竜の国

三浦花

ある一日

第1話

ぴちゃん...ぽろん......ぴちゃり...

雨の日は、雨漏りを受けるための空き缶が家の中の、あちこちで音を奏でる。


ぴちゃん...ぽろん......

家中じっとりとした湿っぽい空気だし、髪の毛はまとまらないし、外へ出れば濡れてしまう。

だけれども、嫌なことばかりではない。


ぴちゃり...ぴちゃ...

雨漏りでたまった水は、濾過すれば飲み水になる。

それだけではない。雨は農作物の命の源だ。森にすむ動物たちの命綱だ。


でも、雨の日は一人お留守番だ。

やっぱり寂しいし、やっぱり雨は嫌いだ。

早く、お母さん、帰ってこないかなあ。


ぴちゃん...ぽろん......

雨漏りの音を聴きながら、いつの間にかうとうとと、夢の中に落ちていった。




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