第26話 ストーカーは犯罪です。
ーーーーーイリス視点ーーーーー
初めて経験値の間でレベル上げを行ってから1週間ほどが経ちました。
あれからは経験値の間に行っていません。
というのもお仕事が忙しくなってきた為です。
経験値の間では、現実の世界の時間が止まっているので問題ないと、信くんに言ったのですが、信くんはお許しをくれません。私がおさぼりの前科持ちだからでしょうか…。酷いですっ!
あ、信くんとは毎日念話していますよ?
もう信くんとの念話は日課となっているんです。えへへ。
今日はテレビの収録です。
お仕事をする前に一緒に、お仕事をする俳優さんや女優さんに挨拶をします。
「神谷イリスです。本日はよろしくお願いいたします。」
「お、イリスちゃん、今日はよろしくね~。」
「よろしく~。」
皆さんとてもいい人で、今日も楽しく仕事ができるかなって思っていたのですが…。
「イリス~、久しぶりじゃねぇか。今日の夜一緒に飲みに行かねぇ?」
そう言って、こちらにやってきたのは蓮見悠助さんです。
私は、この人が本当に苦手です。
初めてお会いしたのは数か月ほど前のCM撮影で、一緒に共演させていただきました。
その時からお誘いを頂いているのですが、私を見る目がなんというか…凄くいやらしい感じがして、こんなこと言ったら失礼なのですが…正直、気持ち悪いです。
ただ、何かおかしいです。前回お会いしたときは、ここまで大胆ではなかった覚えがあります。今の蓮見さんはとても自信に満ち溢れているような感じがします。
「蓮見さん、ご無沙汰しております。すみません、私はお酒があまり飲めないので遠慮させていただきますね。」
私は丁重にお断りをしようとしたのですが。
「あぁ?じゃあ酒飲めなくてもいいから。俺と一緒にいれば絶対楽しいからさぁ。な?」
蓮見さんは引き下がるどころか、近づいてきて強引に誘ってきました。うぅ…。顔が近くて…気持ち悪いです…。
「すみませ~ん。強引に誘うのはやめていただけますか?」
私の事務所のマネージャーさんが入って助けてくれました。
「あぁ?」
蓮見さんは気に入らなかったようで、マネージャーさんを睨みました。
この人怖いです…。
どうやらこのやり取りが皆さんにも聞こえたらしく他の俳優さん、女優さんやスタッフさんもこちらを見ていました。
「…チッ!」
流石に不味いと思ったのか、蓮見さんは引き下がってくれました。
本当にホッとしました。
「マネージャーさん、ありがとうございます…。」
「いえ、でも本当に強引でしたね。しかもなんだか威圧感が凄かったというか…。正直もう一回同じことができるかといわれたら、できそうにないかもです…すみません。」
マネージャーさんも怖かったようです。
確かになんだか蓮見さんは、以前より威圧感がありました。まるで、私が初めてゴブリンを見たときのような威圧感です。
あ、蓮見さんをゴブリンと言っているわけでは無いですよ?あくまで威圧感です…。気持ち悪さはおな…いえ、何でもないです…。
その後、番組はつつがなく進みました。怖かった蓮見さんも撮影中は終始笑顔で、先ほどの怖さは全く見受けられませんでした。
番組が終了し、マネージャーさんから直ぐに帰宅するように言われました。
もしかすると、また蓮見さんが強引に誘ってくる可能性があるからとの事です。
私はその通りだと思い、一緒に出演いただいた皆様への挨拶を簡単に済まし、先に帰らせていただくことにしました。
帰る際、蓮見さんはまだスタジオにいたので誘われることは無さそうだなと思ったのですが、一瞬だけ目が合ってその時の目がとても怖かったです。
まるで、獰猛な動物が獲物を狙っている時のような目で…少し、自意識過剰でしょうか…。
収録したテレビ局から駐車場に着きました。駐車場は地下にあり、時間も時間なので車はそこまで止まっておりません。
私とマネージャーさんは、車のもとへ向かいました。この時はもう、蓮見さんの事は考えておらず、信くんとどんな話をしようかなと考えておりました。
「イリス~、飲みに行こうぜぇ~。」
忘れていた恐ろしい人の声が聞こえてきました。
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