第56話 升は奏だけではありませんでした。

「…僕もメタルスライム倒してみます。」


次は蒼汰がメタルスライムを倒すようだ。


「…行きます。」


サクッ


「…蒼汰?かなり至近距離だったぞ…?」


蒼汰は、核を狙ってメタルハントショートソードを突き刺したが、当たらない。

それどころかメタルスライムにすら当たらず、草に剣が刺さる。


「…行きます。」


どうやら蒼汰は先程のことは無かったことにしたようだ。


サクッ…


「…蒼汰?」




「…やりました。」


あの後、4回ほど同じことが続き、漸くメタルスライムの核を破壊することが出来た蒼汰。


「…す、凄い。確かにお姉ちゃんの言う通り力が湧き上がってくる感じです…」


「声も聞こえたか?」


「…はい、しっかりと聞こえました。僕も専用の職業を手に入れたようです。」


信之は魔纏の瞳を使用する。


ーーーーーーー

音羽蒼汰


職業 蟲使い☆0

種族 人間

称号 分析者


Lv 8/30

HP 58

MP 48

ATK 12 (77)

DEF 8

INT 30

AGI 9

スキルポイント 960


スキル

「虫の知らせ」、「蟲使いの素質」

ーーーーーーー


ーーーーーーー

(名)

虫の知らせ


(概要)

先天性スキル

蟲と意思疎通をする事が可能となる

また、索敵に蟲を使用した場合、索敵範囲が上昇する

ーーーーーーー


ーーーーーーー

(名)

蟲使いの素質


(概要)

先天性スキル

蟲を使用して何らかの行動を行った場合、関連するステータスが1.25倍上昇する

ーーーーーーー


「はい、弟もチートでした…。」


「蒼汰ちーとだって~!凄いね~!…ちーとってなに?」


疲れた信之に対して、奏は喜んでいる。

なお、チートの意味をわかってはいない模様だ。


「あれ?待てよ?…蟲使いって、もしかしてアレが装備できる…?」


「信くん奇遇だね。私も丁度アレが装備できるのかな?って思った!」


「?」


信之とイリスはとあるアイテムの事を思い出した。

蒼汰はなんの事だかわからない。


信之は異次元収納から、とあるアイテムを取り出す。


ーーーーーーー

(名)

蠅王の腕輪


(概要)

大悪魔の力を宿す腕輪

蠅王に認められたものだけが装着ができ、その者は神職へと至る

魔神器の一つ

ーーーーーーー


「…とても綺麗な彫刻です…。」


奏の時と同様に腕輪に目を奪われる蒼汰。

もしかすると適性のある人間に対してそのような効果があるのかもしれないと信之は思った。


「大丈夫かな?奏ちゃんみたく、問題なくつけれたら良いけど…」


「奏の時が偶然選ばれただけかもしれないからな。念の為レベルを上げてからつけてみるか。」


「…いえ、大丈夫だと思います。なんだかこの腕輪に呼ばれている気がします。」


信之の提案を蒼汰は断る。


「大丈夫なんだな?」


「…はい、つけてみます。」


信之は蒼汰に腕輪を渡し、蒼汰は腕輪を身につけた。


「…大丈夫そうです。あ、声も聞こえてきました。」


ーーーーー

音羽蒼汰が蠅王に認められた為、蠅王の加護を獲得しました。

音羽蒼汰は蠅王の腕輪を使用できるようになります。

また、神職「蠅王ベルゼビュート」へ転職できる権利を獲得しました。


レベルが規定に足りていない為、蠅王の腕輪は本来の力を発揮できません。

レベルが規定に足りていない為、蠅王への転職ができません。

蠅王に転職する為には特定のアイテムが必要です。

ーーーーー


ーーーーーーー

(名)

蠅王の加護


(概要)

魔界の君主である蠅王に認められた者だけに与えられる加護

全てのステータスが2倍となる

また、スキル獲得時における必要スキルポイントが1/2となる

ーーーーーーー


蒼汰は三人に内容を伝えた。

信之とイリスは、もう慣れたという顔をしていた。

奏についてはもはや、話半分でメタルスライムを狩り始めている。


「奏も蒼汰もしっかりレベル上げていけば、近い将来とんでもなく恐ろしい強さになりそうだな…。」


「レベル上げ!!うんうん、レベル上げは大事だよ!じっくりコトコトレベルを上げて行こうー!!」


「お~!」


信之のレベル上げという言葉に、久々のオタク心に火が付いたイリスだが…


「メタルハントソードは奏に、メタルハントショートソードは蒼汰に渡すから、イリスはレベル上げができないぞ?」


「…。」


信之の死刑宣告とも取れる言葉にイリスは死んだ魚のような目となった。



イリスの再起動に1時間ほどかかったが、その間にも奏と蒼汰はレベル上げを行った。


現在は二人とも☆1のレベル20を超えたところだ。


信之達であれば既に☆2になっているところだが、どうやら専用職の場合レベルが上がりづらいようだ。


「そろそろ下の階層に行っても大丈夫だろう。2階層へ行こうか。」


信之は、現在の二人の強さであれば二階層でも十分通用すると考えた。


「二階層に行くんだね!じゃあ、直行直帰さんを使うよ!」


「「(…)直行直帰?」」


直行直帰という聞きなれない言葉に首を傾げる奏と蒼汰。


(ま、まずい!イリスに直行直帰について話させては駄目だッ!)


信之は瞬時にまずい状況になったことを悟るが


「えっへん!よくぞ聞いてくれました!直行直帰さんというのは、この階層と二階層とか三階層を一瞬でテレポートしてくれるとても優秀な石さんでね!直行直帰さんはいつでも私たちの事を…」


この後イリスは30分以上熱弁し、奏と蒼汰は真っ白に燃え尽きた…。

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