第30話 ファッションショーが始まりました。
信之とイリスはショッピングモールへと来た。
「信くん!ここに行きたいっ!」
イリスは久しぶりの買い物でテンションが上がったのか、信之の腕を引っ張って店に入る。
「ははっ、そんな急いで入ろうとしなくてもお店は逃げないよ。」
「むぅ!わかってるよぅ!今日の信くんはよく私をからかいますねっ!」
イリスは頬を膨らましながらいじける。しかし、本当にいじけているのではなく、その表情は明るい。
「ねぇ、信くん、どんな服が好み?」
イリスが信之に女の子が着る服について好みを聞いてくる。
「うーん…」
本当はその人が似合うものだったらなんでも良い。と答えたいところではあったが、そんなことを言った時にはイリスが本当にへそを曲げてしまうと思い、信之はイリスへきちんと答える。
「ワンピースが好きかな。イリスはこの青いワンピースが似合うと思うんだけど、どうかな?」
「これ?青いワンピースは着て見た事無かったかも。着てみるね!」
そう言うと、イリスは小走りで試着室え向かう。
着替え終わったイリスは、カーテンを開けて恥ずかしそうに信之に披露する。
「ど、どう…かな…?。」
「…」
あまりの美しさに言葉が出ない信之。
「信くん?」
「あ、あぁ、ごめん、あまりに綺麗すぎて言葉が出なかった。」
「ふぇ!?」
好きな人に真正面から綺麗だと言われて、湯気が出るのではないかと思うくらい顔を真っ赤にするイリス。
そこからはイリスのファッションショーが始まった。
イリスは色んな服を着て信之に見せる。
試着室では、マスクやメガネ、帽子は取っており素顔は丸見えだ。
最初は女性の店員がいない時を見計らって行っていたが、途中からはテンションが上がってしまったせいか、はたまた信之に早く見せたいからか、店員が居ても気にせず信之に見せていた。
その為、女性店員はイリスを見つけてしまい驚いていた。途中からは、イリスが着替える度に顔を赤らめて「…キレイ…。」と呟いている。
(店員さん…仕事しなくていいのか…?)
数十分もイリスのファッションショーを見ている店員を心配する信之であった。
…この店員が後日しでかすのだが、この時信之は知る由もない。
「あー!楽しかったー!」
1時間ほどのファッションショーを楽しんだイリスと信之はモール内で遅めの昼食を摂っている最中だ。
「信くん、その…。服…たくさん買って貰っちゃって、ありがとう。」
「どういたしまして。イリスがまたその服着るのが楽しみだよ。」
「…!うん!たくさん着るね!」
信之はイリスがファッションショーをした際に気に入った服を買った。
経験値の間でのドロップしたお金については等分している為、イリスもお金は大量に持っている。
しかし、デートでイリスが自分で服を買うか、信之に買ってもらうかでは全く違うと思った信之は、イリスの服を買ってあげる事にした。
結果的に、「効果はバツグンだ!」と言うほど、イリスは終始笑顔でご飯を食べている。
「この後どこに行こうね~?」
「んー、服はもういいの?いくつかの店は回ったけど、まだ回りきれて無いよな?」
「うん!服はもう満足したよ!」
「なら家具でも買いに行こうか。」
「あ!家具!そうだね、買いに行こっ!」
家具屋に行き、小物からベッドなどの大きな買い物も済ませた。
色々と選びすぎたのか、すでに夕方となってしまっている。
「信くん、そろそろ帰ろ?」
「ん?デートはもういいのか?」
「うん!たくさん楽しんだよ。あとさ、お酒買って帰らない?なんだかお酒飲みたい気分!」
「そっか、分かった。今日は飲みまくるか!」
信之とイリスは家の近くにあるスーパーでお酒を買って帰った。
飲み始めて30分後、イリスはしっかり出来上がっていた。
「のびくん!これも飲みたまえ~。」
「…すみません。俺、信くんです。」
「えへへ~、わざとだよ~。」
イリスはどこぞの猫型ロボットに出てくる、先生のモノマネをしたかったようだ。
声を頑張って低くしようとしているが、全く低くなっていない。
そんなイリスの絡み酒の相手をしていると
「…信くん、いつも本当にありがとう。」
「ん?どうした?急に。」
顔をピンク色にさせたイリスが突然、信之にお礼を言いだす。
「信くんが私を助けてくれなかったら、私はもうこの世にはいなかった。モンスターから2回も助けてくれたし、怖い人からも助けてくれた…。信くんは、私の白馬の王子様だよ?」
イリスは信之にしな垂れる。
「ちょ。イリス?」
信之は突然のことに頭が回らない。
「私…信くんが好き。助けてもらって、一緒にレベル上げして…一緒に過ごして、凄く信くんの事好きになりました。」
イリスの告白を受けて、信之は目を見開く。
「だから、その…私と…」
「イリス、俺と付き合ってくれ。」
私と付き合ってと言おうとしたイリスに割り込んで、信之が告白する。
「え?…信くん?」
「すまん、覚悟を決めてくれたところを俺が遮って。それにしても俺、男としてかっこ悪すぎだ。イリスにここまで言わせるなんて。だからせめて、最後は俺から言わせてくれ。」
信之はそういうと姿勢を正し、イリスの方に向く。
「一緒にレベル上げに行って、一か月一緒に住んで、もうイリスが隣にいることは俺にとって日常なんだ。イリスがいないことなんて考えられない。イリス、俺と…付き合ってください!」
信之の告白から数秒後、イリスは何を言われたのかを理解し、目に涙が溢れる。
「は、はい…。よろしく、お願いします…。うぅ…。」
信之は泣いているイリスを抱きしめる。
「信くん…。」
イリスは信之を見て、顎を上に向け目を閉じる。
信之はイリスにキスをする。
「ん…、信くん、その…初めてだから優しくしてね?」
信之のマグナムと性豪スキルが火を吹く。
はずだったのだが…。
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