第54話 奏と蒼汰が妹と弟になりました。

後日、信之とイリスは奏と蒼汰の家に向かった。

向かうことについては、念話で話している。


「二人とも、元気か?」


「やっほぅ!奏ちゃん、蒼汰君!」


「こんにちは~、信之さん、イリスさん。」


「…はい、元気でやっています。」


二人の表情は明るく、特に大きな問題は無さそうに見えた。


「その後はどうなったのかな?」


イリスは状況を二人に聞いた。


「…お父さんとお母さんは、手続きを終えて火葬しました。あとは、親戚がとりあえず里親となってくれました。ただ、今まで疎遠だったというのもあって、あちらには行かずにここで二人暮らすことにしました。親戚にも了承をもらっています。今は大体の手続きも終わって、もう、学校にも行っています。」


「そうか…、いろいろと大変だったろう。何か俺らに頼みたいことがあったら何でも言ってくれ。」


「あっ!なら奏、お願いがあります~!」


間髪入れずに奏が手を挙げる。


「元気がいいな。はい、奏君。」


前と比べてとても元気になった奏に、信之は思わず先生のような態度になってしまう。


「はい!信之さんと、イリスさんをお兄ちゃんとお姉ちゃんって呼びたいです~!」


「えっ!?わ、私がお姉ちゃん?」


「だ、ダメですか~?」


ダメかと思って落ち込んでしまう奏。


「う、ううん、違うの!いきなりでびっくりしちゃったの!私一人っ子だから妹とか弟とか兄弟が欲しいなって思ってたから嬉しい!」


イリスはどうやら一人っ子で兄弟が欲しかったようだ。

聞いた瞬間は驚いていたが、かなり嬉しそうである。


「ほんと~!?やった!信にぃに、イリスねぇだね!えへへっ。」


(あ、俺の場合は意思を聞かずに確定だったのね…。)


信之が兄になることは決定事項だったようだ(信之の場合はお父さんであってもおかしくはない年だが…)。


「…じ、じゃあ僕も信之兄さんとイリス姉さんで…。」


蒼汰も便乗する。


「え~!?蒼汰、奏の事お姉ちゃんって呼ぶのにイリスねぇの場合は姉さんなの?」


「…なんとなく、お姉ちゃんはお姉ちゃんで、イリスさんはイリス姉さんって感じなんだよね…。」


「何それ、よくわかんない~!」


奏はどこか納得いかないようだ。


「…あの、ぼ、僕からもお願いしてもいいですか…。」


談笑していると、今度は蒼汰が手を挙げる。


「うん、俺たちで叶えられることであれば何でも言ってくれ。」


「…僕を強くしてくれませんか?」


「…強く…か。」


信之は、このお願いが来ることを少し予想していた。

しかし、二人は中学生でまだ子供だ。ステータスを獲得させて良いものか答えが出ずにいた。

信之が答えずにいると…


「…僕がまだ中学生で子供だからという理由で答えに悩まれているのではないかと思います。僕は得た力で誰かを傷つけるためではなく、自分の力に陶酔するわけでもなく、お姉ちゃんや自分を守りたいんです。お願いします。」


(こちらの考えが読まれているし、しっかりとした意志もある…。本当に中学生かと疑いたくなるな…。)


蒼汰の意志や思慮深さに驚く信之。


「奏も強くしてほしいです。奏も蒼汰を…最後の家族である弟を守りたいです!」


奏の目も強い意志を感じる。


「…わかった。ただし、蒼汰が言ったように誰かを傷つけることや、自惚れるようなことは駄目だからな。それが守れるなら二人を鍛えよう。」


信之は二人に許可を出す。


「…ありがとうございます!これでお姉ちゃんを守れる…。お姉ちゃん、一緒に頑張ろう!」


蒼汰は珍しく喜びを表情に表す。


「わ~い!やったぁ!これで信にぃとイリスねぇとたくさん一緒にいれる~!」


「…お、おねえちゃん…?あれ…、そっちに喜ぶの…?」


なんだかとても寂しい気持ちとなった蒼汰であった…。




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以下、天動事変時のスキル説明


天動神示のスキル

「褒める」、「激励」、「勧誘」

※上記スキルはすべて話術士のスキル

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(名)

褒める


(概要)

対象のモチベーションを上げることが可能

一定時間、効率が1.1倍上昇

自身への使用は不可

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(名)

激励


(概要)

対象を奮い立たせることができる

一定時間ATKとDEFが1.1倍上昇

自身への使用は不可

上位互換として鼓舞が存在する

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(名)

勧誘


(概要)

対象を誘い入れ易くなる。

対象の耐性やステータスで効果に差が生じる

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ジェノサイダーまさる(鈴木 大すずき まさる)のスキル

「チュウニビョウ」


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(名)

チュウニビョウ


(概要)

先天性スキル

眼帯を付けた箇所が目であった場合、その瞳を赤く色付けることができる

眼帯を付けた時間分、瞳を赤くすることが可能

包帯を付けた腕や足に対して黒色のオーラを出すことができる

包帯がほつれていればほつれているほどオーラが大きくなる。

双方ともにバフが掛かるわけでは無いので注意

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