第19話 ゴブリンリーダーのアレはすごく…大きいです。
「あれが…ゴブリンリーダー…。」
ゴブリンよりも大きいゴブリンリーダーを見て、イリスは息を飲む。
「顔がより凶悪になってるよね。まあ、今のイリスなら問題ないよ。緊張感は持っても、恐怖に飲まれないようにね。」
「うん。…倒してくるね!」
そう言うとイリスはゴブリンリーダーの元へ走る。
「グ?グガー!!」
ゴブリンリーダーはイリスに気づき、近くにある大鉈を持ってイリスに向かって走る。
「ウインドスピア!」
ウインドスピアは、攻撃の範囲は小さいがそれなりに攻撃力が高い魔法だ。
小さな敵には当てにくいが、ゴブリンリーダーほどの大きさであれば当てやすい。
「ギャ!!」
ウインドスピアを見たゴブリンリーダーは、避けるために身を翻すが完全には避けられず、腕に刺さる。
しかし、ゴブリンリーダーは止まらない。
イリスに向かって大鉈を振り払う。
「…!ブースト!」
イリスは後方にジャンプして大鉈を避けた。
ブーストは一時的に自身の素早さを2倍にする補助魔法だ。
「ギィ?ガー!」
ゴブリンリーダーは、避けられたことが予想外かのように頭を傾(かし)げ、またイリスに突っ込む。
「やらせないよ!ピット!」
イリスが魔法を唱えると、ゴブリンリーダーは真下へ落ちていく。
ピットはその名の通り落とし穴だ。
ジャンプして後方へと引いたイリスを見続けて追いかけていたため、ゴブリンリーダーは上を向きながら走っていた。
それを見たイリスは、地面がゴブリンリーダーの死角になっていると考えピットを使用したようだ。
「ストーングレイブ!」
イリスは更に落とし穴の最下部に石の棘を作成する。
「ギギャーーー!!」
落下の重みが相まって、ストーングレイブはクリティカルとなったようだ。
「おー!戦闘が上手いなー!俺だったら絶対あんなこと思い浮かばないや。火力で押し切ることしか考えられないし…。勉強になるなぁ。」
信之は素晴らしく脳筋だった。
イリスは落とし穴を覗く。
「まだ、生きてる…。残酷かもしれないけど…これでおしまい!ファイアショット!」
まだかろうじて生きていたゴブリンリーダーをファイアショットでトドメを指した。
「グ…ギャ…」
ゴブリンリーダーは、黒い煙となって消え去った。
「ふぅ、信くん終わったよ。」
「お疲れ様。ドロップアイテム回収しちゃうわ。」
「うん、お願いしま…え?」
突然、イリスは動きを止める。
「ん?イリス、どうかした?」
「は、はい。突然システム音が聞こえてきて、レベルが上がった訳ではなく、初めてダンジョンを攻略した者としてボーナスアイテムが貰えました。」
驚き過ぎて敬語に戻ってしまったイリスは、そう言って握っている手を開く。
手を開くとそこには指輪があった。
「それが、ボーナスアイテム?」
「うん。指輪…だね。」
信之は鑑定を使用する。
ーーーーーーー
(名)
幸運の指輪
(概要)
この世界で初めてダンジョンを攻略したものに贈られる指輪。
獲得経験値が上昇する。
ーーーーーーー
どうやら獲得経験値が上がる指輪のようだ。
「今鑑定したけど、獲得経験値が上がる指輪のようだね。」
イリスに伝えると、目をキラキラさせて顔を真っ赤にしている。とても興奮しているようだ。
「か、獲得経験値上昇ー!?やったぁ!!絶対レアアイテムだぁ!あー、これでレベル上げがよりいっそう捗るんだねぇ…えへへぇ。」
イリスのレベル上げオタク度は重症だな…と呆れる信之。
「そうだね。でも仕事さぼってレベル上げはダメだからね。」
「う…、わかってるよぅ…。」
信之に釘を刺されぐったりとするイリス。
イリスはとても感情に素直のようだ。
「さて、戦果報告といこうか。ゴブリンリーダーから出たドロップアイテムは…と。」
ーーーーーーー
(名)
ゴブリンリーダーの魔石
(概要)
その名の通りゴブリンリーダーの魔石。魔石は、魔石を通じてあらゆる資源として利用が可能。魔石のランクが高い程、高出力・持続力を発揮することが出来る。当該魔石のランクはE+
ーーーーーーー
ーーーーーーー
(名)
ゴブリンリーダーの大鉈
(概要)
ゴブリンリーダーが使用していた大鉈。斬れ味はそこまで良くないが、重みがある為斬るというより叩き潰す武器。ちなみにしっかり洗浄されてるよ!ばっちくないよ!
ーーーーーーー
「概要作ってるの誰やねん。綺麗好きアピール良くするじゃん…。」
概要に呆れる信之。
対してイリスは大鉈に興味津々だ。
「かなり大きいねー。これなら確かに斬れ味とか、何も考えずに相手をペシッ!て出来ちゃいそうだね。」
擬音がかわいいイリス。
「よし、イリス。スプラッター美少女目指して大鉈装備してみようか?」
「ぜ、絶対いやぁー!」
スプラッターを想像して顔を青ざめるイリス。
「戦利品はこのくらいかな。あ、探知をかけたけど他のゴブリンいなくなってるわ。」
「えー!?じゃ、じゃあもうレベル上げできないの…?」
青ざめていた顔色は更に青ざめて、もはや紫の顔色になったイリス。
「他にもダンジョン化している場所はあると思うんだよね。探しとくよ。」
「はっ!確かに!お願いします!もうレベル上げしなきゃ生きていけない体になってしまってるんですぅ!」
なんとなく卑猥な言い方だなと思いながら、イリスの体を見る信之(主に胸)
「むっ!信くん今いやらしい目でこっちを見てなかった?!」
「な、なんのことかな?」
「とぼけようとしてもダメだよ!女の子は目線に敏感だからね!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます