第25話「異世界「ざまぁ」代行業者」
「うう、ひっぐ」「ざまぁ!」
生意気なエルフを泣かせました、これで任務は完了だ!
「ぶっぐっぐ、よくやったぞ代行業者」「そらそうよ!」
ところでざまぁってその仕組みがよくわからないんすけど?
「ぶっぐっぐ、とりあえずエルフ泣かせるオーク喜ぶ」
それでいいんでしょうかねえ? あ、またエルフだ!
「うおおおおおおおおりゃあああああああ!!!」
「ひえええええええええええええええええ!!!」
よし、ざまぁ確定まで三秒前、二、一!
「うう、ひっぐ」「ざまぁ!」
生意気なエルフを泣かせました、これで任務は完了だ!
「ぶっぐっぐ、よくやったぞ代行業者」「まあ当然!」
ところでざまぁってもっと複雑な過程があるもんじゃ?
「ぶっぐっぐ、ならばざまぁだけで攻めてみるがいい」
それでいいんでしょうかねえ? あ、またエルフだ!
「ざまああああああああああああああああああ!!!」
「ひえええええええええええええええええええ!!!」
よし、ざまぁ確定まで三秒前、二、一!
「うう、ひっぐ」「ざまぁ!」
生意気なエルフを泣かせました、これで任務は完了だ!
「ぶっぐっぐ、よくやったぞ代行業者」「たりめえよ!」
ところでざまぁって先行発動ありなんですかね?
「ぶっぐっぐ、ざまぁと思ったものの勝ちなのだぐぐ」
そういうもんなんですかねえ? あ、またエルフだ!
「ざまああああああああああああああああ!!!!」
「ひえええええええええええええええええ!!!!」
よし、ざまぁ確定まで三秒前、二、一!
「うう、ひっぐ」「ざまぁ!」
生意気なエルフを泣かせました、これで任務は完了だ!
「ぶっぐっぐ、よくやったぞ代行業者」「まあ多少はね?」
ところでお給料はどれくらいもらえるんですかね?
「ぶっぐっぐ、ならば次のエルフで銀貨一枚支払おう」
それでいいんでしょうかねえ? あ、またエルフだ!
「ざまああああああああああああああああ!!!!!!」
「・・・・・・」
よし、ざまぁ確定まで三秒前、二、一!
「あなたね、エルフをおどろかしてるわるいひと!」「ざまぁ!」
生意気なエルフです! 泣きやがりません! 任務失敗だ!
「ぶっぐっぐ、命は無いものとおもえ代行業者」「まじかよ」
「あっオークさんまで! こんなことをして何が楽しいの!」
「ぶっぐっぐ、エルフ悲しむオーク喜ぶこれお話しの基本」
そういうもんなんですかねえ? ところでおまえは何エルフだ!
「むー! わたしがおこってるのに笑うのはゆるせません!」
「やれ、代行業者、ざまぁを取り戻すのだ」
「ざまぁあ!」
俺はざまぁ代行業者だ! そのために異世界にやって来た!
だから、そのかわいいしかめっつらを泣きっ面に変えてやるぜ!
「ざまあああああああああああああああああああ!!!!」
「ひとがまじめな話をしてるのを邪魔するのはいけないんだから!
アイスバレット!」
「いぎゃああああああああああいいいいいいいい!!??」
「む、代行業者!? き、きさま!? ただのエルフではないな!?」
「わ、わたしに言ってるの? 見た目で判断して
おどかすようなこと続けてたの?」
「そ、そうだ、おれとオーク様は高慢なエルフどもに
仲間外れにされたから、こうやって道行くエルフをざまぁして
やってるんだ!」
「そうだそうだ、ぶっぐっぐ! おまえたちエルフの癖に生意気だ!」
「わるいけどわたしほんとうにただのエルフじゃないから
これでおしまいにしないと本当に本当に
おしおきしますからね!」
「そ、その精神! まさしく高慢なエルフそのもの!
ざまぁさらせやああああああああああああああ!!」
「アイスウォール!」
「ちべたあああああああああああ!?!?!??」
「む、氷の障壁に代行業者がぶつかって冷たい悲鳴を上げるとは!?」
「いいかげんにしなさい! もうエルフをいじめないって
約束するまで絶対にゆるしません! ブリザード!」
「さむいいいいいい」「む、ひ、冷えるオーク、こごえるオーク」
よく考えたら、おれ別にエルフにざまぁするほど恨んでないし、
彼女は別にエルフじゃないみたいだし、
オークにこき使われる言われないし、
それにもう帰りたくなってきた!
「もうしません! もうしないから! ざまぁやめるオレ!」
「ほんとう? ほんとうにやめる?」
「やめます、やめますから! たのむからこおりにしないで!」
「お、オークックからもお願いするオーク!」
「――――――しかたありません、ゆるしてあげます」
氷が解けていく、吹雪が止んだ。
「うう、まさかこんな目に合うとは」
「エルフさんたちはみんな人間こわいって心底傷ついたって
そういう気持ちもわからずにざまあする人には
当然のおしおきです」
「オーク、お、オーク、ぶっぐっぐぐ、だがざまあは当然の報いっく」
「まだそういうことを言うの?」
「お、オーっく、だったら、だったら!
貴様だって今まさにざまあしてるのではないオークか?」
「!? わたしは、違うわ」
お、さすがオークの大将! 小娘にいい負けない強さがある!
「虐げられ嘲られたものが相手に仕返しする!
その心に貴様とこのオーク差は無かったはずだオーク!」
「・・・・・・」
そのとおりだ! たかがざまぁで驚かされるのと! そうだ!?
「きみぃ、きみね? いくらエルフが驚かされたからって
その仕返しに暴力? 暴力をふるっていいとおもってるの?」
「ち、ちがう」
「ざまぁ代行業者にも、越えちゃあいけない一線ってものが
あるんだぜ? それを君は平然と実力行使で越えたってわけ!
それが本当にこんなお終いで君がざまぁだとか言って!
後味悪くないのかなア?」
「わ、わたしそんなことしないもの、わたしはただ
エルフさんたちが困ってるから」
「ぶっぐっぐ、それがまさに思い上がりだオーク!
世にはざまあされるべき流れとざまあしてはいけない!
そういう! 正義の形があるオーク!」
「そ、そんなむずかしいこと」
「考えてなかったのかあ!?
考えずに人を暴力で脅して!
しかも赤の他エルフのことを勝手に可哀そうだとか
可哀そうじゃないとか決めつけて
お前はエルフに対してもざまぁしてたんだよ!
この偽エルフ!」
「そ、そんな、だって、わたし」
よし、ざまぁ確定まで三秒前、二、一!
「「「「それは違うわ!」」」」
「!?」「な、何者だオーク!?」
「あ、あなたたちは!?」
あんだよおぉおぉ?! お前らはああ!?!?!
森で引っ込んでろよぉぉぉ!?
「よくもざまぁしてくれたわね!」
「ざまぁされた側がざまぁし返すのは当然の権利!」
「ざまぁ界隈で流行のざまぁ返し!」
「いまこそざまぁしてあげるわ!」
そこにはフル迷彩装備のコマンド―! 怒りの泣きっ面エルフ達がいたのです!
「うー、出てくんなよぉ!?!?
ざまぁされたらそのまま帰ってくんなよぉぉぉ!
ざまぁされたらだまって田舎に引っ込む!
それがざまぁの醍醐味なんだぞぉぉぉ!?」
「「「「さあエフィリア様! 怖れることはありません! 私たちで!」」」」
「わたしたちで!」
「「「「ざまぁの連鎖を!」」」」
「終わらせる!」
「ぶぐぅー!? ヤバいオーク! ざまぁにつぐざまぁで
いまボルテージは最高潮で必中モードのあれがくるオーク!?」
「お、オーク様ぁ!? あれって、あれってなんなんでしょうかああ!?!?」
「必殺おしおき! 報復ビンタぁー!!!」
ピシャン!
「あっ!?」
「いい!? 女の子を泣かして喜ぶのは悪いことなの!
あなたは今まで誰にも教わらなかったから分からなかったか
もしれないけど、それも今日ここでお終いです! あなたも!」
「ぶご!?」
「「「「反省して! 謝って!」」」」
「ぶ、ぶぐぐ?! だ、だが、これはざまぁ!
ざまぁされたやつが謝るとかそういうのは
ざまぁされたやつのプライドが許さないだオーク!」
「プライド、誇りが傷つく? エルフを傷つけるようなあなたが
自分が傷つくのが怖くてなんで偉そうにしてるの?
わるいことをしたら謝る、当然の事が出来ないで
ごまかそうとするのは偉くなんかありません!」
「ぐ、ぐぐぐぐ、ぐ、ぐぐぐ」
ま、ま、まさか、まさか、あやまっちゃうのか!?
こいつは暴力女だ! 俺たちを凍らせようとして!
そのうえオレにビンタまでして最悪のざまぁ女だ!
こんな小娘に謝ったらオーク様のプライドは!?
「ご、ごめんだオーク」
「う、うわあああああああ?!?!?」
「あなたも!」
ご、ご、ご!?
「ごめんなさい!」
「よくできました、じゃあわたしも、ごめんなさいね、
こおらせちゃって、さむくなかった?」
おれは最悪な人間だ、
異世界にまで来て、
ざまぁして気持ちよくなって、
オーク様に褒められて、
一杯エルフを傷つけた。
「あやまらせて、ごめん」
「わかったらいいのよ
このことちゃんとみんなにも
おしえてあげてね」
ざまぁを代行してるつもりになっても、
結局、本当の心の真ん中にある部分はいつまでも、
打ち解けないままで、結局こうやって、
他の誰かに代行させてる。
「きみ、エフィリアっていうんだね
おれはソンイチ、もし困ったことがあったら」
「ソンイチ
みんなもうおこってないから
今度からはちゃんと自分を大事にしてね」
「」
「よくわからないけど
誰かの気持ちのために行動できるなら
自分の心を大事してあげなくちゃ」
「そうだね」
ありがとう。
「じゃあね」
エフィリアはエルフと一緒に去っていった。
「ぶぐ、ぐ、結局あいつは何だったんだオーク?」
「いい子さ」
「?」
「エフィリアはとってもいい子」
あんな子にどうやってざまぁすればいいのか、
ちょっと罪深いことを思ってしまったのか、
あんな子でも何かにざまぁと思うことがあるのか、
それは違うんじゃないのか、
何にしてもざまぁなんてしてほしいなんて、
思ってもない誰かの心まで分かるものじゃあないから、
俺もまだまだだ、まだまだ。
「ざまぁ、今までのオレ」
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