第43話 天動事変
「無理に決まってんだろぉぉぉぉぉー!!!」
「強すぎるぅ。もっと…もっとレベル上げなきゃ…もっと…もっと…。」
信之とイリスはレベル上げの後、天衝銀竜に挑戦をした。結果は惨敗だった。
途中までは良い感じにダメージを与えることが出来ていた。
しかし、本気を出てきた天衝銀竜は、4つのオーブを出現させた。
そのオーブが曲者で、イリスや信之から距離をとって、遠距離攻撃をしてくる。更にこのオーブは各個撃破をした際にすぐにオーブが復活する。
オーブに鑑定をかけたところ
ーーーーーーー
(名)
天竜玉
(概要)
天衝銀竜の誇る最強スキルで作成されたオーブ
オーブが存在する限り天衝銀竜はダメージ無効・HPMP継続回復のバフが発動する
オーブは4つ同時に破壊する必要があり、単体で破壊しても即時生成される
4つのオーブは複数まとめて破壊されないよう、交わること無く動き続けている
ーーーーーーー
「オーブを何とかまとめて破壊しようとしてみたが…」
「ダメだったね…。天衝銀竜も邪魔してくるし、二人じゃ無理だよぅ。」
「そうだな…。あれはステータスがどう、と言うより人数だな。」
経験値の間でいくらレベルアップしても、流石に今回は無理そうだ。
「纏幻を使っても能力が1/10だから破壊が無理だしな…。」
纏幻は使ってみたものの、能力が足りずに先にコピーが倒されてしまったのだ。
「んー。誰か一緒に強くなってくれる人いるかなぁ。」
「コントラクトが使用できるとはいえ、信用できる人じゃないと経験値の間に連れて行きたくはないなぁ。」
考えてみたが、現状この人という案は出てこなかった。
「とりあえず、そろそろ現実の世界に戻ろうか。経験値の間にいすぎてあっちの事忘れちゃいそうだ。」
「あはは。確かにそうだね。…あれ?私、次何の撮影あったっけ…。あれ…。」
「イリス…。」
現実の世界に戻る前にスマホのスケジュールなどを確認し、頭を抱えながら直近の事を思い出そうとするイリスであった。
家に戻って信之がいつもの如くミイラ化した次の日、日本中を震撼させる出来事が起きた。
「テロです!神奈川でテロが勃発しました!テロを起こしたのは株式会社Tenshinの代表取締役である天動神示であることがわかっており、天動神示が神奈川県の一部を占拠しているとの情報が入りました。」
株式会社Tenshinは政府と協力してモンスターがドロップする魔石を使って原子力のように何かのエネルギーに変換できないかを調査していたIT会社だ。
それだけでなく、モンスターが現れてから警察や自衛隊は通常の銃だけでは心許ないという事で、魔石を利用し武器を製造できないかを特に重視して研究していた。
今回、その試作武器を株式会社Tenshinが秘密裏に大量製造し、天動神示はその試作武器を使ってテロを起こしているようだ。
「また、テロを起こしているのは天動神示だけでなく、他300人以上がテロを起こしているとのことです。テロを起こしている組織は天動衆と名乗っており、政府は名前から天動神示をトップとした組織の可能性があるとみて調査しています。現在一般市民の死者も出ており、政府は早急に対処するためにSATや自衛隊などを…」
一般市民にも被害が出ているという事で状況は芳しくないようだ。
「テロか…。ステータスを持った奴が何かしら事件を起こすだろうとは思っていたけど、まさかここまでの事をやるとは…。」
まさか数百人規模で事件を起こすとは思っていなかった信之。
「神奈川の人たち大丈夫かな…。」
「そうだな。それにしてもテロという事は何か目的があってやっているという事か?」
信之が疑問を呈したと同時に、ニュースキャスターが天動について話す。
「天動神示は昨日動画をアップしており、テロを起こすことを仄めかす内容を話していました。現在は動画運営会社により動画を削除されておりますが、その映像データを今回取得いたしました。内容がこちらです。」
天動神示が映る。
「ごきげんよう。僕は天動神示。ステータスを獲得した者です。突然ですが、僕はこの日本を世界で一番強い国にしようと思います。それにあたって、現在の国会議員は邪魔なのですべて排除します。あぁ、今のうちに言っておくけど、日本市民の皆さんは我々に抵抗しないようにね。抵抗せずに従ってくれれば後々良い思いができるんだけど、もし抵抗するなら…。わかってるよね?では、明日をお楽しみに。」
ここで動画は終了した。
「最強の国にして何がしたいんだあいつ…天動だっけ。」
「そう…だね。何か意味があるのかな?」
二人は天動が英雄のスキルを持っていることを知らない為、なぜ最強とさせたいかを理解できていない。
「天動さんって人が仮に日本を支配したとして…日本どうなっちゃうんだろ?」
「まず、国会議員全員排除って言ってるから、政治がめちゃくちゃになるんじゃないか?さらに世界一って言ってるから、他の国と戦争するってことだろうな…。」
「そんな…。」
天動側を支援したとして確実に良い未来は無さそうだ。
「うーん、政府がすぐに鎮圧してくれればいいんだけど、絶対天動衆っていうのはステータス獲得者いるよなぁ。政府の助けに行くべきか…。とりあえず、状況をちょっと見に行くか。」
「私もいくよ?」
「あれ?イリス今日、事務所行くんじゃなかった?」
「流石にこんなこと起きたらキャンセルになるよ。今日は無くなったって連絡来た!」
テロは神奈川で起きているが東京が近いという事もあり、仕事は休みになったようだ。
「OK、それなら行くか。素顔は流石にまずいから、魔装召喚でいくか。」
「はっ!?とうとう私もピエロさんデビュー!!」
なぜかピエロになれることに喜びを感じているイリス。
「えっと、別にピエロじゃなくてもいいんだよ?」
「え~、他はなにかあるかなぁ?」
「じゃあ、ジェイソンで行こうか。丁度良くここにゴブリンリーダーの大鉈もあるよ!」
信之は異次元収納からゴブリンリーダーの大鉈を出し、意地の悪そうな顔でイリスに提案する。
「ふーん。そっかぁ…。信くんは、またミイラさんになりたいんだぁ?」
「大変申し訳ございませんでしたああぁああああああああ!!!!」
即ジャンピング土下座を披露する信之であった。
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