アクションRPG桃太郎

しげ・フォン・ニーダーサイタマ

第1話

**** THE MOMOTARO ****


▶ ニューゲーム

  続きから

  ロード

  オプション

   DLCの設定

  クレジット


  終了


©Niedersaitama Games


=====================



――――木が折れる音、剣戟、悲鳴が遠くに聞こえる。

いや、だんだん音が近くなってくる。はっきり聞こえてくると言うのが適切か。

そして誰かに身体を揺さぶられる感覚が、聴覚が元に戻るのを早めるようだった。


「―――さん!婆さん!」


目を開ければ、誰かの顔が視界いっぱいに広がる。ゆっくりとピントが合い、それは70代の老人の顔であると認識出来るようになった。


「良かった、目を覚ましたか。瓦礫が頭に当たって倒れた時は死んだかと思ったぞ」



  ▶ 「ここは……?」



「わしらの家だよ、婆さん。……大丈夫か?まだ意識がハッキリしないのか?」


意識はハッキリとしている。しかし何も思い出せない。この老人の事も。


  ▶ 「何も思い出せない」

    「大丈夫よ、問題ない」



「なんという事だ、こんな時に記憶喪失とは!」


老人は頭を抱えるが、それと同時に再び悲鳴と剣戟が聞こえる。


  ▶ この音は?



「鬼の襲撃じゃよ。ああとにかく、逃げねばならない。若者達が戦っているが、長くはつまいて。さあ、立ち上がれるか?」


  ▶ 立ち上がる



「良し。では次は逃げる準備をしよう。婆さんは部屋の隅にある袋を取ってきてくれ。あれには生活用品が詰まっている。マウス移動で視点操作、Wキーで前進、Sで後退、AとDで左右に動けるぞ」


周囲をぐるりと見渡すと、部屋の左側の隅に袋が置いてあった。それに歩いて近づく。


「Eキーで落ちているものを拾えるぞ」


  ┃E┃ 日用品の袋



日用品の袋を拾った。


「よし、あとは逃げるだけじゃ。今すぐ……」


CRAAAAAAAAAAAAAAAASH!突如家の扉が蹴破られた。のっそりと入ってきたのは、赤い肌の大男。頭から1対の角を生やし、金棒を担いでいる。


「それにはちっと遅かったなァ!」

「なんという事じゃ、もう若者たちは敗れたのか!」

「奴らはまだ勇敢に戦ってるぜ。だが如何せん数が少ねえな、間をすり抜けて若い娘でも頂こうかと思ったが……とんだハズレくじだぜ。だが俺様は弱者をいたぶるのも大好きでなァ!」

「外道め……!婆さん、こうなったら戦うしかないぞ。勝てずとも怯ませれば逃げられるはずじゃ」


  ▶ 「わかった」

    「無理よ!」


「ではまず武器を装備するのじゃ。Iキーでインベントリを開ける。日用品の袋の中に包丁があったはずじゃ、それを選択して装備するのじゃ」


 インベントリ

  ・日用品の袋

    きびの粉

    洗濯板

    包丁 →┃E┃ 装備



包丁を装備した。


「何をごちゃごちゃ話してやがる!死ねーッ!」


大男――鬼が金棒を振り下ろしてくる。


「避けろ婆さん!WSADいずれかを素早く2回押せば緊急回避出来るぞ!」



素早く左にステップを踏み、金棒を回避した。


「Good Jooooooooooooob!それで良い!」

「ちょこまかと!」


鬼は前蹴りを繰り出してくる。回避直後で避ける事が出来ない。


「右クリックで防御じゃ!ただし注意せよ、防御はスタミナを消費するぞ!」


包丁を掲げ、前蹴りをガードした。腕がきしみ、体力が削られる感覚を覚える。


「よし!では反撃するぞ!左クリックで攻撃じゃ!」


前蹴り後の硬直状態にある鬼に対し包丁を振るう。鬼の身体から鮮血が散った。


「わしも行くぞ!ハァッ!」


老人は草刈り鎌を振るい鬼を傷つけた。しかしこれらの攻撃を受けても、鬼は少しの痛痒も感じていないようだった。


「枯れ果てたジジイとババアの攻撃なぞ効くかよーッ!」

「ぬぅ、やはりワシらの力では……だが諦めるな、クリティカルヒットを狙うのじゃ!敵の攻撃をギリギリで避けると、相手は一瞬無防備な状態になる。その瞬間に強攻撃を当てればクリティカルヒットになるぞ!強攻撃は左クリック長押しで、離した瞬間に発動じゃ!」


鬼が再び金棒を振り上げ、振り下ろす。それが自分の頭を砕く寸前、今度は右に身体を逸した。白髪が数本宙を舞う。


「何ッ!」


鬼は硬直している。私は包丁を大きく振り上げ、渾身の力で斬り下ろした。鬼の肩口が大きく裂ける。


「グワーッ!?」

「Eeeeeeeexcellent!そしてもう1つ覚えておけ、相手の背後で繰り出す攻撃は自動的にクリティカルヒットになるぞ!そいッ!」


鬼の背後に回り込んでいた老人が草刈り鎌を鬼の背中に深々と突き刺す。


「ヌゥウウウーッ!」


鬼は大ダメージを負い片膝をつく。


「良し!この隙に逃げるぞ!」


    「わかった」

  ▶ 「トドメを刺さなくて良いの?」



「増援が来たらひとたまりもない!とっとと逃げるが勝ちじゃ!」


  ▶ 「わかった」

    「トドメを刺さなくて良いの?」



「よし、逃げるぞ!Ctrl+移動キーでダッシュじゃ!」


私は老人と一緒に走って逃げた。道中に目に入ったのは、燃える家々、暴れる鬼、戦う若者、そして逃げ惑う人々。それらを見捨てて、2人で村から離れた川辺まで走って逃げた。



◆ AUTO SAVE......


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