第13話 童貞とドMと天使の忠告
昇降口を出て五分もすれば魁鳴学園の寮に辿り着く。
学生寮はかなり立派なもので、大きなエントランスホールには左右に分かれた階段がある。
右に行けば女子達が生活する部屋が、左に行けば男子の生活する部屋が存在する。
当然と言うべきか、異性の部屋がある方へ行くことは禁止されており、寮で男女が絡むのは広いロビーと食堂だけだ。
俺がロビーに入ると、ソファに座った
彼女の後ろには知らない男子が
「やあ
「あ、
「いいともー」
俺は少し離れた自販機で紅茶を買って
「ありがとー。もうあれだよね
「……はっ!?」
あまりに自然にパシらされた事に驚愕する。なんだよこの子、マジでいつかナンバー1キャバ嬢とかになってるんじゃないか?
「でもーまあ今のところ下僕は十分いるしー、
それはもうとても綺麗な笑顔でいらないと言われて、ちょっとだけ悲しくなった。
内容的には嬉しい筈なのに何故だろう。もしかして本当に下僕根性が染みついているのだろうか? それとも俺が気付いていないだけでドMなのだろうか。
「そ、そうだ!
「おいコラ足置きが勝手に喋るんじゃない。そこの
「ぶ、ぶひぃ! ぶひぃ!」
思いっきり蔑んだ表情で踵を背中に落とされた
……うん。これが本物のドMだから、少なくとも俺は違うな。
「俺、足置きになる気はないからさ」
「ぶひぃ!」
安心したようで
「ふーん……私の足置きになりたくないんだぁ。下僕候補の癖に生意気だなぁ」
一方、
「……ま、いっか。あっちこっちタンポポの綿みたいにフラフラ優柔不断な
心を強く持って
そうすれば俺にももう用はない。部屋に戻る旨を伝え、
「あ、そうだ
背中越しに聞こえてきた気になる単語に俺は振り返る。そこには今まで見た事のない程真剣な表情の
「忠告?」
「うん。あのねぇ、
「……は?」
狙われてる? 今まで一度も会話をしたことのない
「なんで?」
「ふふふー。それは内緒。あ、狙われてるって言っても惚れられてるなんて可愛い理由じゃないか勘違いしちゃ駄目だよ童貞君」
「ど、どどどどどどどどっどどどど!!」
「……動揺し過ぎ。本当に気持ちわるーい。忠告は以上だからぁ、これ以上何か聞きたかったら本人に直接問い詰めてねぇ」
そんな意味深な言葉を残した
しかし、
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