第11話 名誉と報酬金
盗賊に襲われているところを偶然にも助けてくれたヴァルタルと共に、近くの街に向かった。
襲ってきた盗賊たちから奪った馬車に乗って街に到着すると、騒ぎとなった。街を管理する権力者なども出ててきて、トゥナノ盗賊団を壊滅させたことを感謝された。
「ありがとう! 君たちのお陰で、この街は盗賊団の脅威から救われたよ!」
「とんでもないです。この街に住む民が無事で、私も嬉しく思います」
ヴァルタルが慣れた様子で権力者たちと会話をして対応する。トゥナノ盗賊団は、この周辺にある街や土地などを荒らし回っていた悪党だったらしい。
何とか対処しようと頭を悩ませていた権力者のもとに、ヴァルタルたちが現れた。しかも、頭を悩ませていたトゥナノ盗賊団を壊滅させて。権力者たちは喜び、彼らを大歓迎していた。
ヴァルタルは、盗賊に襲われていた私たちだけでなく街の人々も救ったらしい。
トゥナノ盗賊団の死体は引き取られて、報酬金が支払われた。それだけでなく、盗賊たちのアジトに隠されていたお宝などを馬車に乗せて持ち帰ってきた。その礼金としてかなりの額が支払われた。
通常は、盗賊団が盗んで溜め込んでいたお宝などは全て土地の管理者の物となる。盗賊団から奪い取った物とはいえ、勝手に持っていくと今度は私たちが盗賊団として指名手配されることになる。隠さずに、ちゃんと提出しなければならない。盗賊から奪い返した感謝の気持として、礼金が支払われることがほとんど。
礼金の金額は決まっていない。土地の管理者によって、支払われる金額はまちまちである。多かったり、少なかったり。この街の権力者は、気前がいいらしい。かなりの高額金をヴァルタルたちに支払っていた。
それほど、トゥナノ盗賊団の対処に悩んでいたということなのだろう。
大金を手に入れたヴァルタルに連れられて、食事をする店まで行くことになった。街を歩いていると、トゥナノ盗賊団を倒したという話が既に出回っていて、街の人達からも感謝された。
「ありがとう、我が街の英雄たち!」
「ステキ! 盗賊団をやっつけてくれて感謝です!」
「これで我々も平和に暮らせる。本当に、ありがとう!」
行き交う人達から繰り返し感謝される。ヴァルタルが手を振ると、街のあちこちで歓声が上がった。
「ここで、空腹を満たそうか。ルエラたちも一緒に」
「あ、はい」
ヴァルタルたちと別れる機会を逃してしまった。そして、なんとなく店まで一緒に来てしまった。私は彼の誘いに乗って、一緒に店の中に入っていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます