてって。」
「わかったわ」
ガチャ
「どうぞ座ってください。」
「ありがとうございます。それで、守は…」
「今のところ何も変わったところはないですね。とりあえずはいつも通りにしてもらっていいです。特に変わった様子もないのでなにかない限り病院にも来なくて大丈夫ですよ」
「はぁ、良かった。本当に良かったです。」
俺のお母さんは、本当に俺のことを心配してくれている。俺がガンとわかったときなんかもショックで5分くらい意識を失っていた。それから少し症状がでたら、病院につれていかれたりしていた。それだけ心配してくれていたので、安心しているのだろう。
「それでは、今日はこれで大丈夫です。いつも通り薬を出しておきますね。」
「はい。本当にいつもありがとうございます。」
「いえいえ。これが私の仕事ですから。それではお大事にどうぞ。」
先生の、その言葉は少し悲しそうだった。
それからは何事もなく家に帰った。
「ただいまー」
家には誰かがいるわけではないが、ただいまといってしまうことはよくあるだろう。
「はぁ、疲れたな一度寝るか」
今日は特に運動をしたわけではないがやはり余命宣告なんてものを受けてしまうと精神的に少し疲れてしまう。一度寝て色々整理したい。
ガチャ
部屋に入り寝ようと思ったのだが…。
「はぁ、またお前か。勝手に俺の部屋に入るなといっているだろう。」
余命3ヶ月 @tatsuki0717
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