現代にモンスターが湧きましたが、予めレベル上げしていたので無双しますね。

第104話 神の真意②

「モンスターやダンジョンが出現したり、レベルやスキルが出てきたのはすべて僕がやった事だよ。」

「なぜそんなことをしたんですか？私たちの世界は凄く混乱してるし、モンスターによって死者も出ています！」

「…」

イリスの問いに少し考えるような素振りをするテオス。

「理由はその時に僕が本格的に君たちの世界を管理することになったからさ。僕はもともと別の世界の管理者であって、君たちの世界…地球だね。地球は管理していなかったんだよ。しかし、突然地球を管理することになってしまってね。どのように管理しなければならないのか、今までの歴史を確認するのも時間がもったいなくて、僕が管理している別の世界の理を君たちの世界にも活用したってわけさ。」

テオスが、――突然管理することになってしまって――という言葉の辺りで少し声のトーンを落とした事に気付く信之。

「突然管理することになった、ということは地球は別の管理者がいたという事か？」

「その通りだよ。」

「その管理者はどこへ行った？なぜ突然テオスが管理することに…」

「そこは君たちが知る必要は無いよ。」

信之の言葉を途中で遮って回答を返すテオス。

その回答には、少し怒気が孕んでいるかのような雰囲気があった。

「俺らの疑問は答えてくれるんじゃなかったのか？」

「おや、そうだったかな？であれば、この件に関しては答えられない。という答えとしようか。」

「ふざけているのか？」

理屈の通らないような回答に苛立ちを覚える信之。

「どうとでも取ってくれていいよ。それよりも、奏君。そろそろその殺気を収めてくれないかな？」

テオスは横目で殺気を放つ奏を見る。

奏はテオスがこの世界にモンスターやレベルなどの概念を組み込んだことを話した時からテオスに対して異常なまでの殺気を放っていた。

しかし、テオスは奏の本気の殺気にも平然とした態度で奏に殺気を放つことを止めるよう促す。

「黙って聞いていたけど、やっぱり奏にはあなたが原因でお父さんとお母さんが死んじゃったとしか思えない！」

激怒している奏は、いつもの語尾を伸ばすような話し方ではなくなっていた。

「はぁ…またその話かい？まぁ、原因ではないが因子と言ったら間違いではないかな。僕がレベルという概念を組み込んだ。天動神示にスキルを与えた。その天動神示の傘下の人間が人殺しに快楽を覚えてしまった。様々な因子が絡んで君たちの両親は殺されてしまった。」

「原因でも因子でも何でもいい！神様なら、責任取ってお父さんとお母さんを返してよ！！」

「…。」

嘆くように叫ぶ奏を見て、拳を強く握る蒼汰。

「それはできないね。世界の理に反する。それに人はそのうち死ぬだろう？それが少し早まっただけだ。その程度の事で喚かないでほしいな。」

「…ッ！」

煽りともとれるような言い方をするテオスに怒りが爆発した奏は神笛を取り出し、演奏しようとする。

「…お姉ちゃん、待って。」

しかし、奏が演奏しようとするところを蒼汰が止める。

「蒼汰！なんで止め…」

奏は、蒼汰に何故止めるのかを聞こうとしたが途中で言葉が詰まる。

それほどまでに蒼汰も殺気を放っていたためだ。

「…テオスさん。あなたを倒したら地球はどの程度影響がありますか？」

蒼汰は、テオスを倒してしまった際の地球に及ぼす影響を考えていた。

「そうだね…。僕が死んだらモンスターやダンジョンは消え去り、レベルやスキルは無くなるね。だからちょっと前の地球に戻るかな。」

「…信之兄さん。」

テオスの話を聞いて倒しても問題は無いと考えた蒼汰は、信之に話しかける。

信之は、蒼汰が何を言いたいのかがすぐにわかった。

「蒼汰と奏のしたいようにするといい。」

「…ありがとうございます。お姉ちゃん、やるよ。」

「うん！」

「まだ話は全て終わってないんだけどなぁ。」

蒼汰と奏が戦闘態勢に入っても、テオスは全く動じず椅子に座って足を組んでいる。

「…バグズエクスプロージョン」

蒼汰は魔界の蟲を呼び、テオスへ向かわせる。

それと同時に奏は傀儡のカプリッチョを演奏し、テオスが避けられないように動きを止める。

魔界の蟲は次々にテオスに張り付き、爆発する。

奏は爆発を確認したと同時に演奏を変える。

破滅のレクイエムを演奏する。

破滅のレクイエムは、対象に聴かせることで脳を膨張させ破裂させる恐ろしいスキルだ。

しかし、演奏しても手ごたえのない奏は、顔をしかめる。

その様子を見た蒼汰は、再度魔界の蟲を呼びバグズエクスプロージョンを放とうとするが…

「格が足りないね。その程度で僕を倒せると思ったかい？」

テオスは先ほどと変わらず、椅子に座って足を組んでおり、全くの無傷であった。