第102話 最終ダンジョン?

あの後、少しの間だがメタルエンペラー狩りを再開した。

理由としてはモルが進化直後だったので、慣らしが必要だと判断した為だ。


「さて、向かうか。」


モルの慣らしも終わったので、信之は皆に山頂へ向かう事を告げる。


「うんうん!何が起こるか楽しみだね!」


「…どこからか山頂に行くための入り口みたいなものがあるのでしょうか。」


「途中で噴火なんてしないわよね…?」


「入り口は必要ないだろう。テレポートで山頂まで行ってしまえば話が早い。噴火も今はしていないしパパッと行ってしまおう。」


信之の判断に蒼汰とソフィアが頷こうとすると…。


「信くん!!!」


「は、はい!」


「信くんそれは間違ってるよ!ここはゲームで言うなら最終ダンジョンだよ!?初めての最終ダンジョンをテレポートを使ってラスボスまで行くなんてズルだよ!言語道断だよ!悪逆非道だよ!」


「あ、悪逆非道…。イリスさん、みんなも面倒だからテレポート使いたいと思ってるじゃないか?」


信之の言葉を聞いて、イリスはソフィアたちを見る。


「みんなは、面倒なんて…思ってないよね?」


口は笑っているが目が笑っていないイリスを見たソフィアたちは、大きく首を縦に振り、信之をすぐさま裏切る。


「あれぇ?信くん以外テレポート使う気無いようだよ?」


「イ、イリス、それは卑怯だぞ!」


イリスのパワハラに信之は抗議する。


「何のことかな?」


とてもきれいな笑顔でとぼけるイリス。


「…はぁ、わかったよ。歩いて頂上目指そうか…。」


イリスと言い合いをしても勝つことはできないと判断した信之は、白旗を上げた。


「(主よ、いいのか?言っておくがあそこは…)」


「骸骨さん!ネタバレは禁止だよ!」


ディースが何かを伝えようとするが、すかさずイリスに阻まれる。


「(む…そ、そうか。それなら何も言わないでおこう。我は歩くのは好きではないので、主の影の中に入る。)」


そう言ってディースは、信之の影の中に入っていった。


「じゃあ、行こうか。」


「はーい!」


信之たちは、火山まで歩いて向かった。


途中で何度もゴートデビルと出くわしたが、レベルを上げたため、楽にゴートデビルを倒すことが出来た。


特にモルの成長が著しく、ゴートデビルをいとも簡単に倒している。

モルがゴートデビルを簡単に倒せるようになったのは、ステータスが大きく上昇したこともあるが、各属性魔法が使用できるようになったことが大きい。


ゴートデビルは空を飛んでいるため、モルは毎回ジャンプをして攻撃をしなければならなかったが、風魔法を使用して空を飛べるようになったため空中戦がとても楽になったのだ。


また、バフ系の魔法も獲得したため、自身を強化することも可能となった。



ゴートデビルを倒しながら信之たちは、火山のふもとまでやってきた。


「これ…登るのか…」


「…大変そうですね。」


「楽しみだね!山は気温や天候の変化が起きやすいらしいから気を付けないとね!」


「イリスちゃん、それってダンジョン攻略というより、山登りを楽しみにしてないかしら?」


「どっちも楽しみ!!」


「あぁ!ゲーム機が溶けてる~…奏のswi〇chが~!!」


「よし、登るか!」


一人だけ違うリアクションをしているが気にしないことにした信之は、火山を登り始めた――――――






「こんな…こんなのって無いよーーー!うぅ…。」


現在信之達は、火山の山頂にいる。

信之の目の前には、イリスが四つん這いとなって泣いている。


「イリス…なんていうか…そんなときもあるさ。」


「そ、そうよ。これは想定外だもの。仕方ないわよ。」


時は火山を登るところに遡る。


ある程度火山を登ったところに洞穴のようなものがあった。

イリス曰く、そこがダンジョンの入り口だという事で入ったが、単なる穴で特にダンジョンは無かった。

その後も何度か洞穴のようなものがあり、中に入ったが特にダンジョンは無くどんどんテンションが下がっていくイリス。


見ていて不憫に思った信之たちは、もしかするとこちら側が入り口ではないのでは?とイリスに話し、山を回り込んでダンジョンを探すなどしたが、結局ダンジョンは見当たらず山頂まで辿り着いてしまったのだ。


ちなみにその間モンスターは一体もおらず、単に非常に時間をかけて登山しただけである。


「この恨み…はらさでおくべきか…!信くん、あの扉開けよう!これはきっと創造者の罠だよ!」


悲しみが怒りとなり、怒りの対象が創造者となったイリス。


「ま、まぁ、その可能性も無くは無いが、ちゃんと確認してから恨みを晴らそうな?」


「うん、わかった!」


納得してくれたイリスに安堵して、信之は扉を見る。

火山の山頂に扉があったのだ。

扉は白く、非常に大きい。5メートルはありそうだ。

特にドアノブは見当たらない。


信之たちが扉に近づくと、扉は自動的に開いた。


「入れってことか…。みんな、行くぞ。」


扉の中に入ると、一面、白い空間が広がっている。


その先には光り輝く者が白い椅子に座って優雅に何かを飲んでいる。

その者はこちらを見ると、声をかけてきた。


「やぁ、やっと来たかい。待っていたよ。僕はこの世界と別の世界の管理…たわらばっ!!!」



光り輝く者が創造者だとわかったイリスは、瞬間移動を使って創造者を蹴り飛ばした!

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