第41話 私たちには資格は無いようです。
塔から出た二人は、三階層を探検しながらメタルクイーンを倒していく。
「よし!魔導王を突破して、☆4になった!」
「おめでとう!あ、そういえば信くんって今までどの職業を取ってきたの?」
「ああ、そういえばイリスに教えてなかったな。」
信之の職歴は…
デブ→筋肉質(※職業ではなく種族の進化という括り)→剣士→魔法士☆7→魔纏士☆7→剣士☆7→魔導王☆4
となっている。
「え?信くんって進化してたの?痩せることが進化ってなんか変だね?」
「そうなんだよなぁ。しかもそれ以降は進化の事については何もないんだよ。進化条件とかわかればいいんだけど。因みにイリスはどんな職を取ってきたっけ?」
イリスの職歴は…
魔法士→武闘家☆2→魔法士☆7→聖女☆6
「もう少しで聖女がカンストか!」
「って言ってもまだ100レベル以上上げなきゃだけどね。」
そういってイリスは苦笑する。
次の遺跡についた二人は魔装召喚をして身構える。
奥から出てきたのは体長は10メートル程ある亀だ。
ーーーーーーー
(名)
キングタートル
(概要)
大きい亀さん!その分甲羅も大きい!
スピードは皆無だけど防御は凄いよ!
あ、魔法使うと面白いことが起こるよ!
ボスモンスターのため経験値が豊富
ーーーーーーー
ーーーーーーー
キングタートル
職業 亀
種族 亀
称号 亀の王様
Lv 40/60
HP 4800
MP 250
ATK 350
DEF 4200
INT 220
AGI 50
スキルポイント 200
スキル
「のしかかり」、「地ならし」、「ストーングレイブ」、「充電」、「硬質ボディ」、
ーーーーーーー
「でたよ、概要の遊び…。しかも職業とか手抜きじゃないか!?」
「概要に遊び心が加えられている場合、いい事無かったような…。」
イリスは不安そうにキングタートルを見る。
「どちらであってもやるしかないな。行くぞ!」
信之はキングタートルまで走り、斬り付ける。
ガキンッ!!
「かったぁ!?甲羅は無理だな!」
甲羅は無理と見てすぐに信之は足を狙う。
ガキンッ!!
「こっちも弾かれるんかーーーい!」
「の、信くん、砥石だよ、砥石!斬れ味MAXにしなきゃ。」
「そうだな!斬れ味は白程度では弾かれるので紫あたりに…っておいっ!」
ボケとノリツッコミができる程度には余裕がある二人。
余裕があるのは、キングタートルが鈍重であるためだ。
攻撃もそこまで高い頻度で行ってくるわけでは無いのだが、こちらの攻撃が全く通らないので攻めように困る。
「イリス、離れておいて。あまり使いたくなかったけど、魔法使うわ。」
「そうだね、あの概要見る限り全然いい事起きなそうだけど、魔法しか無いもんね。」
二人は極力概要の言うことを聞きたくなかったが、諦めて魔法を使用することにした。
「よし、行くぞ!サンダーブレード!」
サンダーブレードは、キングタートルの上空に現れ凄い速さで落下していく。
サンダーブレードが当たる直前、六角形が集合した青光りする魔力の盾がキングタートルを包むように展開され、サンダーブレードは向きを変えて信之の方へ飛んでくる!
「これ魔法反射か!?」
信之とイリスはサンダーブレードに当たらないように避ける。
避ける事に成功し、安堵したところをサンダーブレードの2次効果である感電が二人を襲う。
「「あばばばばばばばばばばば」」
ダメージはさほど大きくは無いため、二人はすぐに立ち直る。
「うぅ…まだなんかビリビリしてる…。」
「くっそー!面白い事って魔法反射かよ!何も面白くないわ!」
愚痴りながらキングタートルを斬り付ける信之。しかし、やはり弾かれる。
「むー…もしかして、弱点属性があるとか?」
「なるほど!やって見るか!」
納得した信之は各属性魔法を使用してみることにした。もちろん下位レベルの魔法である。流石に上位レベルを使用して反射されたらたまったものではないからだ。
全ての属性魔法を試して見たが…。
「ダメだな…。全部反射された。」
「物理攻撃も、魔法攻撃もダメなんて無理ゲーだよ…。」
肩を落とすイリス。
信之は再度魔法を試すべく、アイスショットを放った。
アイスショットがキングタートルに着弾する瞬間、やはり魔法の盾が出現した。
「あ!」
信之は、跳ね返ってきたアイスショットを避けながら気づく。
「もしかして、何か分かったの?」
「うん。まだ可能性だけど、亀の甲羅に埋まっている丸い球体が怪しい気がする!」
キングタートルの甲羅をよく見ると、前方に一つ、側面に二つ、後方に一つ、上部に一つの計5つ球体がある。
信之は魔法を使用した際、その球体を軸に魔法の盾が展開されている事に気付いた。
「球体が物理で壊せるかやってみよう!」
「うん!」
二人はキングタートルの元へ走り、球体を攻撃する。
球体はキングタートルと比べると小さくはあるが、それでも直径30cm程あるため、狙いやすい。
「お!結構簡単に壊れるぞ!」
「うんうん!私も壊せたよ!」
信之とイリスは、キングタートルの側面にあった球体を二つ壊した。
「ガァアアアアッ!」
球体を壊されたキングタートルは、突然怒りだし、攻撃を放ってくる。
勢いよく前足を空中に上げて、地面に叩きつける。地ならしだ。
「イリス、飛ぶんだ!」
信之とイリスは、高くジャンプして地ならしを回避する。
「このまま球体を壊すね!」
イリスは、キングタートルの上部にある球体を破壊すべく、落下に合わせてかかと落としを繰り出し、球体を破壊する。
「のぶくん!あと、二つだよ!」
「ナイス!俺は正面から行くから、イリスは後ろを!」
「はい!」
信之とイリスは球体を狙って攻撃を行おうとする。
「ガァアアアアッ!」
キングタートルは、やらせないと言わんばかりにストーングレイブを放ってくる。
「あぶね!よっと!」
「えい!!」
二人はストーングレイブをジャンプして回避し、前方、後方の球体を破壊する。
「よし、これで恐らく魔法が通るはずだ。イリス頼んだ!」
「うん!フレアサークル!」
キングタートルがいる地面に赤い魔法陣が展開され、魔方陣内に超高熱ガスが覆う。
「ガアァァアッ!!」
「よし!」
球体が破壊されて魔法反射が出来ないキングタートルは、フレアサークルを一身に受け、黒い霧となって消滅する。
「やったぁ!」
「いいね!今回は前より進歩してる気がするな!」
「うんうん!」
上機嫌な二人は、戦利品を確認する。
ーーーーーーー
(名)
エウテルペの神笛
(概要)
音楽の神の力を宿すフルート
エウテルペに認められたものだけが神笛を奏でる事ができ、その者は神職へと至る
神器の一つ
ーーーーーーー
「ま、また来た!チートアイテム!!」
「え!?これも絶対強いよ!!」
「よし、吹いてみるか!吹き方知らんけど!」
フルートを全く触ったことのない信之だが、もし認められたら非常に強力な武器となる可能性があるので、試しに吹いてみることにした。
「そもそもどこに口当てるかわからないな…」
「わ、私もフルートは吹いたことないから…。あ、でもここに穴が開いてるから、息を吹きかければいいんじゃないかな?」
「なるほど!」
信之はイリスに教えてもらいながら歌口に息を吹きかけようとするが…
バチッ!!
「おんぎゃあああぁあああああ!」
やはり電流が流れた。
「の、信くん!?」
「いててててて、やばい、さっきの腕輪と違って唇はやばい!!」
信之はうつむきながら悶える。
なんとか痛みが引き始めたので、信之は顔を上げる。
「痛みはおさま…ぷふーー!!!!」
痛みは治まったかを聞こうとしたイリスだが、信之の顔を見るや否や爆笑する。
「あははははっ!!信くん!く、唇…上唇…!」
「え?唇?」
信之は異次元収納から鏡を出して上唇を確認すると、通常の3倍大きくなって真っ赤になっていた。どこかの彗星も驚きの仕様だ。
「で、でかあぁ!?」
この後イリスは、五分間笑いが止まらず呼吸困難により初めての瀕死状態に陥った。
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