第101話 モルの進化とかまってちゃん

信之がクー・シーへの進化を承諾すると、モルは体を丸めて寝転がった。

すると、直ぐに体が光り出す。


「進化が始まったか。」


「久しぶりの進化だね!楽しみ!」


「あの可愛いモルちゃんがとうとう進化だなんて…。」


イリスが楽しみにしているのに対して、ソフィアは現在のモルから姿かたちが変わってしまうことに不安があるようだ。


「頑張れ~!ヒッヒッフ~ってすれば辛くないよ~!」


「…お姉ちゃん、それは子供を産む時だから進化では意味が無いんじゃないかな。」


奏はモルの進化を応援しており、蒼汰は奏が進化の邪魔をしないか見守りながらもサラッとツッコミを入れている。


数分待っていると、モルを包み込んでいる強い光が輝きを失っていく。

進化が終わったようだ。


「めっちゃ凛々しいな…。」


「かっこいい!!」


「あぁ…こんなモルちゃんも素敵ね…。」


モルの姿は、クー・シーの鑑定内容の通りの姿となった。

体高は1メートル50センチほどで、大人も乗れそうな高さだ。

銀色の毛は以前よりもしなやかで光沢を帯びている。

進化前は鼻が短く子供のようなかわいい印象であった顔は、鼻が長くなり大人の雰囲気を纏っている。

尻尾は長く、毛量も多くなった。

背中側に尻尾を丸めており、動くたびにふさふさと尻尾の毛が揺らめくように動く。


これには進化に不安があったソフィアもニンマリである。


「もふもふ~!」


尻尾のもふもふを確認した奏は真っ先にモルの尻尾をもふりに行く。


「あぁ…!」


奏に先を越されたソフィアは涙目だ。


楽しそうにモルの毛を触った後、奏はモルの尻尾に抱き着く。


「すっごいもふもふしてる~!」


幸せそうな奏を見たソフィアは、今にもハンカチを噛みそうなほど悔しそうな顔をしている。


「モル、どうだ?特に体は問題無いか?」


「がうっ!!」


声もかなり迫力がある。


ーーーーーーー

モル


種族 クー・シー (希少種) ☆1

称号 つぶらな瞳・魅惑のモフ・もっふもふ


Lv 1/30

HP 6320

MP 4820

ATK 8980

DEF 3450

INT 4100

AGE 8110

ーーーーーーー


「もうすぐにカンストだな。」


「かなり強くなってるね!」


「…ソフィアさんもカンストしたら二人で試練の間ですね。」


「信が前に言っていたわね。確か、能力の上限を上げる試練だって。」


ソフィアはモルをもふりながら話す。

奏に尻尾は取られているので、お腹をもふっているようだ。


「あぁ、その通りだ。…ん?そういえば死の支配者は試練の間へは行ったのか?」


「(いや、行っていないが…それは行く必要があるのか?主よ。)」


「行かないとステータスが9999で止まるんだよ。その上限を突破するために行くのさ。」


「(なるほど…。なら私は行く必要が無さそうだ。主よ、私のステータスを確認してくれ。)」


ーーーーーーー

名前なし


種族 死の支配者 ☆3

称号 死王・かまってちゃん・影が薄い


Lv 23/50

HP 25000

MP 34000

ATK 26500

DEF 18000

INT 34600

AGE 12500

ーーーーーーー


「…は?」


「骸骨さん強い!?」


「どうりで出会った時、悪寒が走ったわけね…。」


「数字は3桁までしかわからない~。」


「…死の支配者さんのステータスよりも、お姉ちゃんの言葉の方にショックを受けました。」


「(我は既に上限を突破しているようだ。恐らく、あの創造者が絡んでいるのだとは思うが。)」


「その話が真実だとすると、試練の間もそいつが作成したものってことも考えられるな。いろいろと聞きたいことが出てきた。」


信之はそう言いながら、創造者がいると思われる火山の山頂の方を見る。


「信くん、モルちゃんも進化したし、もう山頂に向かう?」


「そうだな…。モルの進化後の体を慣らしたら、山頂へ向かおうか。」


「うん、わかった!」


「(それより主よ。我のステータスを確認して何か気付かなかったか?)」


唐突に死の支配者は信之に語り掛ける。


「ん?ステータスが高いと思ったが…。あぁ、かまってちゃんの称号の事か。三回も登場してるんだもんな。そりゃ確かにかまってちゃんだよ。」


「信くん、違うよ!ワイト、大杖、ver2、死の支配者だから四回目だよ。」


「四回目となると、確かにかまってちゃんと言わざるを得ないわね…。」


「(ち、違う!我は断じてかまってちゃんなどではない!というか称号の話ではない!!一番上だ!名前が無いのだ!)」


死の支配者今までにない程のスピードで歯を鳴らしている。

念話で話しているので、歯を鳴らす必要はないはずだが…。


「名前?死の支配者じゃないのか?」


「(それは種族名だ。きちんと名前が欲しいのだ。主よ。)」


どうやら死の支配者は信之から名前をもらいたいようだ。


「信くんのセンス…。大丈夫かな…。」


「え?イリスがそれ言うの?」


「え?」


イリスは何のことを言われているのかわかっていないようなので、信之はこれ以上話を深堀るのはやめることにした。


「死の支配者の名前か…。モモn…おっと、それは駄目だな。えっと…ディース、お前の名前はディースだ!よろしくな。」


危ない名前が出かけたが、死の支配者の名前を決めることが出来た信之。


「(ディース…ふむ、悪くない。何かその名前に意味はあるのか?)」


「ちょっとした意味が込められているが内緒だ。」


「(ふむ。内緒か…。因みにその前に出かけた名前を聞きたいのだが…。)」


「そっちはもっと内緒だ!!」


「(むぅ、そうか…。気になるが仕方あるまいな。)」


残念そうにうつむくディース。


その仕草に同情してしまうが、出かけた名前だけは絶対に言ってはならないと思う信之であった。

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