猫人 ねこじん ロングバージョン
@watakasann
第1話 議論
「猫人と犬人はどちらが格が上か、と言うことを議論出来るようになっただけ、人間は現状を受け入れて、訳のわからない怒りと恐怖という檻から解き放たれた」
と言ったのは、クズリ(イタチ科の大型獣、熊に似ている)だったと言われている。クズリ人達は決して自分たちの言葉ではないと断言しているため、これは真実であるはずだ。
そしてこれを書いている私は、というと実は「鳥人」である。しかしながら私は翼を持つ彼らが主のため、かなり自由な時間を過ごすことが出来ている。特に私の主は「サンコウチョウ」という尻尾の長い小鳥であり、彼らは私の国には産卵、子育てのためにやってくるので、どちらかというと私に「自分のために動くのはよしてくれ」と言われている。
何故なら私が去年彼らの巣があった場所などを確認しようものなら、他の鳥人、オオタカ人、ハイタカ人、ノスリ人という猛禽類人、それ以上に、圧倒的な数の最も恐ろしいカラス人に情報が漏れてしまう可能性があるからだ。
しかし、あまりに何もしないのも気が引けるので、こっそり他の鳥人に聞いてみると
「正直自分もそうだが、このことはほら・・・」
と言う会話になった。確かに、自分の担当の仕事に関して他の人間に相談をするのは御法度なのだ。勿論同じサンコウチョウ人は別だが。
なので、このシステムに私自身が特に恐怖も不満も覚えた事は無い。私の親も幼い頃から
「このことを不条理なことと思ってはいけない、何故なら今まで人間は他の動物に対し、これ以上のことをやってきたのだから」
という考えのヒトで、その中で私も大人になった。だからなのか、普通に仕事をして、家に帰り、自分の子供と遊ぶという、何千年来変わらぬ生活を送っている一人である。
しかし、この生活を望んでも出来ない人もいるのは確かだ。
それは百年前に起こった、テクノロジーが発端の「戦争に近いもの」だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます