肝試ししてたらホラー風RPGになってしまったようだ
@rupan
プロローグ
一寸先も見えないような霧の中を男が一人一心不乱に駆け抜けていた。
そこら中に落ちている何の死骸かも分からない砕け散った骨を踏まないように避けながら、同じようにはなりたくないとばかりに脚を動かしていく。
走る!はしる!!ハシル!!!
とにかくあの化け物達から逃げなければならない。
無数の手足の着いた女郎蜘蛛からも幾つもの顔や目玉が張り付いている馬鹿デカい赤子からも、とにかく逃げなければならない。
ああ何でこんな事になってしまったのだ ろう。
こんな事になるなら廃村なんて来るんじゃなかった。
そう考えた男が振り向けばもう化け物は、追って来てはいなかった。
助かった。
五体満足であることに安堵し、廃村から抜け出すべく前を向くと男の眼前に、大きな大きな口が開いていた。
「助けっ…」
ばくんっ
たったの一口で男がこの世にいたことを証明するものは何もなくなった。
シャツ、ズボン、靴、手、足、体、頭、心臓、毛の一本から血の一滴さえも。
ブルッと震えて、男を食べた大きな大きな口のみ着いた顔は、ずりっずりっと引きずって男が来た道を戻っていく。
『この者も違う』
辺りに響く大きな大きな口から漏れ出た独白は、異様な程に静かな村の中に響くのだった。
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