第68話 モルの進化先
「モルを経験値の間へ連れて行ってみるか。」
「一階層なら危険も無いしすっごく広いから、モルちゃん喜ぶんじゃないかな?」
「確かにそうだな。よし、奏、蒼汰も行くか?」
「行く~!」
「…行きます。」
皆で経験値の間へ行くことになった。
「モル、今から経験値の間に行くぞ。いきなり場所が変わるから驚くなよ?」
「わふ?」
何のことだ?と言って首を傾げるモル。
次の瞬間、モルは青い空、白い雲、緑の草原の中にお座りをしていた。
「…!?」
驚きながらも鼻をひくつかせてあたりを見渡すモル。
「はは、驚いているな。ここが経験値の間だ。たくさんここに来ることになるから覚えておくんだぞ。」
信之はそう言って、モルの頭を撫でる。
「わふ!」
モルは、わかったと鳴くと広い草原を走り出す。
「わ~、モルちゃん元気がいいね~。」
「…迷子にならないように追いかけないと…。」
「そんな簡単に迷子にはならないだろ。蒼汰は心配性だな。」
「…心配性…。そうかもしれません。放っておくと何をしでかすかわからない人とずっと一緒に生活していますから。」
蒼汰は奏を見る。
「…ほえ?」
「そうだな。心配性になるのも無理は無いな。」
蒼汰が心配性となった原因を見ながら納得する信之。
「あー!モルちゃんがメタルスライムにじゃれてるー!」
イリスの声に、信之と蒼汰はモルの方向を見る。
モルは、メタルスライムを前足で叩いたり、噛みつこうとしたりしている。
経験値の間でのメタルスライムは特に攻撃をするわけでもなく、逃げるわけでもないため、モルにやられ放題である。
しかし、メタル系特攻の装備がないため、メタルスライムには全くダメージが無い。
「そういえば、モルもどうにかしてメタルスライムを倒せば、ステータスを獲得することができるかもな。」
「あ、確かにそうだね!モルちゃんが強くなったら番犬にもってこいだよ!」
ステータスを獲得した番犬とは恐ろしすぎると思った信之。
「だが、どうやってレベルを上げるかだな。メタル特攻の武器はモルには大きいよな…。」
「うーん、メタルハントショートソードなら何とか咥えられるかな?」
「流石に無理だと思うが…。モル、これを咥えられるか?」
信之はメタルハントショートソードを地面に置き、モルに咥えるよう頼む。
「わ、わふ…。」
重くて咥えられないようだ。
「やっぱり無理か。どうするかな…。」
信之は目の前にいるメタルスライムとモルを見ながら考える。
モルは相変わらずメタルスライムにじゃれている。
「…あ、これ、もしかして戦闘に参加しているってことになるんじゃないか?」
以前、イリスがステータスを獲得した際は、ディレクターを助けるためにカメラの三脚でゴブリンを叩いていた。
全く有効打にはなっていなかったのだが、戦闘に参加したとみなされたのか、イリスは経験値やステータスを獲得したのだ。
モルはじゃれているとはいえ、メタルスライムに攻撃を行っている。
信之は確認するために、メタルスライムの核を破壊した。
「…!?」
メタルスライムが消滅すると同時に、モルはあたりをきょろきょろと見渡す。
「モル、もしかして何か声が聞こえたのか?」
「わふ!」
モルは肯定した。
「おお!なら、ステータスを獲得したはずだな。ただ、どうやってモルにステータスを出してもらえばいいのか…。ん?待てよ、獣魔契約をしているのだから、もしかすると俺の方で見れるのか?」
信之は、モルのステータスを確認しようと念じると…
ーーーーーーー
モル
種族 犬(雑種)(幼少)
称号 つぶらな瞳
Lv 10/10
HP 30
MP 10
ATK 11
DEF 10
INT 10
AGE 10
・進化が可能です
※モル、もしくは獣魔契約者である平信之が進化先を選択することが可能です
ーーーーーーー
「見れたな。それにしてもモル、進化できるじゃないか!」
進化が可能である表記を見て驚く信之。
「え?モルちゃん進化できるの?凄いね!どんなのになるんだろう、見てみたい!」
「モルちゃんの進化見たい~。」
「…犬の進化ですか、気になりますね。」
三人も進化が気になるようだ。
「気になるよな…どうやらモルだけでなく、獣魔契約者である俺もモルの進化先を選択できるようだから確認してみる。」
信之はモルの進化先を確認した。
ーーーーーーー
以下の進化が可能です。
・ベビーキラードッグ
・レアパピー
・人面犬
ーーーーーーー
「あ、これ一択だわ…。」
「え?そうなの?」
信之は進化先を三人に伝える。
「ベビーキラードッグは明らかにキラーが入っているからやばいだろ?人面犬なんて恐ろしすぎるし、それだとレアパピー一択だろう…。」
「…確かにそうですね。レアパピーに関しては、名前にレアとついていますし、今後の進化先に良いものがありそうな気がしますし…。」
蒼汰も信之と同じ意見のようだ。
「名前が可愛いし、私もそれでいいと思う!人面犬は…想像するだけで怖いよ…。」
「うりうり~!」
イリスもレアパピーに賛成のようだ。奏はモルに夢中で話を聞いていない。
「よし!じゃあ、レアパピーを選択するぞ。さあ、モル。進化の時間だ!」
「わふ?」
進化というのがわからないモルは、いつもの如く首を傾げるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます