第89話 大丈夫だ、問題ない。
「この辺りから踏破できていない場所になる。もしかするとどこかにレアアイテムがあるかもしれないな。」
「…僕達も、メタル系を倒したいです。」
「メタルクイーンを倒せる武器が欲しいね!」
現状、奏と蒼汰、そして信之がメタル系の装備を持っていない。
その為、奏と蒼汰のレベル上げができない状態となっているのだ。
ちなみに信之もメタル系にダメージを与えられる武器がないので自身でのレベル上げは出来ないが、誘いの門鍵の効果によりイリス、ソフィア、モルが倒したメタル系の経験値は、別途信之にも入ってくるので何もしなくともレベルが上がるのである。
ソフィアとモルのレベル上げは、三階層を進むにつれ、効率が増していっている。
初めは二人でメタルクイーンと戦っており、時間もかかっていたが、現在は一人で時間もかからずに倒せるようになった。
「二人ともかなり強くなったな。」
「わふんっ!」
鳴きながら、得意げそうな顔をするモル。
「ふふ、モルちゃんが得意そうね。でも、強くなって自慢げになる気持ちがわかるわね。」
ソフィアも上機嫌である。
どうやらソフィアも強くなれたことが嬉しいようだ。
「そういえば、どのくらい強くなったんだ?ステータスを見せてくれないか?」
「わかったわ。」
ソフィアは、信之にステータスを見せる。
モルのステータスは獣魔契約を行っているので、信之が見ようと思えばいつでも見れるが、今回久しぶりにモルのステータスも確認した。
ーーーーーーー
ソフィア・モルモリュケ
職業 探索者
種族 中級ヴァンパイア (変異種) ☆2
称号 傾国の美女
Lv 38/70
HP 2840
MP 2350
ATK 2100 (2165)
DEF 1850
INT 1640
AGE 2050
ーーーーーーー
ーーーーーーー
モル
種族 レアパピー ☆3
称号 つぶらな瞳・魅惑のモフ
Lv 25/80
HP 1880
MP 680
ATK 3450 (3515)
DEF 1020
INT 1050
AGE 2980
ーーーーーーー
信之は、二人のステータス
「なんだか強くないか?俺らの時は、こんなに成長率高くはなかったぞ?」
「あら、そうなの?なぜかしら…変異したから?でもそれだとモルちゃんの理由がわからないわよね。」
「…そんなに強くなっているんですか?」
「あぁ。ソフィア、蒼汰にも見せてやってくれ。」
蒼汰が気になっていたようなので、ソフィアのステータスを蒼汰にも見せる。
「…レベルの上限もおかしいですね。僕らは☆2の時はレベル50が上限でした。」
「確かにそういえばそうだな。」
「…もしかすると、種族で成長のタイプがあるのかもしれません。」
「それは、魔物系と人で成長のタイプが違うかもしれないという事ね?」
「…あ…えっと、その…。」
ソフィアの事を魔物だと言っているようなものだと気づき、慌てる蒼汰。
「いいのよ、蒼汰。私は自分が魔物だってことは既に受け入れているの。使い勝手の良いスキルが手に入ったし、強くもなったたわ。人間の頃よりも充実しているのよ?」
「…良かったです。傷つけてしまったかと思って心配しました。」
ソフィアは全く気にしていないようで安堵する蒼汰。
「成長のタイプについては今のところ過程なわけだし、このままレベルを上げてみてどうなるか確認してみるか。そういえばソフィアは、下級ヴァンパイアから中級ヴァンパイアに進化しているようだがいつの間に変わったんだ?」
「メタルクイーンを倒した時に、前みたいに声が聞こえたわね。ただ、進化しました。というアナウンスだけで、私の体自体は特に何も変わっていないわ。」
「なるほど、そんなパターンもあるのか。」
話しながら歩いていると、信之が取得している財宝探しのスキルに反応があった。
「お!近くにアイテムがありそうだ。行ってみよう。」
「お宝~!」
「そんな便利なスキルも持っていたのね。何があるのかしら。」
財宝探しのスキルに反応があった方向に進むと、森を抜けて開けた場所に出た。
そこには石のような物で補装された円の形をした地面があり、中央に宝箱があった。
「何かありますって言わんばかりの主張をしている宝箱だな。」
「開けたら爆発するんじゃないかな!?」
「開けようと向かうと、手前に落とし穴とか~?」
「…ミミックという可能性もありますね。」
「そうね…鍵がないと開かないというのもあり得るわね。」
「わふ、わふわふっ!」
各々、どんなことが起こるかを予想する。
因みにモルは、この付近に魔物の匂いがすると言っている。
「じゃあ、どんな結果になるか開けてくる。」
信之が宝箱の元へと向かう。
「確実に何かあるわよ?危険じゃないかしら?」
「大丈夫だ、問題ない。」
信之は、非常に凛々しい表情で返答する。
「なぜかはわからないけれど、その言葉を聞くと不安になるのはなぜかしら…。」
「…そんな装備で大丈夫か?と聞いていたら満点でしたね…。」
「…?何の話かしら?」
ぼそりと呟く蒼汰の言葉に反応するソフィア。
「…いえ、独り言です。」
そんなやり取りをやっていると、すでに信之は宝箱の目の前まで来ていた。
「さて、どんな罠がある―――」
「キュゥウウウウンッ!!!」
信之が宝箱を開けようとすると、上空からけたたましい鳴き声した。
上を見ると、全長15メートルはある怪鳥が飛んできたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます