第3話

「うん....まぁね。一応、1番上のおねえさんだよ」


「何しろね、うちは貧乏人の子沢山だからさ。

家計が大変なの。だから、口減らしに

私がいなくなれば、少しは楽だな、とも考えてさ」


「それにね、母子家庭なんだけど、

私は母親の本当の子じゃないの。

私だけ父親の連れ子でさ。

そのお父さんもつい先日亡くなっちゃって。

家に居場所がないの...」


「バカなこと言うなっ!!」

「自分の存在を否定するようなことは

絶対に言うなっっ!」


俺は思わず林ユーコのセーラ服の襟ぐりに掴みかかった。


「ちょ、やめてよ、離してよ!!」


「あ、ごめん...」


俺はついつい熱くなり、

林ユーコに馬乗りになってしまっていた。


「ごめん。なんか、変な体勢になってた」


「べ、べつにいいけど...」


そう言って顔を赤くし、身体を少しくねらせた感じの地味子が。


やたらと色っぽいポーズを取ってみせたもんだから。


俺はつい、こんなお願いを地味子にしていた。


「あ、あのさぁ!

ほんっとーに悪いんだけどさ!」


「な、なに?」


「俺の絵のモデルになってくれないか?

その、スタイル抜群だし...」


「色っぽくて、やたらとそそるから...

全国高校生人物画コンクールの絵のモデルになってくれる女子を探してたんだけど、

おんなじ美術部の女子に頼もうにも、

彼女らは自分の出展する絵の仕上げに夢中になってて。俺の絵のモデルどころじゃないんだよ...」


「林さんの存在理由はきっとあるよ..,

俺、ついさっき、林さんのポージング見て、

身体に電気が走ったもん」


「え、うそ」


「運命のひとに会った瞬間に感じるなにか、

そんな感じがしたんだよ」


「大袈裟な感じがするけど」


「地味過ぎて、モデルなんかできるかどうか、、もっと美人な女子に頼めばいいのに...」


「いや、まぁ、眼鏡とかは外してもらうし、、そんで髪の毛のセットとか、メイクは俺がやるよ。

一応、俺、美容師志望だから。

まぁ、美大にも行きたいなとは思ってるけど、

なかなか絵だけで食っていくのは大変だからさ...」










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